前営業日トピックス
東京市場では、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。日経平均株価が序盤から軟調な動きとなったことや、米長期金利が低下したことが圧迫要因となった。下げ一服後は、値頃感の買い戻しから値を戻す動きとなったものの、米長期金利が下げ幅を拡大したこともあり、ドル/円は戻り高値の136.27から135.79まで下落した。その後、米金融当局者のタカ派発言を受けてドル買い・円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、パウエルFRB議長や米金融当局者のタカ派発言を受けて、FRBによる利上げ加速期待が膨らんでドル買い・円売りが優勢となった。ドル/円は一時137.00まで上昇し、1998年9月以来の高値を更新した。一方、ECB総裁と英中銀総裁も利上げの可能性を示唆したことから、ユーロやポンドも対円で堅調な動きとなった。ただ、上昇一服後はポジション調整の売りが観測されたことや、上昇していた米長期金利が低下したことから、ドルは上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、米FRBによる金融引き締め加速による景気後退が警戒され、主要株価指数は上値の重い動きとなった。ただ、米長期金利が低下したことや、期末を控えた買いも加わって底固い動きが見られ、ダウ平均は反発した。ただ、ナスダック、S&Pは小幅安となった。ダウ平均株価は、序盤から底固い動きとなり、一時前日比205ドル高まで上昇したものの、その後は上値の重い動きが続き82.32ドル高(+0.27%)で終了。一方、ナスダックは3.65ポイント安(-0.03%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比362円安まで下落したことも圧迫要因となった。また、時間外取引で米長期金利が低下したことから、ドル/円は序盤の高値136.22から135.90まで下落した。
(2)136円台割れ近辺では値頃感の買い戻しの動きに加え、日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ドル/円は、序盤に付けた136.22を上抜けて136.27まで上昇したものの、米長期金利が下げ幅を拡大したことから、ドル/円は再び下落となって135.79まで下落した。その後、クリーブランド連銀総裁が「インフレ抑制には金利の上昇が重要」、「0.75%の利上げを支持する」としたことからドル買い円売りが優勢となった。
(3)米国市場では、序盤に発表された1-3月期の米GDP確定値が改定値から下方修正されたことから、ドルはやや上値の重い動きとなった。ただ、ECBフォーラムでパウエルFRB議長が高インフレはリスクとした上で、米経済は金融引き締めに十分対応できるとの見方を示したことから、利上げ加速への期待が膨らみ、大規模金融緩和策を継続する日銀との政策の方向性の違いが改めて意識され、ドル買い・円売りが優勢となった。ドル/円は一時137.00まで上昇し、1998年9月以来の高値を更新した。一方、ラガルドECB総裁とベイリー英中銀総裁もECBフォーラムで利上げの可能性を示唆したことから、ユーロやポンドも対円で堅調な動きとなった。
(4)上昇一服後はポジション調整のドル売りが観測されたことや、上昇していた米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.184%から3.087%まで低下したことから、ドルは上値の重い動きが続いた。一方、米主要株価指数が上値の重い動きとなったことや、対ドルで下落が続いたことから、欧州通貨や資源国通貨は対円で上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
前日の海外市場では、パウエルFRB議長や米金融当局者のタカ派発言を受けて、利上げ加速への期待が膨らみ、大規模金融緩和策を継続する日銀との政策の方向性の違いが改めて意識されてドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は137.00まで上昇し、1998年9月以来の高値を更新した。その後は上値の重い動きが続いているが、FRBだけでなく、ECBや英中銀などの利上げの可能性が高まっていることから、円売りの流れが続くと予想されており、下値は限定的と見られている。
本日の米国時間では、主要な経済指標の発表が予定されており、結果が注目されている。ただ、マーケットの注目が金利動向であることから、結果を受けた反応は限定的と見られている。
6/30の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(6/25までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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23.0万件 | 22.9万件 |
前回は市場予想を上回ったものの、2週連続の減少となった。依然として5ヵ月ぶりの高水準近辺が維持されているものの、4月以降はやや雇用の鈍化傾向が示されている。コロナ感染拡大前の3年間の平均が22.8万件であることから、現状では平均的との見方もある。今回は、ほぼ変わらずの予想となっており、反応は限定的と見られている。 | ||||
21:30 | 米国 |
5月個人支出(前月比)
1ヶ月間に、耐久財(自動車や家電製品など)や、非耐久財(食品や衣料など)、サービス支出(外食・旅行など)において、実際に個人が消費支出した金額について集計した経済指標。
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0.4% | 0.9% |
前回は市場予想を上回ったものの、3月の結果からは低下した。インフレ調整ベースでは3ヵ月ぶりの大幅増加となり、インフレ圧力が強い中で消費が堅調であることが示された。ただ、貯蓄率が4ヵ月連続で低下していることから、貯蓄を切り崩して支出していることが推察される。今回は、伸び幅の低下が予想されており、徐々に支出が抑えられるとの見方もある。 | ||||
22:45 | 米国 |
6月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業部門の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。また、米ISM製造業景況指数の1営業日前に発表されることから、先行指標とされている。
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58.0 | 60.3 |
前回は市場予想に反して上昇となり、景気の拡大・後退の判断基準となる50を23ヵ月連続で上回っており、製造業の底固さが示された。今回は、前回からの低下が予想されているものの、ここまで8ヵ月連続で予想値と乖離する結果となっており、このパターンから今回は予想を下回ると見られている。 |