前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が上昇して始まったものの、日銀の金融政策決定会合の結果発表を控えて様子見ムードも強く、ドル円・クロス円は序盤から限定的な動きとなった。そして、日銀の展望リポートでは、物価の見通しが上方修正されたが、予想ほどタカ的な内容とはならなかったものの、日米金利差拡大を意識したドル買い・円売りが優勢となり、ドル円は一時115円台を回復した。しかし、上昇一服後は、350円超上昇していた日経平均株価が下落に転じ、200円安まで下落したことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。アジア株の下落を受けて、欧州主要株価指数も序盤から下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が予想以上の悪化となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ただ、米長短金利の上昇を受けて、下値は限定的となり、その後は底固い動きが続いた。一方、ユーロはウクライナ情勢に伴う地政学リスクの高まりから、主要通貨に対して下落となり、対円では12/29以来の安値となった。
連休明けの米株式市場では、大手金融の四半期決算が冴えない内容だったことが嫌気され、米景気減速への懸念を背景に主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、米長短金利の上昇も加わり、下げ幅が拡大した。ダウ平均株価は序盤から大幅下落となり、一時前週末比649ドル安まで下落した。終盤には下げ幅を縮小したものの、543.34ドル安(-1.51%)で終了、3営業日続落となった。一方、金利動向に敏感なナスダックは、386.85ポイント安(-2.60%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは主要通貨に対して底固い展開で始まった。その後、円が買われる場面もあったが、仲値公示にかけて実需によるドル買い・円売りが観測されたものの、日銀決定会合結果を控えて様子見ムードが広がっており、値動きは限定的だった。
(2)日銀金融政策決定会合の結果発表で金融緩和策が維持され、展望リポートで2022年度の経済・物価見通しを上方修正したが、物価見通しの上方修正は事前に織り込まれており、よりタカ派的な内容とならなかったことから、金融引き締めへの警戒感が後退した。米2年債利回りは2020年2月以来となる1%台に上昇、また米10年債利回りは1.85%まで上昇し1年ぶり高水準となり、日米金利差拡大観測からドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は4営業日ぶりに115円台を回復した。
(3)上昇一服後は上値の重い動きとなり、さらに一時前日比356円高まで上昇していた日経平均株価が下落に転じ、203円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。また、20日にトルコ中銀の金融政策発表を控える中、トルコのエルドアン大統領が、段階的に金利は低下するとの見方を示したことを受けて、トルコ・リラは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
(4)米国市場では、序盤に発表された1月のニューヨーク連銀製造業景況指数が予想外のマイナスとなったことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドル/円は一時114.45まで下落した。
(5)政策金利の動向に敏感な米2年債利回りが一時1.052%台まで上昇し、2020年2月以来の1%台となったことや、米長期金利の指標となる10年債利回りが1.878%と2020年1月以来の高水準まで上昇したことを受けて、ドルは主要通貨に対して底固い動きが続いた。一方、ユーロはウクライナ情勢に伴う地政学リスクの高まりから、安全資産とされるドルやスイスフランに対して下落となり、対円でも129.70まで下落し、12/29以来の安値となった。
本日のトピックス
ウクライナ情勢に伴う地政学リスクを背景に、ユーロが軟調な動きとなっている。一方、中東情勢の緊迫化を背景に、原油供給への懸念を背景に、原油価格が上昇しており、NY原油は2014年10月以来、約7年3ヵ月ぶりの高値となった。情勢は急速に改善に向かえとは考え難いことから、引き続きユーロや原油価格の動向が注目されている。一方、米国の利上げ前倒し、利上げ幅拡大への思惑を背景に、米長短金利の上昇が続いており、ドルは主要通貨に対して底固い動きが続いている。その中で、ドル/円は再び115円台へ値を戻す動きとなるのか注目されている。
米国時間では、米住宅着工件数の発表が予定されており、旺盛な住宅需要を背景に堅調さが維持されると見られている。ただ、昨日のNY連銀指数が予想外のマイナスとなったこともあり、指標結果に対する警戒感も出ている。マーケットでは、特に米国の長短金利の動きが引き続き注目されている。
1/19の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
12月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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165.0万件 | 167.9万件 |
前回は市場予想を上回り、昨年3月以来の高水準となった。サプライチェーン問題を背景に、許可が出たものの着工に至ってなかった案件の着手が進んだことが影響した。価格高騰にもかかわらず、新築物件への需要が根強いことから、良好な結果が続くとの見方もあるが、今回は前回から減少が予想されている。 |