前営業日トピックス
東京市場では、序盤から日経平均株価が500円超下落するなど、投資家のリスク回避の動きからドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が低下したこともドルの圧迫要因となった。その後、日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円も持ち直したが、欧州時間に入ると米長期金利が再び低下したことから、ドル円・クロス円は再び軟調な動きが続いた。
米国市場では、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。欧州時間から続いた米長期金利の低下が一服して上昇に転じたことから、ドルも主要通貨に対して堅調な動きとなった。その後は、翌日の米消費者物価指数の結果を見極めたいとも思惑もあり、限定的な動きが続いた。ただ、複数の米当局者のタカ派的な発言もあり、底固い動きが続いた。一方、ユーロやポンドなどは対ドルで軟調な動きが続いたことから、対円でも上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、下落が続いたことから値頃感の買い戻しが先行し、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。しかし、FRBによる金融引き締め加速への警戒感が根強く、下落に転じて軒並みマイナス圏まで落ち込んだ。その後は値を戻したものの、ダウは終盤に再び下落に転じて4営業日続落となった。ダウ平均株価は、序盤一時前日比506ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて357ドル安まで下落した。一旦プラス圏まで値を戻したが、終盤には再びマイナス圏まで落ち込み、84.96ドル安(-0.26%)で終了、終値ベースでは昨年3月以来、約1年2ヵ月ぶりの安値。一方、ハイテク株中心のナスダックは、114.42ポイント高で終了して4営業日ぶりに反発となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が序盤から大幅下落となり、一時前日比545円安まで下落したことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利の指標となる米10年債利回が序盤の3.033%から2.974%まで低下したことも圧迫要因となり、ドル/円は129.80まで下落した。
(2)下げ一服後は底固い動きとなり、日経平均株価が終盤に77円安まで下げ幅を縮小したことや、米10年債利回りが3.067%まで上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は130.55まで上昇したものの、序盤に付けた130.58には届かなかった。その後は上値の重い動きとなり、米10年債利回りが2.941%まで低下したことからドル/円は129.87まで下落した。一方、ドル/円の下落に連れてクロス円も軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の軟調な動きが一服し、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。米国の主要な経済指標の発表がなく新規材料に乏しい中、米長期金利の低下が一服して上昇に転じたことから、ドルも主要通貨に対して堅調な動きとなった。対円では、130.46まで値を戻したが、東京時間に付けた130.58や130.55には届かなかった。
(4)その後は、翌日に発表される4月の米消費者物価指数の結果を見極めたいとも思惑もあり、限定的な動きとなったが、クリーブランド連銀総裁が「永遠に0.75%の利上げを排除するものではない」、「今後2会合での0.50%の利上げを支持する」、アトランタ連銀総裁が「今後2回か3回は0.50%の利上げを支持する」など、複数の米当局者のタカ派的な発言もあり、ドルは底固い動きが続いた。一方、ユーロやポンドなどは対ドルで軟調な動きが続いたことから、対円でも上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
本日の海外市場では、4月の米消費者物価指数の発表が予定されており、結果が注目されている。前日にバイデン大統領がインフレに関して発言する発表されたことから注目されていたが、指標の結果を示唆する内容ではなかったことから、反応は限定的だった。
前回は、市場予想上回って1981年12月以来、40年3ヵ月ぶりの大きさとなったが、今回は伸び幅の低下が予想されており、インフレ高進が一服すると見られている。今後、物価上昇がピークアウトとなるのかどうか、当面の物価関連の統計に注目が集まるだろう。
5/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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8.1% | 8.5% |
前回は市場予想を上回り、前年比ベースで上昇率が拡大し、1981年12月以来、40年3ヵ月ぶりの大きさとなった。一方、前月比では市場予想と一致した。ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰などが影響した。また、変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数は、前年比で1982年8月以来の大きさとなった。今回は、前回から伸び幅の低下が予想されており、インフレ高進が一服すると予想されており、物価上昇がピークアウトするのか注目されている。 |