前営業日トピックス
東京市場では、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じ、一時300円超下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。一方、豪州の雇用統計で、雇用者数が市場予想を上回る落ち込みとなったことから、豪ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。午後には、中国や香港株が大幅下落となったことから、日経平均株価も下げ幅を拡大し、投資家のリスク回避の動きからドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された8月の米小売売上高と9月フィラデルフィア連銀景況指数がともに予想外の大幅な伸びとなったことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したことから、ドル/円は前日高値の109.75を上回り、109.83まで上昇した。一方、ポンドや豪ドルは対ドルで下落したことから、対円でも軟調な動きとなった。ただ、ユーロ/円はドル/円の動きに連れて底固い動きとなった。
米株式市場では、序盤に発表された8月の米小売売上高が良好な結果となり、FRBによる早期のテーパリングへの警戒感が広がったことや、変異株の感染拡大が労働市場などに影響しているとの懸念を背景に、主要株価指数は軟調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤に前日比129ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて63.07ポイント安で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、終盤にプラス圏まで回復し、20.40ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場終盤の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。ドル/円は、一時109.46まで上昇したものの、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じて下げ幅を拡大したことから、ドル/円が109.22まで下落するなど、クロス円も軟調な動きとなった。一方、8月のオーストラリアの雇用統計では、失業率が改善したものの、就業者数が大幅に落ち込んだことが嫌気され、豪ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
(2)中国の不動産開発大手の債務問題が中国経済全体に影響すると懸念を背景に、中国や香港の株価が下落し、日経平均株価が一時前日比309円安まで下落するなど、リスク回避の動きから円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなったことから、対円でも底固い動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が増加したものの、8月の米小売売上高と9月フィラデルフィア連銀景況指数がともに予想外の大幅な伸びとなったことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、指標結果を受けて、FRBによる早期のテーパリングへの期待感の高まりを背景に、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.307%から1.349%まで上昇したことから、ドルは対円で指標発表直前の109.36から109.83まで上昇し、前日高値の109.75を上回った。
(4)上昇一服後は、米長期金利が低下したこともあり、ドル/円は上値の重い動きとなった。一方、ポンドや豪ドルは、対ドルでの下落に押され、対円でも軟調な動きとなり、特に豪ドル/円は8/27以来の安値を更新した。ただ、ユーロ/円はドル/円の動きに連れて底固い動きとなった。
本日のトピックス
本日は、東京市場が3連休前であることや、来週に注目の米FOMCが控えていることもあり、積極的な売買が手控えられる可能性が考えられ、限定的な動きが予想されている。ただ、その中で、中国の不動産開発大手の債務問題を背景に、中国株の下落が続いており、株式市場の動きが注目されている。
米国時間では、ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、前回は約10年ぶりの低水準まで低下し、消費者がインフレや変異株の感染拡大が米経済に影響するとの懸念を示していることが示された。今回は、若干の改善が予想されているが、改善が小幅に留まる場合には、改善に時間を要するとの見方が高まる可能性も考えられる。ただ、前日の小売売上高が予想外の結果となり、FRBによる早期のテーパリングに対する期待感から米長期金利が上昇したこともあり、引き続き米長期金利の動きには注目したい。
9/17の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
9月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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72.0 | 70.3 |
前回(8月の確報)は市場予想を下回り、2011年12月以来の低水準となった。現況指数は2020年4月以来、期待指数は2013年10月以来の低水準となり、変異株の感染拡大やインフレに対する消費者の懸念が高まっていることが示された。今回の9月の速報は、前月確報から改善が予想されているが、小幅な改善に留まると見られており、大幅な改善とはならないと見られている。 |