前営業日トピックス
東京市場では、FOMC議事要旨で量的緩和の縮小(テーパリング)に向けた議論が進展したことが確認されたことが好感され、年内に縮小が開始されるとの思惑が広がり、ドル買いが優勢になった。ドル/円は、一時110.23まで上昇し、8/13以来の高値を更新した。一方、クロス円はドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなったものの、日経平均株価が序盤から下落したことやアジア株全般が下落したこともあり、上値は限定的だった。その後、欧州主要株価指数が序盤から大きく下落したことや、米長期金利が急低下するなどリスク回避の円買いが強まったことから、ドル円・クロス円は下落に転じ、ドル/円は一時109.48まで下落した。
米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が1年5ヵ月ぶりの水準まで改善したことに加え、アジア時間に低下した米長期金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円では109.84まで上昇した。その後は、米長期金利の上昇が一服したことや、終盤に一時プラス圏まで回復したダウ平均株価が再びマイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円は終盤まで上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、前日のFOMCの議事要旨を受けて年内の量的金融緩和策縮小観測が高まったことが引き続き材料視され、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、変異株による感染再拡大で米景気回復が減速するとの懸念も投資家心理を圧迫した。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比270ドル安まで下落した。終盤には下げ幅を縮小する動きとなり、66.57ドル安(-0.19%)で終了、3営業日続落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、15.88ポイント高(+0.11%)と、S&P500とともに小幅反発となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米FOMCの議事要旨で、テーパリング開始時期に関してメンバーの見解が分かれていることが明らかとなったが、年内に条件などが整うとの期待感もあり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。対円では、前日の海外時間に付けた高値の110.07を上抜けて、一時110.23まで上昇し、8/13以来の高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落し、ユーロ/ドルは一時昨年11/4以来の安値となったものの、ドル/円の上昇を受けて、対円でも2/24以来の安値となる127.94まで下落するなど軟調な値動きとなった。
(2)上昇一服後は、ドルはやや上値の重い動きとなったものの高値圏で推移し、110円台を維持する動きとなった。一方、日経平均株価が一時228円安まで下落するなど、軟調な動きが続いたこともあり、クロス円も上値の重い動きとなった。しかし、欧州時間に入ると、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.265%から1.218%まで急落となり、ドル/円は110円台割り込んで109.48まで下落した。一方、アジア株全般の軟調な値動きに続き、欧州主要株価指数が序盤から大きく下落したことから、欧州通貨や資源国通貨も対円で下落した。
(3)米国市場では、欧州時間の下落が一服しており、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。序盤に発表された米新規失業保険申請件数が1年5ヵ月ぶりの水準まで改善したことに加え、低下していた米10年債利回りが1.218%から1.255%まで持ち直したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円では一時109.84まで回復した。
(4)米10年債利回りの上昇が一服したことや、終盤に一時プラス圏まで回復したダウ平均株価が再びマイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円は終盤まで上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
昨日、ドル/円は東京時間で110円台を維持していたものの、欧州時間には米長期金利の急低下などを背景に109円台前半まで下落した。しかし、米国時間では再び底固い動きとなり、東京時間に入り109.80台後半まで上昇している。ここから再び110円台への回復が見られるのか注目される。
チャート的には109.999に日足・一目均衡表の雲下限ラインがあり、ここ2日間この近辺で上値が抑えられている。このことから、ここを終値ベースで上抜けることができるのか注目されている。
米国市場では、主要な経済指標の発表がなく新規材料に乏しく、また週末であることや、来週に注目のジャクソンホールでのシンポジウムが控えていることもあり、積極的な売買が手控えられる可能性も考えられる。ただ、米長期金利の動きや、株式市場の動きが為替市場に影響する可能性もあることから、両市場の動きにも注目したい。