前営業日トピックス
日本市場が休場で新規材料に乏しい中、前日22日に次期FRB議長にパウエル議長の再任を決定。議会上院公聴会も承認し、議長再任によりFRBの正常化への不透明感が払拭されたことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は2017年3月以来の115円台回復となった。しかし、米長期金利が低下したことを受けてドル売り・円買いが優勢となり、ドル/円は114.50まで下落するなど、やや値動きの荒い動きも見られて。
米国市場では、来年に利上げが実施されるとの見方が強まり、ドルは底固い動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したことから、日米金利差拡大が意識されてドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は115.19まで上昇し、2017年3/14以来の高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨はドル/円の上昇に連れて対円で堅調な動きとなった。
米株式市場では、パウエルFRB議長が続投する見通しとなったことで、米景気の先行きに対する楽観的な見方が広がったことが引き続き下支え要因となったことや、米長期金利の上昇を受けて金融株が上昇したことがダウ平均を押し上げた。ただ、金利動向に敏感なナスダックは続落となった。ダウ平均株価は、一時前日比222ドル高まで上昇し、高値圏を維持したまま194.55ドル高(+0.55%)で終了した。一方、ナスダックは79.62ポイント安(-0.50%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日本市場が祝日で休場となり新規材料に乏しい中、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。その後は、前日の米国市場でパウエルFRB議長が再任されたことが改めて材料視されたことからドルは底固い動きとなった。さらに、円売りが優勢となったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は115.15円まで上昇した。
(2)欧州時間に入り、値頃感のドル売りに加え、時間外取引で米長期金利が低下したことから、ドルは主要通貨に対して下落となり、ドル/円は一時114.50まで下落した。しかし、その後は米長期金利が持ち直したことから、ドルは再び堅調な動きとなった。一方、トルコ・リラがドルや円に対して連日史上最安値を更新していることもあり、トルコ中銀総裁とエルドアン大統領が会談したが、市場介入などトルコ・リラ下落の歯止め策を示唆しなかったことが嫌気され、トルコ・リラは大幅下落となった。
(3)米国市場では、米感謝祭を25日に控えて市場参加者も徐々に少なくなる中、前日にパウエルFRB議長が再任される見通しとなったことを受けて、来年に利上げが実施されるとの見方が強まり、ドルは底固い動きとなった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.637%から1.682%まで上昇し、10月下旬以来約1ヵ月ぶりの高水準となり、また政策金利の指標となる米2年債利回りが2020年3月以来の高水準となったことで、日米金利差拡大が意識されてドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は115.19まで上昇し、2017年3/14以来の高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨はドル/円の上昇に連れて対円で堅調な動きとなった。
本日のトピックス
欧州時間では、11月のドイツのIFO企業景況感指数の発表が予定されているが、ここまで4ヵ月連続の低下となっていることから、本日の結果が注目されている。ドイツでは、新型コロナウイルスの感染再拡大していることで景気の先行き不安も出ていることから、5ヵ月連続の低下となる場合には、敏感に反応する可能性も考えられる。
米国市場では、米感謝祭の祝日に伴う前倒しもあり、複数の主要な経済指標の発表が予定されていることから、結果とマーケットの反応に注目したい。ただ、感謝祭を前に市場参加者も少ないことが予想されることから、限定的な動きが予想される。その一方で、市場予想と乖離する結果となる場合には、市場参加者が少ない分変動幅が大きくなる可能性も考えられることから、注意も必要だろう。
11/24の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
3Q GDP(前期比年率)
GDPは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの付加価値の額を合計したもので、国内の経済規模を測るための指標の一つ。GDPの伸び率は、経済成長率を表す指標として重要視されている。そして、個人消費はGDPのおよそ7割を占めることから、構成指数の中では特に重要視されている。
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2.2% | 2.0% |
前回の速報値では、市場予想を下回り2020年6月以来の低い伸びとなった。サプライチェーンの混乱と新型コロナウイルスの感染再拡大が影響して支出と投資が抑制された。今回の改定値では、上方修正が予想されており、GDPの約7割を占めるとされる個人消費が上方修正されれば修正幅の拡大も期待される。 | ||||
22:30 | 米国 |
10月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
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0.2% | -0.3% |
前回は市場予想を上回ったものの、5ヵ月ぶりのマイナスとなった。民間の航空機が大幅なマイナスとなるなど、輸送機器のマイナスが影響した。ただ、輸送機器を除く受注は7ヵ月連続でプラスとなった。今回はプラス改善が予想されているが、特に変動の激しい輸送機器を除いた受注に注目したい。 | ||||
0:00 | 米国 |
10月新築住宅販売件数(前月比)
新築住宅販売件数は、米国内で販売された新築住宅件数(売買契約締結時点)を集計した経済指標であり、地域別の販売件数や販売価格、一戸建やコンドミニアム、集合住宅を含めた数字も発表されている。そして、景気動向の先行を見る上で注目されている指標の一つである。
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80.0万件 | 80.0万件 |
前回は市場予想を上回り、3月以来の高水準となった。需要の底固さが示されたものの、依然として住宅価格の上昇に加え、住宅ローン金利の上昇が続いており、引き続き懸念要因が残っている。今回は横ばいが予想されているが、需要が堅調であることから、住宅価格の落ち着きが見られれば、今後の伸びが期待できる。 | ||||
0:00 | 米国 |
11月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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66.9 | 66.8 |
前回の速報値は、市場予想を下回り、2011年11勝ち以来10年ぶりの低水準となった。物価上昇が家計に与える影響に消費者が懸念を示していることが示された。1年先のインフレ期待は2008年以来の高水準となった。今回の確報値は、小幅上方修正が予想されているが、懸念要因の払拭には至らないだろう。 |