前営業日トピックス
東京市場では、新規材料に乏しい中、先週末の米雇用統計が良好な結果となったことから、ドルは序盤から底固い動きとなった。さらに、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことも加わり、ドル/円は堅調な動きとなった。しかし、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じたこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、米経済指標の発表がなく新規材料に乏しい中、クラリダFRB副議長の発言が利上げに対してハト派的と受け止められたことから、ドルは主要通貨に対して一段と下落するする軟調な値動きの中、ドル/円は一時113.08まで下落し、10/12以来の安値を更新した。その後は値頃感の買い戻しもあり、ドルは底固い動きとなった。一方、対ドルで堅調な動きとなったことや、主要株価指数が最高値を更新する動きとなったこともあり、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は底固い動きが続いた。
米株式市場では、前週末の米雇用統計が良好な結果だったことが引き続き材料視され、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。さらに、前週末に米下院で1兆ドル規模のインフラ投資法案が可決されたことも好感され、主要3指数は終値ベースの最高値を連日更新した。ダウ平均株価は、序盤に一時前日比237ドル高まで上昇し、取引時間中の最高値を2営業日連続で更新した。その後は上げ幅を縮小したものの、104.27ドル高で終了し、終値ベースの最高値も連日更新した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、10.77ポイント高で終了し、11営業日続伸となり、終値ベースの最高値を更新した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前週末の米雇用統計が良好な結果となったことから、ドルは序盤から底固い動きとなった。また、日経平均株価が序盤に前週末比123円高まで上昇したことが好感され、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたこともドル/円の押し上げ要因となった。その後、日経平均株価が下落に転じたことや、時間外取引で米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、ドル/円は113.67まで上昇したものの、新規材料に乏しい中で日経平均株価が下げ幅を拡大したことや、FRBによる早期の利上げ期待が後退したとの見方から米長期金利が上値の重い動きが続いていたこともあり、ドルは上値の重い動きとなった。また、欧州主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったことから、クロス円も上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から主要通貨に対して軟調な動きとなった。米経済指標の発表がなく新規材料に乏しい中、クラリダFRB副議長が「利上げを検討するのはまだずっと先」、「利上げの条件は2022年末までに満たされる」との見解を示したことがハト派的と受け止められ、ドルは主要通貨に対して一段安となり、ドル/円は一時113.08まで下落し、10/12以来の安値を更新した。また、ドル/円の下落に連れてクロス円も上値の重い動きとなった。
(4)ここまで利上げ期待の高まりに対する牽制的な発言をしていたパウエルFRB議長の発言も控えていたが、金融政策に言及しなかったことから、ドルは安心感から底固い動きとなった。一方、対ドルで堅調な動きとなったことや、主要株価が最高値を更新する動きとなったこともあり、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は底固い動きが続いた。
本日のトピックス
本日の欧州時間では、ドイツと欧州の11月のZEW景況感調査の発表が予定されており、両者ともに前回まで5ヵ月連続の低下となっており、前回結果を受けてユーロが下落したことから、今回の結果が注目されている。今回の市場予想では、前月からさらに低下が予想されており、結果を受けたマーケットの反応に注目したい。
一方、米国時間では、10月の米生産者物価指数の発表が予定されているものの、明日発表される消費者物価指数が注目されていることから、結果を受けた反応は限定的と見られている。また、複数の米当局者の発言が予定されていることから、金融政策に関する発言には敏感に反応する可能性も考えられることから、発言の内容に注目したい。
11/9の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
10月生産者物価指数(前月比) ![]()
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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0.6% | 0.5% |
前回は市場予想を下回り、2ヵ月連続の低下となった。新型コロナウイルスの変異株の感染拡大を受けてサービス費用が低下したことが影響した。また、変動の激しい食品・エネルギーを除いたコア指数は2020年12月以来の低水準となった。今回は、伸び幅の拡大が予想されており、特に前回大きく伸びたエネルギーの結果やコア指数の結果が注目される。 |