前営業日トピックス
東京市場が休場だったことから、ドル円・クロス円は序盤から限定的な動きとなった。その中で、ドルが主要通貨に対して軟調な動きとなり、欧州時間の序盤から米長期金利が低下したことから、米国市場序盤にかけてドル/円は一時110.03まで下落した。その後、6月の米雇用関連の経済指標が良好な結果となったことが好感され、ドルは堅調な動きとなった。さらに、米当局者のタカ派的発言を受けて米長期金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して上昇しとなり、対円では終盤に110.35まで上昇した。ただ、前週末高値の110.36には届かなかった。
米株式市場では、新型コロナウイルスの変異株の感染拡大が世界各地で広がっていることから、世界経済の正常化が遅れるとの懸念を背景に、主要株価指数は軟調な動きとなった。ダウ平均株価は、前週末に過去最高値を更新したことで、利益確定の動きが先行し、ダウ平均は序盤に前週末比167ドル安まで下落した。その後、下げ幅を縮小したものの、106.66ドル安(-0.30%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、序盤にマイナス圏まで下落したものの、その後はプラス圏で推移し、24.42ポイント高(+0.16%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場が休場で新規材料に乏しい中、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも上値の重い動きとなった。一方、対ドルで堅調な動きとなった欧州通貨や資源国通貨は、対円でも底固い動きとなった。
(2)欧州時間では、時間外取引の米10年債利回りが低下したことから、ドルは引き続き主要通貨に対して軟調な動きとなり、米国市場序盤には一時110.03まで下げる動きとなった。ただ、110.00台前半では底固い動きとなった。
(3)その後に発表された6月の米JOLT求人件数が過去最高を更新したことで、米企業の採用意欲が高いことが示されたことが好感され、ドルは堅調な動きとなった。さらに、アトランタ連銀総裁が「比較的早期のテーパリングを支持」「テーパリングを前倒しすることも可能」と発言したことや、それまで低下していた米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.243%から1.301%まで上昇したことも加わり、ドルは主要通貨に対して上昇となり、対円では終盤に110.35まで上昇した。ただ、前週末の高値110.36には届かなかった。
本日のトピックス
先週末の米雇用統計の結果や、昨日の米求人件数が過去最高となったことなど、米国の労働市場の堅調さが示されたことから、米国の量的緩和の縮小時期が早まるとの期待感もあり、連休明けの東京市場では、ドルは序盤から堅調な動きとなっている。ドル/円は110.40まで上昇しており、次のポイントは110.59、さらに110.70を上抜ければ、111円台乗せを試す展開も考えられる。
当面の注目は、8/26〜28のジャクソンホール・シンポジウムで米国の量的緩和策の縮小開始時期が表明されるかどうかであり、それまでは米当局者の発言などが注目される。本日の米国市場では、主要な経済指標の発表がないものの、カンザスシティ連銀総裁、クリーブランド連銀総裁の発言のほか、3年債入札が予定されており、特に金融政策に関す発言に敏感に反応する可能性も考えられることから、発言の内容には注目したい。