前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から堅調な動きとなり、対円では一時135.60まで上昇し、24年ぶりの高値を更新した。しかし、上昇一服後は上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、午後には下げ幅を拡大して前日比300円超下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドル/円は、FOMCの結果発表を控えたポジション調整の動きに加え、ドルが欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、対円でも一時134.30まで下落した。
米国市場では、序盤に発表された5月の米小売売上高が予想外のマイナスとなったことから、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。ただ、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードも強まり、下値は限定的だった。FOMCでは0.75%の利上げが決定されたものの、予想通りだったことからドル/円は発表直前の134.34から134.12まで下落した。ただ、年末時点の金利見通しが引き上げられたことが好感され、長期金利の上昇と共にドル/円も134.96まで上昇した。しかし、その後のパウエルFRB議長の発言が予想ほど強気ではないと受け止められ、米長期金利の低下とともにドル/円は133.51まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したことや、米主要株価指数が終盤にかけて上げ幅を拡大したことから、対円でも堅調な動きとなった。
米株式市場では、下落が続いたことで値頃感の買いが観測され、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ただ、FOMCで0.75%の大幅利上げが決定されたことを受けて、ダウ平均が一時マイナス圏まで下落するなど、主要株価指数は下げ幅を拡大した。しかし、パウエルFRB議長の会見での発言が予想されたほど強気ではなかったと受け止められたことから、主要株指数は堅調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤から底固い動きが続いたものの、FRBの利上げ決定を受けて一時前日比179ドル安まで下落した。その後は買い戻り優勢となり、終盤に645ドル高まで上昇したものの、引けにかけて上げ幅を縮小して303.70ドル高(+1.00%)で終了、6営業日ぶりの反発となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、270.81ポイント高(+2.50%)で終了して大幅続伸となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から堅調な動きとなった。FOMCで0.75%の大幅利上げを予想する向きが増えていたことから、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は海外時間に付けた高値の135.45を上抜けて135.60まで上昇し、1998年10月以来約24年ぶりの高値を更新した。ただ、上昇一服後は上値の重い動きとなり、日経平均株価が序盤から200円超下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)下げ一服後は、値を戻す動きが見られたものの、FOMCを控えたポジション調整や、午後に入り日経平均株価が下げ幅を拡大して300円超下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。欧州時間に入り、ドルが欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、ドル/円でも134.30まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対円でも堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された5月の小売売上高と6月NY連銀製造業景気指数がともに予想外のマイナスとなったことから、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。ただ、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードも強まっており、値動きは限定的だった。
(4)FOMCでは、0.75%の利上げが決定されたものの、予想通りの結果だったことで直後に米長期金利が低下となり、ドル/円は発表直前の134.34から134.12まで下落した。ただ、年末時点の金利見通しが3.40%と3月時点の1.90%から引き上げられたことが好感され、長期金利の上昇と共にドル/円も134.96まで上昇した。しかし、パウエルFRB議長が会見で「0.75%の利上げが普通になるとは予想しない」と発言するなど、発言が予想されたほど強気ではないと受け止められたこから、米長期金利の低下とともにドル/円は133.51まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したことや、米主要株価指数が終盤にかけて上げ幅を拡大したことから、対円でも堅調な動きとなった。
本日のトピックス
昨晩のFOMCでは、0.75%の大幅利上げが決定され、さらに年末時点で3.40%と3月時点の予想である1.90%から大幅に上方修正された。マーケットでは、ほぼ予想通りの結果となったことから、利益確定の動きも進んだ。ただ、週末の日銀の金融政策決定会合の結果発表、黒田総裁の会見での発言に注目が移っており、日銀金融政策決定会合の結果発表では、日銀と主要国との金融政策との違いが改めて示されるのかどうか注目されている。そのため、東京市場では序盤から堅調な動きとなり、ドル/円はFOMC前の水準まで戻している。
本日の欧州時間では、英中銀の金融政策発表が予定されており、0.25%の利上げが予想されている。ただ、英国が2ヵ月連続のマイナス成長となったことや、英雇用統計が冴えない結果となったことなどを受けてポンドの下落が続いていることから、政策発表を受けたポンドの動きが注目されている。一方、米国時間では、新規失業保険申請件数、6月のフィラデルフィア連銀景況指数住、5月の米宅着工件数の発表が予定されており、結果が注目されている。ただ、翌日の日銀金融政策決定会合の政策発表を控えていることもあり、予想の範囲内の結果なら限定的な動きに留まると予想されている。
6/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(6/11までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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21.5万件 | 22.9万件 |
前回は、米祝日(6日)を含む週の影響で増加となり、市場予想に反して1/14までの週以来の高水準となった。今週は、減少が予想されており、ここから大幅な減少は考えにくいが、増加が続くようなら、労働市場の軟化となる可能性も指摘されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
6月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。ISM製造業景気指数の先行指標としても注目されている。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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5.0 | 2.6 |
前回は予想以上の低下となり、2020年5月以来の低水準となった。昨年の平均が30.5、今年の4月までの平均が21.1であることから、製造業の急速な鈍化が示された。今回は、前回から上昇が予想されているが、依然として平均を下回ると見られている。また、マイナスに落ち込む場合には懸念が大きくなる可能性も。 | ||||
21:30 | 米国 |
5月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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170.7万件 | 172.4万件 |
前回は市場予想に反して減少となり、2ヵ月連続の減少となった。一方、着工件数の先行指標となる許可件数は予想を上回ったものの、前月から減少となった。住宅価格や住宅ローン金利の上昇が影響した。今回は、減少が予想されており、ここまで発表された住宅関連指標は悪化が続いていることから、住宅市場の鈍化が示されるのか注目されている。 |