前営業日トピックス
東京市場では、下落した始まった日経平均株価が下げ幅を縮小したことや、月末を控えて実需のドル買いが観測されたことから、ドル円・クロス円は仲値公示にかけて底固い動きとなった。しかし、午後に入ると、日経平均株価が下げ幅を拡大したことや、アジア株全般が下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、FOMCやFRB議長の会見を控えて積極的な売買が手控えられており、値動きは限定的だった。欧州時間では、欧州主要株価指数、米長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米国市場では、欧州時間から米長期金利の上昇が続いたことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円では110.22まで上昇した。ただ、FOMCを控えて様子見ムードも強まり、値動きは限定的となった。FOMCでは、FF金利誘導目標、資産購入額が予想通り据え置かれ、声明で米経済はテーパリング基準の目標に向けて進展したとの文言が確認されたことからテーパリング議論に進捗が見られたとの見方を受け、米長期金利が上昇し、ドル/円は110.28まで上昇した。しかし、パウエルFRB議長の会見がハト派的と受け止められ、ドル/円は109.84まで下落した一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
米株式市場では、変異株の感染再拡大により世界経済の先行き懸念が高まっていることを背景に、ダウ平均株価は序盤から軟調な動きとなり、一時前日比181ドル安まで下落した。その後は、下げ幅を縮小したものの、127.59ドル安(-0.36%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、前日のハイテク企業の好決算が引き続き材料視され、102.01ポイント高(+0.70%)で終了した。なお、FOMCの声明で量的緩和策の縮小へ議論を進めるとされたが、市場の反応は限定的だった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤に前日比325円安まで下落した日経平均株価が160円安まで下げ幅を縮小したことや、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.239%から1.256%まで上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、スポット月末応当日の仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことから、ドル/円は109.91まで上昇した。
(2)仲値通過後は、上値の重い動きとなり、午後に入り日経平均株価が前日比485円安まで下げ幅を拡大したことや、米10年債利回りが1.232%まで低下したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、FOMCを控えて様子見ムードも高まり、限定的な動きとなった。その後、欧州時間に欧州主要株価指数が上昇したことや、米10年債利回りが1.227%から1.259%まで上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は109.99まで上昇した。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.271%まで上昇したことから、ドルは対円で110.22まで上昇した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで軟調な動きとなったものの、ドル/円の動きに連れ高となった。
(4)米国の主要な経済指標の発表もなく、FOMCを控えて様子見ムードも強まっており、その後は限定的な動きが続いた。FOMCでは、FF金利誘導目標、資産購入額が予想通り据え置かれ、声明で「経済はテーパリング基準のゴールに向け進展」と議論の進捗が見られたことから、米10年債利回りが上昇となり、ドル/円は一時110.28まで上昇した。しかし、パウエルFRB議長の会見で「労働市場の完全回復までは時間がかかる」「利上げは明らかに遠い」との発言がハト派的と受け取られてドルは下落に転じ、ドル/円は109.84まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
本日のトピックス
前日の米国時間のFOMCでは、声明がタカ派的だったものの、パウエルFRB議長の発言がハト派的と受け止められたことから、ドルはFRB議長の発言後に主要通貨に対して下落となった。東京市場では、海外市場の流れを受けてドル/円は軟調な動きとなり、クロス円は日経平均株価が上昇して始まったものの、ドル/円の下落に連れ安となっている。
今回のFOMCでテーパリングに関する具体的な議論が進んでいないことから、8月ジャクソンホール会議か、9月のFOMC(ドットチャートも発表)で具体的な時期・ペースなどが明らかにされるとの見方が広がっている。さらに、パウエルFRB議長の発言の中で、テーパリング時期は経済データ次第と発言したこともあり、今後の主要な米経済指標の結果が注目され、結果を受けて思惑が交錯する展開となる可能性も考えられる。
本日の米国時間では、第2四半期の米GDP(速報)の発表が予定されており、前期から伸び幅の拡大が予想されている。ただ、変異株の感染拡大が影響しているとの見方もあり、予想通りの伸びとなるのか注目されている。一方、新規失業保険申請件数の発表も予定されており、こちらも前週から改善が予想されているが、予想通りの改善となるのか注目されている。
7/29の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
2Q GDP(前期比年率)
GDPは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの付加価値の額を合計したもので、国内の経済規模を測るための指標の一つ。GDPの伸び率は、経済成長率を表す指標として重要視されている。そして、個人消費はGDPのおよそ7割を占めることから、構成指数の中では特に重要視されている。
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8.5% | 6.4% |
前回の第1四半期GDP確定値は、GDPの7割を占める個人消費が0.1ポイント上方修正されたものの、改定値から変わらずとなった。前期から2.1ポイント上昇した。今回の第2四半期速報値は、前期から加速が予想されているが、変異株の感染拡大が影響している可能性に加え、個人消費もサービスへの支出に移行しているとの見方もあり、予想通りの伸びとなるのか注目されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(7/24までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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38.0万件 | 41.9万件 |
前回は予想外の増加となり、1ヵ月ぶりに40万件を上回り、5/14までの週以来の高水準となった。変異株の感染拡大が影響しており、一部では今後数週間は変動が大きくなるとの指摘もある。今回は、前週からの改善が予想されており、再び30万件台まで改善するのか注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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0.5% | 8.0% |
前回は、市場予想に反して大幅上昇となり、2020年6月以来の大幅な上昇となった。住宅ローン金利の低下や販売物件の増加が需要を押し上げた。今回は前月から伸び幅の縮小が予想されているが、2ヵ月連続でプラスとなるのか注目される。 |