前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から400円超上昇したことや、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、仲値通過後は、中国の小売り・生産・投資など一連の指標が予想を大幅に下回り、日経平均株価が10円高まで上げ幅を縮小したことや、米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、日経平均株価が持ち直したことや、米長期金利が再び上昇したことから、ドル円・クロス円も再び堅調な動きとなった。
米国市場では、ドル円・クロス円が堅調な展開で始まった。しかし、序盤に発表された5月のニューヨーク連銀製造業景気指数が予想外のマイナスとなったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。さらに、米長期金利が急速に低下したことも加わり、ドル/円は128.99まで下落した。一方、ドル/円の下落に加え、米主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったことから、クロス円も軟調な動きとなった。その後、欧州通貨や資源国通貨が対ドルで上昇が続いたことや、ダウ平均株価が上昇に転じたことも加わり、クロス円は終盤まで堅調な動きが続いた。
米株式市場では、中国の経済指標が軒並み悪化し、中国経済の鈍化懸念が広がったことを受けて、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらにFRBによる急速な金融引き締めへの警戒感も圧迫要因となった。ただ、原油先物の上昇を受けて、エネルギー関連株が上昇したことがダウの下支え要因となった。ダウ平均株価は、序盤に一時前日比268ドル安まで下落したものの、その後はプラスに転じて317ドル高まで上昇した。ただ、終盤には再び上値の重い動きとなり、26.76ドル高(+0.08%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは142.21ポイント安(-1.20%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前週末の海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から前週末比409円高まで上昇したことも押し上げ要因となった。また、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことから、ドル/円は一時129.63まで上昇した。
(2)仲値通過後は、ドル買いが一服したことや、中国の小売り・生産などの経済指標が予想を大幅に下回ったことを受けて、米株価先物や日経平均株価が上げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は下落に転じた。さらに、米長期金利の指標となる10年債利回りが、時間外取引で2.949%から2.884%まで急速に低下したことも加わり、ドル/円は128.70まで下落した。その後は、日経平均株価や米長期金利が持ち直したことから、ドル円・クロス円も値を戻す動きとなった。
(3)米国市場では、直前の欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は堅調な展開で始まった。しかし、序盤に発表された5月のニューヨーク連銀製造業景気指数が予想外のマイナスとなったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。さらに、米10年債利回りが2.929%から2.851%まで急速に低下したことも加わり、ドル/円は序盤に付けた高値の129.61から128.99まで下落した。一方、ドル/円の下落に加え、米主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったことから、クロス円も軟調な動きとなった。
(4)ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、対円でも終盤まで上値の重い動きが続いた。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇が続いたことや、序盤に260ドル以上下落したダウ平均株価が上昇に転じて一時前日比310ドル超上昇したことも加わり、クロス円は終盤まで堅調な動きが続いた。
本日のトピックス
ドルは、欧州通貨や資源国通貨に対して上昇が続いた流れが一服となり、先週末から軟調な動きが続いている。この動きを受けて、対円でも上値の重い動きが続いているが、FRBによる利上げ継続が確実視されている中、日米の金利差拡大が加速するとの見方が根強いことから、対円では底固い動きも見られている。ドルが欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きが続く場合でも、ドル/円はレンジ内で方向感に乏しい動きが続く可能性も考えられる。
本日の米国市場では、4月の米小売売上高、4月米鉱工業生産の発表が予想されているが、昨日のNY連銀製造業景気指数のように市場予想と大きく乖離する結果となる場合にはマーケットの反応も大きくなる可能性があることから、結果に注目したい。
5/17の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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1.0% | 0.5% |
前回は市場予想を上回ったものの、2ヵ月連続の低下となった。ガソリンスタンドの売り上げが急増したものの、高インフレが所得を圧迫していることが影響した。今回は、前月から伸び幅が拡大すると見られており、3ヵ月ぶりに伸び幅が拡大するのか注目されている。 | ||||
22:15 | 米国 |
4月工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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0.5% | 0.9% |
前回は市場予想を上回ったものの、前月からは横ばいとなった。サプライチェーンの改善を背景に3ヵ月連続の上昇となり、製造業の堅調さが示された。今回は、引き続きプラスが維持され、堅調さが維持されると見られている。一方、設備稼働率は前回2007年以来の高水準となり、今回はさらに上昇が予想されている。 |