前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から前日比550円超下落したことから、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。その後、日経平均株価が629円安まで下落したものの、前日大幅下落となった米国株が先物で反発したことから、日経平均株価も終盤にかけて下げ幅を縮小したことで、ドル円・クロス円も底固い動きとなった。ただ、欧州時間では、上昇して始まった欧州主要株価指数が下落に転じたことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、翌日に控えたFOMCの結果発表でFRBが0.75%の大幅利上げを決定するとの観測が広がり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したことから、ドル/円は一時135.45まで上昇して1998年10月以来約24年ぶりの高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したものの、ドル/円の上昇に連れて対円では堅調な動きとなった。ただ、前日に英国が2ヵ月連続のマイナス成長となったことが引き続き材料視され、ポンドはドルや円に対して軟調な動きが続いた。
米株式市場では、FRBが金融引き締めを加速させるとの観測が高まり、景気減速を懸念した売りが優勢となった。さらに、0.75%の大幅利上げの予想が広がっていることも圧迫要因となった。ダウ平均株価は、序盤に前日比174ドル高まで上昇したものの、大幅利上げ観測や米長期金利が上昇したことを受けて売りが優勢となり、一時372ドル安まで下落した。終盤には下げ幅を縮小して151.91ドル安(-0.50%)で終了、終値ベースで昨年2月以来、約1年4ヵ月ぶりの安値となった。一方、ナスダックは一時2020年9月以来の安値を更新したものの、終盤にプラス圏を回復して19.12ポイント高(+0.18%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場終盤の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から前日比550円超下落したことも圧迫要因となった。その後は値頃感の買い戻しの動きもあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(2)翌日に控えるFOMCで0.75%の大幅利上げが行われるとの見方が浮上しており、さらに15日に日銀が長期国債を追加買い入れとの報道を受けて、日銀の政策に変更はないとの見方も広がり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は134.82まで上昇した。ただ、欧州市場では、上昇して始まった欧州主要株価指数が下落に転じたことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、15日結果発表のFOMCでFRBが0.75%の大幅利上げを決定するとの観測が広がり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、政策金利の動向に敏感な2年債利回り、長期金利の指標となる10年債利回りがいずれも上昇したことから、ドル/円は一時135.45まで上昇して1998年10月以来約24年ぶりの高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したものの、対円ではドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなった。ただ、英国が前日に2ヵ月連続のマイナス成長となったことや、英国の雇用統計の悪化が材料視され、ポンドはドルや円に対して軟調な動きが続き、対ドルでは2020年3/25以来、対円では5/31以来の安値を付けた。
本日のトピックス
前日の海外市場で、ドル/円は135.45まで上昇して1998年10月以来約24年ぶりの高値を更新した。東京市場では、海外市場の流れを引き継いて序盤から堅調な動きとなり、海外時間に付けた高値を上抜けて一時135.60まで上昇して高値を更新した。しかし、上昇一服後は利益確定やFOMCを控えたポジション調整なども入り、134.80台まで下落した。ここからFOMCの結果発表までは、限定的な動きも予想されているが、思惑が交錯する場合には、上下に振れる展開も考えられる。
本日の米国時間では、5月の米小売売上高、ニューヨーク連銀製造業景気指数の発表が予定されており、結果が注目されているものの、FOMCの結果発表が予定されていることから反応は限定的と見られている。FOMCでは、0.50%の利上げがコンセンサスとなっていたが、先週末の米消費者物価指数が予想外の伸びとなったことから、インフレ抑制のために0.75%の大幅利上げが決定されるとの見方も広がっており、結果が注目されている。
6/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
6月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
|
3.0 | -11.6 |
前回は予想外の低下となり、2ヵ月ぶりのマイナスとなった。新規受注と出荷が2ヵ月ぶりのマイナスに落ち込んだことが影響し、製造業の景気減速傾向が示唆された。今回は、プラス改善が予想されているが、前月の反動との見方もあり、改善傾向が続くのかどうか次回以降も注目される。また、他の地区連銀の製造業指数の先行指標となることからも結果が注目されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
5月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
|
0.1% | 0.9% |
前回は市場予想に反して低下となり、3ヵ月連続の低下となった。ただ、高インフレにもかかわらずプラスが維持されており、堅調な伸びが続いていることが示された。ただ、徐々に低下していることから、影響が出始めているとの見方もあった。今回は、小幅増加が予想されており、一部では高インフレの影響で5ヵ月ぶりにマイナスに落ち込むとの見方もある。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月NAHB住宅市場指数
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
|
68 | 69 |
前回は市場予想を大幅に下回り、2020年6月以来の大幅な低下となった。建築資材の価格上昇に伴う住宅価格の上昇や、住宅ローン金利の上昇を背景に、需要が減速していることが影響した。今回は、前月から小幅低下が予想されており、引き続き住宅市場への懸念が示されると見られている。 | ||||
3:00 | 米国 |
FOMC
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
|
1.25%-1.50% | 0.75%-1.00% |
前回は予想通り0.50%の利上げが決定され、今回も0.50%の利上げが予想されている。しかし、先週発表された米消費者物価指数が予想外の上昇となり、高インフレへの懸念が高まったことから、一部では0.75%の利上げを予想する向きもあり、さらに年末まで利上げが継続されるとの見方もあることから、ドットチャートにも注目したい。 |