前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から大幅上昇となったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたこともドルの押し上げに寄与した。しかし、仲値通過後は上値の重い動きとなり、終盤に日経平均株価が上げ幅を拡大したものの、FOMC議事要旨の公表を控えて様子見姿勢が強まり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。欧州時間では、欧州主要株価指数が上昇して始まったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなったものの、その後上げ幅を縮小する動きとなったことから上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された1月の米小売売上高が昨年3月以来の高い伸びとなったことを受けてドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。しかし、米国やNATO(北大西洋条約機構)がロシア軍の撤退は確認していないとしたことからリスク回避の動きが再燃し、米10年債利回りの低下とともにドル円・クロス円は下落した。その後、FOMCの議事要旨が予想ほどタカ派的でないと受け止められたことから、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きが続いた。一方、欧州通貨や資源国通貨は、米主要株価指数が下げ幅を縮小したこともあり、対円で底固い動きが続いた。
米株式市場では、ウクライナ情勢を巡る警戒感が根強く、さらにロシアが前日にウクライナ国境付近から軍の撤退を発表したものの、米国やNATOが撤退は確認できないとしたことから警戒感が高まり、下げ幅を拡大した。しかし、FOMCの議事要旨が予想ほどタカ派的でなかったと受け止められたことで利上げ加速への懸念が和らぎ、主要株価指数は下げ幅を急速に縮小した。ダウ平均株価は、序盤に一時前日比346ドル安まで下落したものの、終盤には急速に下げ幅を縮小して54.57ドル安(-0.16%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、15.67ポイント安(-0.11%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日にロシアが西側との協議継続の意向を示したことや、ウクライナ国境付近から一部の軍を撤退させると発表したことを受けて、ウクライナ情勢を巡る緊張緩和への期待感からリスク回避の動きが和らぎ、欧米市場の株高を受けて、日経平均株価も序盤から大幅上昇となった。日経平均株価は、序盤に前日比585円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(2)午後に入っても、日経平均株価の堅調さが続き、終盤には上げ幅を拡大して前日比609円高まで上昇したものの、ウクライナ情勢を巡る不透明感が残っているとの見方から、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。欧州時間に入り、欧州主要株価指数が上昇して始まったことや、米長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後、欧州主要株価指数が上げ幅を縮小したことなどもあり、上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された1月の米小売売上高が市場予想を上回る伸びとなり、昨年3月以来の高い伸びとなったことを受けてドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。しかし、前日にロシアがウクライナとの国境付近からロシア軍の撤退を発表したが、米国やNATO(北大西洋条約機構)がロシア軍の撤退は確認できていないとしたことからリスク回避の動きが再燃し、ドル円・クロス円は下落した。さらに、米長期金利が低下したことや、米主要株価指数が下落したこともドル円・クロス円の圧迫要因となった。
(4)米長期金利が持ち直したことから、ドル/円は底固い動きとなったものの、FOMCの議事要旨が予想ほどタカ派的でないと受け止められたことから、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きが続いた。一方、欧州通貨や資源国通貨は、米主要株価指数が急速に下げ幅を縮小したことや、対ドルで堅調な動きとなったことから、対円でも底固い動きが続いた。
本日のトピックス
本日の米国市場では、複数の主要な経済指標の発表が予定されており、結果が注目されている。さらに、複数の米当局者の発言も予定されており、ここまでタカ派的な発言が目立っていたことから、昨晩のFOMCの議事要旨でも、積極的な利上げが示唆されるとの見方もあった。しかし、予想ほどタカ派的ではなかったと受け止められてドルの上値を圧迫した。金利先物市場では3月のFOMCでの0.50%の利上げ予想が後退し、0.25%を織り込む状況となる中、引き続き米金融当局者の発言内容に注目が集まっている。期待通りタカ派的と受け止められれば、利上げ期待の高まりからドルの支援材料となる可能性もあるが、想定ほどタカ派的でないと受け止められた場合には上値の重い展開となる可能性もあるだろう。
2/17の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(2/12までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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21.8万件 | 22.3万件 |
前回は市場予想を下回り、3週連続の減少でオミクロン株の感染拡大からの改善傾向が示された。求人件数が過去最高水準を維持する中、労働力不足が続いていることや、レイオフが過去最低水準にあることから、失業保険の申請件数の減少がさらに続くと見られている。 | ||||
22:30 | 米国 |
1月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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170.0万件 | 170.2万件 |
前回は市場予想を上回り、2021年3月以来の高水準となった。資材価格の上昇などを背景に、住宅価格の上昇が続いているものの、住宅ローン金利の先高観を懸念して住宅購入を急ぐ動きが出ているとの指摘もあり、今回は小幅減少が予想されているものの、今後はさらに伸びるとの見方もある。 | ||||
22:30 | 米国 |
2月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。ISM製造業景気指数の先行指標としても注目されている。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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20.0 | 23.2 |
前回は市場予想に反して上昇となり、新規受注や出荷が上昇したことで、製造業の堅調さが示された。ただ、雇用者数は低下した。今回は前月からの低下が予想されているが、過去3年間の平均の16.1を依然として上回る予想されており、底固さが維持されると見られている。 |