前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から下落したことから、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。その後、日経平均株価が上昇に転じ、200円超の上昇となったことや、米長期金利の上昇を受けてドル円・クロス円は底固い動きとなった。一方、NZ中銀が市場予想に反して政策金利を据え置いたことから、NZドルは主要通貨に対して下落した。しかし、下げ一服後は持ち直した。欧州市場では、米長期金利の上昇に合わせてドル/円も堅調な動きとなり、クロス円も連れ高となった。
米国市場では、序盤に発表された米住宅関連の経済指標がまちまちの結果となったことや、FOMCの議事要旨公表を控えていたことから、序盤は限定的な動きとなった。その後は、米長期金利が上昇したこともあり、ドル/円は110円台を回復した。しかし、FOMCの議事要旨ではテーパリング時期に関して、メンバーの見解が分かれていることが明らかとなり、さらにコロナ変異株の感染が予想以上に拡大する場合には、見解変更との先行きに警戒感が示されたことも加わり、米長期金利が低下した。こうした中、ドルはポンドを除く対主要通貨で堅調に推移したほか、米株式市場での主要3指数の下落にも為替市場の反応も限定的となり、109円台後半の堅調地合いを継続したほか、クロス円も豪ドル/円やNZ/円、カナダ/円など原油価格の下落を受けて資源国通貨が軟調な値動きとなった。
米株式市場では、FOMC議事要旨の公表を控えて様子見ムードもあり、序盤から小動きの展開が続いた。議事要旨の公表を受けて、量的緩和政策の年内縮小開始との警戒感が高まり、主要株価指数は続落となった。ダウ平均株価は、序盤から小動きの展開が続いたものの、議事要旨を受けて下げ幅を拡大し、一時前日比399ドル安まで下落、382.59ドル安(-1.08%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックも130.27ポイント安(-0.89%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤に上昇した日経平均株価が下落に転じ、76円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドル/円は一時109.48まで下落した。
(2)その後、日経平均株価が上昇に転じ、午後には前日比247円高まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが、時間外取引で、1.253%から1.278%まで上昇したことも加わり、ドル/円は109.68まで上昇した。一方、NZ中銀は、ロックダウンと先行き不透明感を考慮して政策金利の据え置きを決定したが、マーケットでは利上げが予想されていたことから、NZドルは主要通貨に対して下落した。しかし、金融政策報告書(MPS)の政策金利について先々の利上げが示されたことから値を戻す動きとなった。
(3)欧州時間では、欧州主要株価が上値の重い動きとなったものの、米長期金利が上昇したことから、ド/ル円は底固い動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上値の重い動きとなったものの、ドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなった。
(4)米国市場では、序盤に発表された7月の米住宅着工件数が市場予想を下回ったものの、建設許可件数が市場予想を上回るなど、まちまちの結果となったことからマーケットの反応は限定的だった。さらに、FOMCの議事要旨公表を控えていたことも影響した。その中で、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.261%から1.296%まで上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、ドル/円は3営業日ぶりに110円台を回復した。
(5)FOMCの議事要旨では、年内のテーパリングが適切と大半のメンバーが判断していることが明らかとなったが、ほかのメンバーは来年が適切とするなど、見解が分かれたことが明らかとなった。さらに、コロナ変異株の感染が予想以上に拡大する場合には、見解変更との先行きに警戒感が示されたことも加わり、上昇していた米10年債利回りが低下したことから、ドルも主要通貨に対して下落した。また、米主要株価指数が下げ幅を拡大したことや、ドル/円が109円台後半へ反落したこと、ドルがポンドを除く対主要通貨で上昇したこと、さらに原油価格の下落を受けて資源国通貨を中心にクロス円も軟調な動きとなった。
本日のトピックス
前日の米国時間では、ドル/円が一時110円台を回復したものの、FOMC議事要旨を受けて109.70台まで下落した。しかし、年内の米量的緩和策の縮小開始期待が依然として高いこともあり、東京時間では再び堅調な動きとなり、ドル/円は110円台まで回復している。ここから110円台を維持できるのかどうかが注目されている。
米国時間では、新規失業保険申請件数と8月のフィラデルフィア連銀景況指数の発表が予定されており、前者はここまで3週連続の減少で今回もさらに改善が予想されている。後者は、ここまで3ヵ月連続の低下となり、今回は改善が予想されている。今週は冴えない経済指標結果が目立ったこともあり、ともに良好な結果となれば、やや安心感が広がる可能性も考えられる。
8/19の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(8/14までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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36.5万件 | 37.5万件 |
前回は市場予想と一致、3週連続の減少となり、労働市場の改善が示された。しかし、改善ペースは緩やかであり、コロナ変異株の感染拡大が影響している可能性も指摘されている。今回も小幅減少が予想されているが、コロナ感染拡大後の最低となる6/26、7/10までの週の36.8万件を下回る結果となるのか注目されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
8月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。ISM製造業景気指数の先行指標としても注目されている。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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24.0 | 21.9 |
前回は市場予想を下回り、1973年4月以来の高水準を付けた4月の結果から3ヵ月連続の低下となり、昨年12月以来の低水準まで落ち込んだ。新規受注が4ヵ月連続の低下となったことが影響した。今回は、4ヵ月ぶりに上昇が予想されており、特に新規受注に改善が見られるのか注目したい。 |