前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなったことや、時間外取引で米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。その後、日経平均株価が下げ幅を縮小したこともあり、クロス円は堅調な動きとなったが、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなったことから、ドル/円も序盤に110.08から109.89まで下落した。ただ、パウエルFRB議長の講演を控えて様子見ムードが強まったことから、全般的に限定的な動きとなり、欧州時間では、米国での早期のテーパリング開始への期待感などからドルは底固い動きとなった。
米国市場では、序盤に米当局者らのタカ派的発言を受けて、ドルは序盤から堅調な動きとなり、ドル/円は一時110.27まで上昇し、8/13以来の高値を更新した。しかし、パウエルFRB議長の講演で「年内のテーパリング開始が適切となる」としたものの、テーパリングが利上げ時期を直接的に示すシグナルではないとしたことから、米長期金利が低下し、ドルは主要通貨に対して下落となり、対円でも109.78まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したことから、クロス円は底固い動きとなった。
米株式市場では、パウエルFRB議長が講演で、量的金融緩和の年内の縮小が適切と発言したものの、具体的な時期には言及しなかったことから量的緩和策縮小が早まるとの懸念が後退し、買いが優勢となった。ダウ平均株価は序盤から堅調な動きとなり、一時前日比266ドル高まで上昇した。終盤まで高値圏を維持し、242.68ドル高(+0.69%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、183.69ポイント高(+1.23%)で終了し、S&P500と共に取引時間中、終値ベースの最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、パウエルFRB議長の講演を控えてドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。その中で、日経平均株価が序盤に一時前日比261円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が時間外取引で低下したことから、ドル/円は序盤に110.08から109.97まで下落した。
(2)日経平均株価が74円安まで下げ幅を縮小したことや、実需のドル買いも観測され、仲値公示にかけてドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、月末スポット応当日であることから、仲値通過後は実需のドル売りが観測されたことからドル/円は109.89まで下落した。一方、対ドルで上昇したことから、欧州通貨や資源国通貨は対円でも堅調な動きとなった。その後、パウエルFRB議長の講演を控えて様子見ムードが強まる中で、早期のテーパリング開始に対する思惑もあり、ドルも底固い動きとなった。
(3)米国市場では、パウエルFRB議長の講演を控える中で、アトランタ連銀総裁が「10月のテーパリング開始が合理的」、クリーブランド連銀総裁が「9月会合でのテーパリング協議開始に違和感ない」と、米当局者からのタカ派的発言を受けて、ドルは序盤から堅調な動きとなり、ドル/円は一時110.27まで上昇し、8/13以来の高値を更新した。しかし、パウエルFRB議長が講演で「年内のテーパリング開始が適切となる」としたものの、テーパリングが利上げ時期を直接的に示すシグナルではないとしたことや、テーパリング開始時期に関して具体的に明言しなかったことから、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.357%から1.298%まで低下するなど、ドルは主要通貨に対して全面安となったことから、対円でも109.78まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したことから、対円でも底固い動きとなった。
本日のトピックス
先週末のパウエルFRB議長のジャクソンホールシンポジウムでの講演で、年内の量的緩和策の縮小開始は適切としたものの、具体的な開始時期に関しては明言をしなかった。かねてから雇用の改善が再優勢事項との考えを示していることや、量的緩和策縮小開始の時期データ次第としていることから、今週末の米雇用統計で一段の改善が示され、昨年の雇用消失の改善目途が立ってからと考えられる。このことから、縮小開始時期は今週末の米雇用統計の結果次第との見方もあり、雇用統計の結果に注目が集まっている。そのため、雇用統計までは再び様子見の展開が続く可能性もあるが、雇用関連の経済指標の発表が続くことから、その結果に敏感に反応する可能性もあるだろう。
本日は、イベント終了後(ジャクソンホールシンポジウム)であることや、明日から主要な米国の経済指標の発表が続くものの、本日は主要な経済指標の発表がないことから、限定的な動きが続く可能性も考えられる。
8/30の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
7月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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0.4% | -1.9% |
前回は予想外の低下となり、在庫不足と住宅価格の高騰が影響していることが示された。ただ、住宅購入の需要は高いものの、価格安定まで手控えているとの指摘もある。今回は、上昇が予想されており、資材価格の低下などの影響で、価格が抑えられていれば上昇に拍車がかかると見られている。 |