前営業日トピックス
前日の海外市場で、ドル/円は7/15以来の高値を更新して24年ぶりの高値に迫ったが、上昇一服後は上値の重い動きとなり、東京市場でも序盤から上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価は序盤から280円超下落したこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。午後に入り、日経平均株価が下げ幅を縮小したものの、米長期金利の低下を受けて、ドルは上値の重い動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したこともあり、対円でも底固い動きとなった。欧州時間では、米長期金利が上昇に転じたことからドルは堅調な動きとなったものの、欧州株が下落したことからクロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された8月の米ADP雇用統計が市場予想を下回ったことで、ドル売りが先行した。ただ、FRBの積極的な金融引き締め観測を背景に、米金利の上昇を受けてドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、ドル/円は138.99まで上昇した。一方、ECB理事会で0.75%の利上げが実施されるとの期待感からユーロも堅調な動きとなり、対円では7/26以来の高値を更新した。
米株式市場では、前日まで下落が続いたこともあり、序盤は値頃感の買いが先行し、主要株価指数は堅調な動きとなった。しかし、金融引き締めが長期化するとの懸念や、景気減速懸念を背景に、主要株価指数は下落に転じた。さらに、米金利が上昇したことも嫌気されて下げ幅を拡大し、4営業日続落となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、前日比175ドル高まで上昇した。しかし、その後は下落に転じて下げ幅を拡大し、一時281ドル安まで下落した。引けにかけて安値圏を維持したまま、280.44ドル安(-0.88%)で終了し、7月中旬以来、約1ヵ月半ぶりの安値となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、66.94ポイント安(-0.56%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が289円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。その後、日経平均株価が90円安まで下げ幅を縮小したことや、時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドルは底固い動きとなった。
(2)午後に入り、米長期金利が低下したことから、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。ただ、9月のFOMCでの大幅利上げ期待が高いこともあり下値は限定的だった。欧州時間では、時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。一方、対ドルで下落したことや、欧州主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったこともあり、欧州通貨や資源国通貨は軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された8月の米ADP雇用統計が市場予想を下回ったことで、ドル売りが先行した。ただ、米金融当局者が「来年の早い時期まで金利を4%を上回る水準に引き上げる必要がある」との見解を示したこともあり、ドルは底固い動きとなった。
(4)FRBの積極的な金融引き締め観測を背景に、政策金利の動向に敏感な米2年債利回りが2007年11月以来の高水準、米長期金利の指標となる10年債利回りが6月下旬以来、約2ヵ月ぶりの高水準まで上昇するなど、米金利上昇を受けてドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は序盤の138.45から138.99まで上昇した。一方、ECB理事会で0.75%の利上げが実施されるとの期待感からユーロも堅調な動きとなり、対円では7/26以来の高値を更新した。
本日のトピックス
9月のFOMCで0.75%の利上げ期待が高まる中、政策金利の動向に敏感な米2年債利回りが2007年11月以来の高水準まで上昇したこともあり、前日の海外市場でドルは堅調な動きとなった。
東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは堅調な動きとなり、対円では7/14の高値139.40を上抜けて一時139.68まで上昇し、1998年9月以来の高値を更新した。ここから140円台乗せを試す展開となるのか注目されている。
米国時間では、新規失業保険申請件数、8月のISM製造業景況指数の発表が予定されており、ともに前月から悪化が予想されている。米国の大幅利上げ期待が高まっていることから、冴えない結果となった場合でも下値は限定的と予想されている。ただ、予想以上に低下となる場合には思惑が交錯して下振れとなる可能性も考えられることから、結果に注目したい。
9/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(8/27までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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24.9万件 | 24.3万件 |
前回は市場予想を下回り、2週連続で減少した。景気の先行き不安が高まる中で、労働市場の底固さが示された。一部では、レイオフや採用見送りの動きも見られており、利上げ継続観測が高まる中で、再び鈍化傾向が続くとの見方もある。今回は、前週から小幅増加が予想されている。 | ||||
23:00 | 米国 |
8月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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51.9 | 52.8 |
前回は市場予想を上回ったものの、2ヵ月連続の低下となり、2020年6月以来の低水準となった。新規受注の低下に加え、在庫が1984年以来の高水準、生産が2年ぶりの低水準となり、業者が生産を落としていることが影響した。今回は、前月からさらに低下が予想されており、予想通りの結果なら2020年5月以来の低水準となる。 |