前営業日トピックス
東京市場では、新規材料に乏しい中、日経平均株価が堅調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ドルは、前日の海外時間で共和党のマコネル上院院内総務が短期的な債務上限の引き上げを容認すると表明したことなどが引き続き下支え要因となり、対円で111.51まで上昇した。その後、欧州時間に欧州主要株価指数が軒並み上昇したことから、クロス円は堅調な動きとなった一方、米長期金利が低下したこともあり、ドルは伸び悩む展開となった。
米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が改善したことを受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。その後、シューマー米上院院内総務が12月上旬まで債務上限を引き上げる案について合意したと発言したことを受けて、デフォルト懸念が一旦回避されるとの見方から米主要株価指数が軒並み上昇となり、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。ドルは、米長期金利の上昇も加わり、111.64まで上昇した。
米株式市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が予想以上の改善となり、雇用情勢の回復が示されたことや、デフォルト懸念が一旦回避されるとの見方から主要株価指数は3営業日続伸となった。ダウ平均株価は、一時前日比558ドル高まで上昇したが、終盤に下げ幅を縮小して337.95ドル高(+0.98%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、152.11ポイント高(+1.05%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の米国市場の株価上昇を受けて、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比486円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したことも加わり、ドル/円は111.51まで上昇した。前日の米ADP雇用統計が市場予想を上回る結果となり、週末の米雇用統計への期待が高まったことや、共和党のマコネル上院院内総務が短期的な債務上限の引き上げを容認すると表明したこともドルの下支え要因となった。
(2)午後に入り、日経平均株価が上げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。さらに、米長期金利が低下したことも加わり、ドル/円は一時111.23まで下落した。欧州市場では、欧州主要株価指数が軒並み堅調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなったものの、上値は限定的だった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が予想以上に改善しワクチン接種拡大を背景にした経済活動の再開で労働市場の改善が示されたことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。その後、シューマー米上院院内総務が12月上旬まで債務上限を引き上げる案について合意したと発言したことを受けて、デフォルト懸念が一旦回避されるとの見方から米主要株価指数が軒並み上昇となり、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。さらに、米長期金利が上昇したことも加わり、ドル/円は111.32から111.64まで上昇した。
本日のトピックス
マーケットでは、米国のテーパリング開始時期や利上げの時期に注目が集まる中、その行方を左右する可能性もあることから、本日発表される米雇用統計の結果が注目されている。6日に発表されたADP雇用統計では、雇用者数の伸びが市場予想を上回る結果となったことから、米雇用統計の結果に対する期待感も高まっている。そのため、発表までは様子見ムードが強まり、限定的な動きが予想されている。
景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が市場予想を上回るなど良好な結果となる場合には、11月FOMCでのテーパリング開始や早期利上げに対する期待感が高まり、米長期金利が上昇とともに、ドルも堅調な動きとなる可能性も考えられる。ただ、先月同様に冴えない結果となる場合には一段の下げとなる可能性も考えられることから、結果が注目される。
10/8の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
9月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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50.0万人 | 23.5万人 |
前回は市場予想を大きく下回る伸びとなったが、9/6に失業保険の上乗せ支給が完全失効になったことで、9月以降の雇用の増加が期待されており、今回の雇用統計に反映されているとの見方もある。先に発表されたADP雇用統計では、雇用者数の伸びが市場予想を上回る結果となったことから、米雇用統計の結果に対する期待感も高まっている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、上昇後に一旦調整となったものの、38.2%押しとなる110.943近辺、一目均衡表の基準線手前近辺で底固い動きとなり、再び上昇に転じている、半値押しまでの調整とならなかったことから、直近高値の112.076を上抜ける確率は高いと考えられる。
112.076を上抜ける展開となる場合には、一段の上昇となる可能性が考え、その場合の上値目標の計算値は113.789となる。一方、オシレーターのMACDでは、両線上向き継続中だが、乖離幅は縮小傾向であることから、先行するラインが失速する場合には、調整の動きが早まる可能性もあることから、両線の動きには注意したい。
気まぐれ投資コラム
米雇用統計、期待通りの結果となるか?
前回の8月の米雇用統計では、失業率が市場の予想通り改善(7月5.4% ⇒ 8月5.2%)したものの、景気動向を敏感に反映する非農業部門雇用者数が+23.5万人(市場予想+73.3万人、7月+105.3万人)と予想以上の伸び幅の低下となったことから、ドル売りが優勢となった。
マーケットでは、米国のテーパリング開始時期や利上げの時期が注目されており、前回の雇用統計発表前には、9月にテーパリング開始との期待感も高かったことから、雇用者数の伸びが予想外の大幅低下となったことで、テーパリング開始時期が事実上先送りされ、現在では11月開始がコンセンサスとなっている。
9/6に失業保険の上乗せ支給が完全失効になったことで、9月以降は雇用の増加が見込まれるとの見方も根強く、今回の雇用統計に反映されているとの見方もある。先に発表されたADP雇用統計では、雇用者数の伸びが市場予想を上回る結果となったことから、米雇用統計の結果に対する期待感も高まっている。
その中で、今回の雇用統計で雇用者数の伸び幅が予想以上となれば、11月テーパリング開始が確実視され、ドルは一段の上昇となる可能性も考えられる。しかし、伸び幅が市場予想に届かず、前月並みの伸び幅に留まる場合には、11月テーパリング開始がさらに先送りされるとの懸念が広がる可能性もあり、そうなればドルの圧迫要因になることも考えられる。
※出所:FX総合分析チャート
※出所:データを基にSBILMが作成