前営業日トピックス
東京市場では、香港市場で中国恒大集団の株式の取引停止との報道を受けて、巨大債務問題や中国の景気減速への懸念を背景に、投資家のリスク回避の動きが高まり、序盤に270円超上昇した日経平均株価が下落に転じ、前週末比420円超下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドルは、米長期金利が上昇したこともあり、序盤の安値の110.88から111.12まで上昇したものの、上値は限定的となった。その後、欧州時間では、下落した欧州主要株価指数がプラス圏まで戻したことや、米長期金利が一段の上昇となったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、米国の債務上限問題に対する懸念を背景に、ドルは序盤から主要通貨に対して軟調な動きとなった。その後、下げ一服となったことや、米長期金利が上昇したこともあり、ドル/円は110.91から再び111.24まで上昇した。しかし、米主要株価指数が軒並み大幅下落となったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、さらに上昇していた米10年債利回りが1.461%まで低下したことも加わり、ドル/円は110.82まで下落し、9/27以来の安値を更新した。
米株式市場では、中国恒大集団の債務問題に加え、米債務上限問題や大型経済対策法案の協議難航を背景に、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、サプライチェーンの混乱に対する警戒感も圧迫要因となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前週末比504ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小し、323.54ドル安(-0.94%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、311.22ポイント安(-2.14%)で終了し、6/22以来の安値となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が前週末比273円高まで上昇したものの、香港市場で中国恒大の取引停止が発表されたことで、中国不動産大手が抱える巨大債務問題や、中国の景気減速への懸念が高まり、投資家のリスク回避の動きが強まり、日経平均株価が下落に転じ、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後、リスク回避の動きからドルが買われたことや、米長期金利が上昇したことから、ドル/円は110.88から111.12まで上昇した。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大し、一時前週末比427円安まで下落したことから、クロス円は上値の重い動きとなり、さらに上昇していた米長期金利が低下したことから、ドル/円も上値の重い動きとなった。欧州時間では、下落して始まった欧州主要株価指数が一時プラス圏まで上昇したことや、米長期金利が上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、米国の債務上限問題や大型経済対策法案の協議難航に対する懸念を背景に、ドルは序盤から主要通貨に対して軟調な動きとなった。その後、111円台を回復していたドル/円が再び110円台まで下落したことで、値頃感の買い戻しの動きに加え、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.472%から1.506%まで上昇したこともあり、ドル/円は再び111.24まで値を戻した。一方、NY原油先物が2014年11月以来約7年ぶりの高値を更新したことで資源国通貨がドルや円に対して堅調な動きとなった。
(4)ドルは資源国通貨に対して下落したことや、米主要株価指数が軒並み大幅下落となったことから、ドル円・クロス円は一段の下落となった。さらに、米10年債利回りが1.461%まで低下したことも加わり、ドル/円は110.82まで下落し、9/27以来の安値を更新した。
本日のトピックス
前日の海外市場の株安を背景に、日経平均株価が序盤から大幅下落となり、一時780円超の下落となった。中国不動産大手の巨大債務問題に伴う中国景気の減速懸念や、米国の債務上限問題に対する懸念が要因となっており、投資家のリスク回避の動きからドル円・クロス円も上値の重い動きとなっている。
米国の債務上限問題に関しては、バイデン米大統領は債務上限の引き上げの必要性に言及し、デフォルトに陥らない保証はできないと発言している。債務の上限到達が18日頃とされており、バイデン米大統領は今後共和党のマコネル院内総務と協議を行うとしていることから、協議の内容に左右される展開も予想される。
本日午後には、豪州中銀の金融政策発表が予定されており、マーケットでは金利据え置きが予想されている。ただ、声明や当局者の発言で先行きの利上げ時期に関するヒントがあるのか注目されている。
米国時間では、8月の米貿易収支、9月の米ISM非製造業景況指数の発表が予定されている。週末の米雇用統計の注目度が高まる中で、米ISM非製造業景況指数の雇用指数の結果が注目されており、前月に続いて改善が見られるのか注目したい。
10/5の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
8月貿易収支
貿易収支は、米国から輸出された金額と米国へ輸入された金額の差額。米国では、輸出、輸入ともモノだけではなくサービス(運賃や保険、観光など)も含まれる。
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-706億USD | -701億USD |
前回は市場予想を上回り、過去最大の赤字となった6月から赤字額は縮小した。サービスへの出費が増加し、消費財の輸入が減少したことが影響した。今回は、赤字額の小幅増加が予想されているが、供給の混乱が続いているものの、輸入が増加している場合には、赤字額が予想以上に拡大している可能性を指摘する向きもある。 | ||||
23:00 | 米国 |
9月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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59.9 | 61.7 |
前回は市場予想を上回ったものの、過去最高となった7月の結果から低下した。景況指数や仕入価格が大きく低下したことが影響した。今回は、前月からさらに低下が予想されているが、依然として高水準を維持すると見られている。また、米雇用統計が注目される中で、前月改善した雇用指数の結果にも注目したい。 |