前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から350円超上昇したことから、投資家のリスク選好の動きが強まり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米長期金利の上昇も加わり、ド/ル円は110円台で底固い動きが続いた。その後、上海株をはじめアジア株全般の上昇とともに日経平均株価が上げ幅を拡大し、361円高で終了したことや、欧州主要株価指数や米株価先物が上昇したことから、ドル円・クロス円も一段高となった。
米国市場では、序盤に発表された8月のADP雇用統計が市場予想を大幅に下回ったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。また、金利先高観が後退したことも加わり、ドル/円は110.39から109.88まで下落した。しかし、その後に発表された8月の米ISM製造業景況指数が市場予想を上回ったことから、ドル/円は110.13まで持ち直したものの、米雇用統計の発表を翌日に控えて、終盤まではドルは上値の重い動きが続いた。一方、前日に続きECB当局者のタカ派的発言を受けて、ユーロは対ドルでは8/5以来の高値を付け、対円でも7/30以来の高値となった。
米株式市場では、序盤に発表された米ADP雇用統計が市場予想を下回り、景気回復が減速するとの警戒感が広がり、ダウ平均株価は序盤から軟調な動きとなった。一方、米長期金利が低下したことから、金利動向に敏感なナスダックは序盤から底固い動きとなった。ダウ平均株価は、一時プラス圏まで回復したものの、終盤には再びマイナス圏まで下落し、48.20ドル安(-0.14%)で終了、3営業日続落となった。一方、ナスダックは終盤まで底固い動きが続き、50.14ポイント高(+0.33%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場終盤の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。ただ、日経平均株価が序盤から上昇となり、前日比350円超上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米長期金利が時間外取引で上昇したことも加わり、ドル/円は前日高値の110.08を上抜けて110.24まで上昇した。
(2)米長期金利、日経平均株価の上昇一服となったことから、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。しかし、終盤に日経平均株価が上げ幅を拡大し、前日比361円高で終了したことや、欧州主要株価指数が軒並み上昇して始まったことから、投資家のリスク選好の動きが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は110.42まで上昇した。
(3)米国市場では、序盤に発表された8月のADP雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回ったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落となった。また、早期の量的緩和縮小期待が薄れ、金利先高観が後退し米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.323%から1.281%まで低下したことも加わり、ドル/円は発表直前の110.39から109.88まで下落した。一方、ドイツ連銀総裁が、ECBはPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の終了に向け準備を始める必要があるとの考えを示したことを好感してユーロ買いが優勢となり、ユーロは対ドルでは8/5以来、対円でも7/30以来の高値を更新した。
(4)その後に発表された8月の米ISM製造業景況指数、7月の米建設支出がともに市場予想を上回る結果となったことからドルは持ち直し、ドル/円は110.13まで上昇した。ただ、米雇用統計の発表を翌日に控えており、結果を見極めたいとの思惑も強まり、終盤までドルは上値の重い動きが続いた。一方、終盤にかけてダウ平均株価がマイナス圏まで下落したことや、ナスダックが上げ幅を縮小したことから、クロス円も上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
今週発表された8月の米消費者信頼感指数、ADP雇用統計が悪化したことで、早期の米量的緩和縮小期待が後退しており、週末の米雇用統計への懸念も強まっている。米雇用統計が前月並みの結果となり、強い雇用改善が続いていることが示されれば懸念払拭となるが、市場予想を下回るなど冴えない結果となる場合には、年内の量的緩和縮小開始に暗雲が立ち込めることもあるだろう。
そのため、米国市場では週末の米雇用統計を控えて様子見ムードが強まる可能性も考えられるが、米新規失業保険申請件数(8/28までの週)の発表が予定されており、予想の範囲内の結果なら反応は限定的と考えられるが、ここまでの結果を踏まえると、予想より悪化する場合にはやや過敏に反応する可能性も考えられる。また、同時に7月の米貿易収支の発表も予定されている。こちらは前回の過去最大の赤字額からの改善が予想されており、予想通りの改善なら反応は限定的だろう。
9/2の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(8/28までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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34.5万件 | 35.3万件 |
前回は市場予想を上回り、前週からも増加となった。増加幅は小幅に留まり、前週までの4週連続低下の反動と見られている。今回は、再び減少が予想されており、感染拡大以来の低水準となった先々週の34.9万件を下回ると予想されており、予想通り改善が進むのか注目されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
7月貿易収支
貿易収支は、米国から輸出された金額と米国へ輸入された金額の差額。米国では、輸出、輸入ともモノだけではなくサービス(運賃や保険、観光など)も含まれる。
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-710億USD | -757億USD |
前回は市場予想を上回る赤字額となり、過去最大を更新した。設備投資や個人支出の急増を背景に、財、サービスなどの輸入が増加したことが影響した。依然として在庫不足が続いており、輸入の拡大が続く可能性も指摘されている。そのため、一部では赤字額の拡大を予想する向きもある。ただ、今回は前回の反動もあり、赤字額の縮小が予想されている。 |