前営業日トピックス
東京市場では、先週末にジャクソンホールシンポジウムが終了したことで、マーケットの注目が今週末の米雇用統計に移っている。その中で、序盤から280円超上昇した日経平均株価が15円高まで上げ幅を縮小したことや、米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなる場面もあった。しかし、下値も限られ全般的に底固い動きに終始した。
米国市場では、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなり、ドル/円は一時109.96まで上昇したものの、110円台を前に上値が抑えられたことや、米住宅関連の経済指標が冴えない結果となったこと、さらに米長期金利が低下したこともドルの圧迫要因となり、ドルは上値の重い動きとなった。ただ、109.80台後半では底固い動きも見られ、下値も限定的だった。一方、英国市場が休場となり、市場参加者が少ないことも加わり、欧州通貨や資源国通貨も限定的な動きとなった。
米株式市場では、先週末のパウエルFRB議長の講演で、年内の量的緩和の縮小(テーパリング)について前向きな姿勢を示した一方、テーパリングと利上げには直接的な関連がないとして全体的にハト派色の強い内容となったことが引き続き圧迫要因となり、ダウ平均株価は上昇して始まったものの上値の重い動きとなった。その後、一時54ドル高まで上昇したものの、終盤には再びマイナス圏まで下落し、55.96ドル安(-0.16%)で終了した。一方、金利動向に敏感なナスダックは、米長期金利の低下を受けて底固い動きが続き、終盤には取引時間中の最高値を更新し、136.39ポイント高(+0.90%)で終了、終値ベースの最高値も連日更新した。また、S&P500も取引時間中、終値ベースの最高値を連日更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)ハト派な印象と受け取られた先週末のパウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演を終えたことから、マーケットの注目は米雇用統計に移っている。ただ、米景気や雇用統計に関連する主要な米経済指標の発表は翌日からとなることから、東京市場でドルはやや限定的な動きとなった。その中で、序盤に前週末比280円高まで上昇した日経平均株価が15円高まで上げ幅を縮小する動きとなったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が低下したことも加わり、ドル/円は109.88から109.70まで下落した。
(2)下げ一服後、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、ニュージーランドでは、全土で実施しているロックダウンが緩和されると発表されたが、最大都市のオークランドでは引き続き封鎖が続くことが嫌気され、NZドルはドルや円などに対して上値の重い動きが続いた。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。ドル/円は一時109.96まで上昇したものの、110円台を前に売りに押されたことや、7月の米中古住宅販売仮契約が予想に反して2ヵ月連続のマイナスとなったことから上値の重い動きとなった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.313%から1.276%まで低下したこともドルの圧迫要因となり、ドルは上値の重い動きとなった。ただ、ドル/円は109.80台後半では底固い動きとなり、下値も限定的だった。一方、英国市場が休場となり、市場参加者が少ないことも加わり、欧州通貨や資源国通貨も限定的な動きとなった。
本日のトピックス
前日の海外市場では、英国市場が休場だったことや、主要な米経済指標の発表がなかったことから、全般的な限定的な動きとなった。本日は、英国市場が休場明けとなることや、欧米の主要な経済指標の発表が予定されていることから、動きが出る可能性も考えられる。
特に、米国市場では8月の米消費者信頼感指数の発表が予定されており、ワクチン接種の進展を背景に、前月6ヵ月連続の上昇となるなど、消費者が楽観的な見方が示された。ただ、変異株の感染拡大や地政学的リスクを背景に、消費者の景気や雇用に対する見方に変化が出ているのか注目される。今回は、前回からの低下が予想されているものの、引き続き高水準が維持されると見られているが、結果に対するマーケットの反応に注目したい。
8/31の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:45 | 米国 |
8月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業部門の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。また、米ISM製造業景況指数の1営業日前に発表されることから、先行指標とされている。
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68.0 | 73.4 |
前回は市場予想に反して上昇となり、5月以来の高水準となった。さらに、景気の拡大縮小の判断基準となる50を13ヵ月連続上回っており、製造業の堅調さが続いていることが示された。今回は、前回からの低下が予想されているものの、依然として高水準が維持されると見られている。 | ||||
23:00 | 米国 |
8月消費者信頼感指数
消費者信頼感指数は、米国のCB(Conference-Board=コンファレンスボード「全米産業審議委員会」)という民間の調査機関が発表する消費者マインドを指数化したもの。5,000人の消費者にアンケート調査を行い、現在と半年後の景況感、雇用、所得の項目で回答した結果を指数化している。
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123.0 | 129.1 |
前回は市場予想を上回り、6ヵ月連続の上昇となり、2020年2月以来の高水準となった。消費者が現状の景気や雇用環境への楽観を強めていることが示された。今回は、前回からの低下が予想されているが、コロナ感染拡大以降の最高となった現況指数が大幅低下とならなければ、懸念要因にはならないと見られている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ユーロ/円は、6月から続いたトレンドラインを上抜けたことから一段の上昇となっている。さらに、一目均衡表の基準線も上抜けており、ここから一段の上昇となるのか注目される。目先の重要な上値のポイントは130.558となるが、手前には一目均衡表の雲下限ラインがあることから、この近辺で上値が抑えられる可能性も考えられる。
目先の方向性を予測する上で注目されるオシレーターのMACDでは、両線が上向き、乖離幅も拡大傾向となっており、堅調な展開を示唆する形状となっている。ここから両線がゼロポイントを上抜ける場合には、上昇継続のシグナルとなるが、ゼロポイント近辺で失速するケースもあることから、両線の動きに注目したい。
また、相場の方向性を示すとされる一目均衡表の基準線は、2日まで129.248で横ばいが続いくが、3日には129.215,来週の7日には128.972まで低下する。現在は基準線の上側を推移していることから、下落に転じる確率は低いと思われるが、基準線が低下する場合の動きには注目したい。ただ、週内に130.558を上回る場合、また来週7日以降までに130.006を上回る場合には、基準線は上向きに転換することから、その場合の方向性にも注目したい。
下値のポイントは一目均衡表基準線となり、ここを下抜ける場合には6月以降と同様に再び軟調な展開となる可能性も考えられる。
上値のポイント
(1)129.762 (2)130.006 (3)130.558
下値のポイント
(1)129.484 (2)129.248 (3)128.766