前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時400円超下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が低下したことも影響して、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。その後、黒田日銀総裁の定例会見で、現状の円安は日本経済にマイナスではないとの見方を示したことを受けて円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、新規失業保険申請件数が昨年3月以来、約1年7ヵ月ぶりの低水準まで改善したことが好感され、序盤のドルは底固い動きとなった。一方、米7-9月期GDPが予想を下回り、前期から減速したほか、ECB理事会後の定例会見でのラガルドECB総裁の発言がタカ派的と受け止められたことからユーロ買いが優勢となった。ユーロは対ドルで9/28以来の高値を更新するなど、主要通貨に対して上昇となった。一方、ドルは対ユーロで下落したことや、米長期金利が低下したことから対主要通貨で全面安となり、対円でも10/14以来の安値となった。その後は、米主要株価指数が堅調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。
米株式市場では、米国の主要企業の好決算が続いたことや、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が約1年7ヵ月ぶりの低水準に改善したことが好感され、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比251ドル高まで上昇した。引けにかけてやや上げ幅を縮小したものの、239.79ドル高(+0.68%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックも序盤から堅調な動きとなり、9/7以来の史上最高値を更新となった。終盤まで堅調な動きが続き、212.28ポイント高(+1.39%)で終了して4営業日続伸、終値ベースの最高値も更新した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)月末を控えた実需の売買が交錯したこともあり、仲値公示にかけてドル/円は113.87まで上昇したものの、上値は限定的だった。一方、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比405円安まで下落したことから、クロス円は序盤から軟調な動きとなった。
(2)日経平均株価が安値圏で推移したことや、時間外取引で米長期金利が低下したこと、またドルが欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、円が買われる動きとなり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、黒田日銀総裁が会見で「現時点の円安は日本経済にマイナスではない」「輸出の増加、海外子会社の収益増などプラス効果がある」との見方を示したことを受けて円が売られ、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された7-9月期の米GDPが市場予想を下回る伸びとなったものの、新規失業保険申請件数が昨年3月以来、約1年7ヵ月ぶりの低水準まで改善したことが好感され、ドルは底固い動きとなった。一方、ECB理事会後の定例会見で、ラガルドECB総裁が「ユーロ圏は強い回復を続けている」「経済リスクは概ね均衡」「PEPPパンデミック緊急購入プログラムは2022年3月で終了予定」「PEPP終了の十分な根拠がある」との発言がタカ派的と受け止められてユーロ買いが優勢となった。ユーロは対ドルで9/28以来の高値を更新するなど、主要通貨に対して全面高となった。一方、ドルは対主要通貨で全面安となる中、対ユーロで下落したことや、米長期金利が低下したことから、対円でも10/14以来の安値となった。
(4)ナスダックやS&P500が史上最高値を更新するなど、米主要株価指数が堅調な動きとなったことから円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。さらに、米長期金利が持ち直したこともドルの下支え要因となった。
本日のトピックス
昨日のECB理事会では、現行の金融政策の維持が決定されたものの、その後のラガルドECB総裁の会見での発言がタカ派的と受け取られたことから、ユーロは主要通貨に対して上昇した。米国と比べて金融政策の転換が遅れると指摘されていたが、今回の発言を受けて一部では利上げが前倒しされるとの期待感も出ている。ユーロは対ドルで今月中旬に2020年7月以来の安値を更新したものの、ここから対ドルで堅調な動きとなるのか注目される。
本日は、フランス、ドイツ、ユーロ圏のGDPの発表が予定されており、結果が注目されている。一方、米国時間では、10月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、物価上昇に対する消費者の懸念を背景に低水準が続いている。特に、物価上昇に対する懸念が残る中で、インフレ期待などに落ち着きが見られるのか注目したい。
10/29の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
9月個人支出(前月比) ![]()
1ヶ月間に、耐久財(自動車や家電製品など)や、非耐久財(食品や衣料など)、サービス支出(外食・旅行など)において、実際に個人が消費支出した金額について集計した経済指標。
|
0.6% | 0.8% |
前回は市場予想を上回り、2ヵ月ぶりのプラスとなった。食品などの支出が増加したことが影響し、食品とエネルギーを除いたPECコア指数も1991年以来の大きさとなった。今回は、前回から伸び幅の低下が予想されているものの、プラスは維持されると見られている。また、PECコア指数は前月を上回ると予想されており、結果が注目されている。 | ||||
23:00 | 米国 |
10月ミシガン大学消費者信頼感指数 ![]()
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
|
71.4 | 71.4 |
前回の速報値は、市場予想を下回り、前月からも低下した。現況、先行ともに前月から低下となり、1年先の期待インフレが4.8%と、2008年8月以来の高水準となり、物価上昇に対する消費者の懸念の高まりが圧迫要因となった。今回の確報値では、速報から横ばいが予想されているが、現況、先行指数、また期待インフレの修正があるのか注目されている。 |
本日のトレードポイント

※出所:FX総合分析チャート
ユーロ/ドルは、目先の上値のポイントである1.1669を上抜けており、ここから一段の上昇となるのか注目される。
一目均衡表では、基準線と転換線がクロスしており、ここから一段の上昇となれば、遅行スパンも価格帯を上抜けることから、雲を上抜ける展開となる場合には、三役好転の強気シグナルとなることから、ここからのチャート形状が注目される。
目先の上値は、1.1669を上抜けたことによる上値目標の計算値である1.1730一目均衡表の雲上限ラインの1.1786がポイントと考えられる。一方、下値のポイントは基準線の1.1634となり、ここを下抜ける場合には一段の下げとなる可能性もあるだろう。