前営業日トピックス
東京市場では、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じて底固い動きが続いたことや、時間外取引で米長期金利が上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、一時118.45まで上昇し、2017年1月以来の高値を更新した。その後は小動きの展開が続いたが、欧州時間に入りロシア国防省がウクライナの一部地域を掌握したと発表したことを受けて、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は急速な下落となった。
米国市場では、FOMCを控えて米国の長短金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して上昇となり、対円では一時118.40まで上昇したが、東京時間に付けた118.45には届かなかった。一方、ウクライナとロシアの停戦協議で進展が見られなかったことや、ロシアのプーチン大統領が「ウクライナは互いに受け入れ可能な解決策の模索に真剣でない」と発言したことを受けて地政学リスクが意識され、ユーロはドルや円に対して軟調な動きとなった。また、原油先物が大幅下落となったことが影響し、資源国通貨は上値の重い動きとなった。
米株式市場では、2月の米生産者物価指数が前月比ベースで市場予想を下回ったことや、原油先物が大幅下落となったことで、インフレ加速が景気を圧迫するとの懸念が和らぎ、主要株価指数は堅調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比675ドル高まで上昇した。引けにかけてやや上げ幅を縮小したものの、599.10ドル高(+1.82%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、367.40ポイント高(+2.92%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。日経平均株価が下落して始まったものの、上昇に転じて堅調な動きとなったことも押し上げ要因となった。さらに、時間外取引で米長短金利が上昇したことで、日米金利差拡大が意識されてドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は一時118.45まで上昇し、2017年1月以来の高値を更新した。
(2)午後に入り、日経平均株価が上げ幅を縮小する動きとなったことや、米長短金利の上昇が一服したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドル/円は、FOMCでの利上げ期待を背景に高値圏で底固い動きが続いた。その後、欧州時間にロシアがウクライナの一部の地域を掌握したとの報道を受けて、リスク回避の円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は急速に下落した。
(3)米国市場では、ウクライナとロシアの停戦協議への期待を背景に、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、FOMCで利上げが確実視されていることから、ドルは対円で堅調な動きが続いた。その後、ウクライナとロシアの停戦協議に進展が見られなかったことや、ロシアのプーチン大統領が「ウクライナは互いに受け入れ可能な解決策の模索に真剣でない」と発言したことを受けて地政学リスクが意識され、ユーロはドルや円に対して軟調な動きとなった。ユーロの下落を受けてその他の欧州通貨も上値の重い動きとなった。一方、原油先物が大幅下落となったことが影響し、資源国通貨は上値の重い動きとなった。ただ、米主要株価指数が大幅上昇となったこともあり、クロス円の下値は限定的だった。ドルは利上げ期待を背景に、米国の長短金利が上昇したことから、対円で一時118.40まで上昇したものの、東京時間に付けた2017年1月以来の高値となる118.45には届かなかった。
本日のトピックス
連日、ウクライナとロシアの停戦協議が行われているが、依然として進展が見られない状況である。ただ、16日も協議が継続することから、進展を期待する向きもある。ただ、依然として紛争が続いていることから、楽観的な見方にはなり難い状況である。引き続き、報道や要人発言には敏感に反応する可能性もあることから注意が必要だろう。
米国ではFOMCの結果発表が予定されており、それまでは様子見ムードから限定的な動きも予想されている。マーケットでは0.25%の利上げが確実視されており、利上げはほぼ織り込まれていると見られている。ただ、声明やFRB議長の会見で、次回以降の利上げのペースなどに関してタカ派的な見解が示されるのかどうかが注目されている。
3/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
2月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.4% | 3.8% |
前回は市場予想を上回り、昨年3月以来の高い伸びとなった。感染拡大が落ち着いてきていることから、需要の堅調さが示された。一方、変動の大きい自動車を除いた売り上げも大幅上昇となり、広範な分野で堅調さが維持されていることが示された。今回は、前月の反動から伸び幅の縮小が予想されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
豪ドル/円は、2021年11/1以来の高値85.886から上値の重い動きが続いている。ただ、一目均衡表の転換線近辺で底固い動きも見られており、ここから再び上昇に転じるのか、軟調な動きとなるのか注目されている。
目先の動きを見る上で注目されるオシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が縮小しており、先行するラインも失速している。ここから両線がクロスとなり、両線が下向きに転換する場合には目先の軟調な動きを示唆する形状となることから、両線の動きに注目したい。
目先の下値ポイントは、ここまでサポートポイントとなっている転換線となり、転換線を下抜けると基準線が次の下値のポイントと考えられる。一方、上値のポイントは直近高値の85.866となり、ここを上抜ける場合には一段の状況も期待される。
気まぐれ投資コラム
FOMC、次回以降の利上げスタンスに注目
FOMCの金融政策の結果発表が予定(日本時間17日午前3時)されており、マーケットでは0.25%の利上げ予想がコンセンサスとなっている。インフレ高進が続いていたことから、複数の米金融当局者が大幅利上げの可能性に言及したことから、一時0.50%の大幅利上げの思惑が強まる場面もあった。
しかし、ロシアがウクライナに侵攻したことで世界経済の減速懸念が強まったことや、リスク回避の動きが強まり、ダウ平均株価は2月前半の高値から10%以上下落するなど主要株価指数が軒並み下落した。そのため、大幅利上げに伴う株価への影響もあり、今回は大幅利上が見送られると見られている。
前回12月のFOMCのドットチャート(メンバーの予想)では、2022年に3回、2023年に3回の利上げが予想されていた。しかし、米国の消費者物価指数が昨年8月(5.5%)から6ヵ月連続の上昇(前回の2月の結果は7.9%)となるなど、インフレ高進が続いている。そのため、利上げ期待も高まっており、現在の金利先物市場では、年内7回の利上げを織り込む水準が予想されている。ただ、ウクライナ情勢の不透明要因もあることから、今回は0.25%の利上げにとどめると見られている。
エコノミスト予想では、0.25%の利上げ予想が全体の95%、0.50%の利上げ予想が3%、据え置き予想が2%となっている。すでに、0.25%の利上げは十分に織り込まれていることから、発表直後の反応は一時的か。むしろ、声明やパウエルFRB議長が会見で次回以降の利上げスタンスに関してタカ派的な姿勢を示すか、ヒントがあるのかどうかが注目されている。
※出所:SBILMがデータを基に作成