前営業日トピックス
東京市場では、序盤から日経平均株価が下落したことや、米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、下げ一服後は株価や長期金利が持ち直したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなったものの、米FOMCを控えて様子見ムードも強まっており、主要通貨は全般的に小動きとなった。その後、FOMCでの大幅利上げに対する期待感が依然として根強く、日銀との政策の違いが意識されてドル/円は堅調な動きとなった。
NY市場では、序盤に発表された米消費者信頼感指数、米新築住宅販売件数が冴えない結果となったことや、米主要株価指数が下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が低下したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ただ、下げ一服後はFOMCでの利上げ期待が高いことや、米長期金利が持ち直したことからドル買いが再燃し、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。一方、欧州のエネルギー不安を背景に、ユーロは主要通貨に対して軟調な動きが続いた。
米株式市場は、序盤に発表された米消費者信頼感指数、新築住宅販売件数がともに悪化したことに加え、小売り大手のウォルマートや自動車大手のゼネラル・モーターズの四半期決算が冴えない内容となったことから、米景気後退への懸念が高まり、投資家のリスク回避の売りが優勢となった。ダウ平均株価は序盤から軟調な動きとなり、一時前日比284ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小し、228.50ドル安(-0.71%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは220.10ポイント安(-1.87%)と、3営業日続落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比160円安まで下落したことや、時間外取引で米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は一段の下げとなった。ドル/円は、序盤の136.69から136.26まで下落した。
(2)その後、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことや、日経平均株価が下げ幅を縮小したこと、さらに米長期金利が持ち直したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後、ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して堅調な動きが続いたことから、対円でも堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが2.70%台と5月以来の低水準まで低下したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、米消費者信頼感指数が2021年2月以来、米新築住宅販売件数が2020年4月以来の低水準と悪化したことも圧迫要因となった。
(4)下げ一服後は、FOMCでの利上げ期待が高いことや、米長期金利が2.80%台まで上昇したことからドル買いが再燃し、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の安値の136.28から136.93まで上昇する動きとなった。一方、ロシア政府関係者が欧州へのガス供給を絞る戦略を継続するだろうとしたことを受けて、天然ガス先物が20%超上昇するなど、欧州のエネルギー不安を背景に、ユーロは主要通貨に対して軟調な動きが続き、対円では7/14以来、対ドルでも7/18以来の安値となった。
本日のトピックス
本日は、米国時間にFOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強まり、発表までは限定的な動きが予想されていた。しかし、東京時間では、FOMCで大幅な利上げが決定されるとの期待感が先行しており、時間外取引での米長期金利の上昇とともに、ドル/円は序盤から堅調な動きとなっている。発表までドルの上昇が続く場合には、結果発表後に調整となる可能性も考えられることから、発表までの動きにも注目したい。
FOMCの結果発表では、0.75%の利上げがコンセンサスとなっているが、利上げに伴う景気鈍化懸念も根強いことから、予想より小さい利上げ幅となった場合や、予想通りの利上げ幅となった場合でも、景気減速懸念が強まる場合にはドルは軟調な動きとなる可能性もあり、発表とマーケットの反応に注目したい。
7/27の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
6月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
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-0.4% | 0.8% |
前回は市場予想を上回り、金利上昇などに伴う景気減速懸念が高まる中、企業の設備投資が堅調を維持していることが示された。今回は、景気減速の影響が懸念されており、マイナスが予想されている。予想通りの結果なら、4ヵ月ぶりのマイナスとなる。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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-1.0% | 0.7% |
前回は予想に反して上昇となり、2021年10月以来の高い伸びとなった。借り入れコストのさらなる上昇が見込まれており、金利上昇前に住宅ローン金利を確定する動きが影響したと見られている。ただ、依然として厳しい状況は変わっておらず、今回は再びマイナスが予想されている。 | ||||
3:00 | 米国 |
FOMC政策金利
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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2.25%-2.50% | 1.50%-1.75% |
前回は予想以上の利上げ幅となり、3会合連続の利上げとなった。インフレ抑制のために継続的な利上げが適切となりとの見方も示された。今回は、さらに一段の利上げが予想されているものの、利上げに伴う景気減速懸念も台頭しており、声明やFRB議長の発言にも注目したい。 |
気まぐれ投資コラム
利上げは確実視されているが、声明など変化が見られるか
前回は、市場予想を上回る0.75%の利上げが決定され、声明では最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指し、実現のために大幅な利上げを決定、また継続的な引き上げが適切になるとの見方を示した。
ただ、インフレ低下を最優先する方針を示していたが、経済指標が悪化するなど利上げに伴う景気後退懸念も高まっている。今後、どこまで景気後退を容認するのか注目されており、声明の文言や会見でのFRB議長の発言内容に変化が見られるのか注目されている。
今回は、当初1.00%の利上げを期待する向きもあったが、景気後退懸念が高まっていることもあり、0.75%の利上げに留まると見られている。
今後1年間に景気後退入りする可能性は40%(前回25%)、2年以内は50%(40%)と予想されており、またインフレ率は2024年に2.5%まで低下すると予想されているが、目標の2.0%まではかなりの時間を要すると見られている。
※出所:SBILMがデータを基に作成