前営業日トピックス
東京市場では、序盤に230円超下落した日経平均株価が下げ幅を縮小する動きとなったことから、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動となった。その後、高値圏で推移していた米国債利回りが低下したことから、ドル売りが優勢となり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。一方、NZ中銀が資産買い入れプログラムの停止を発表したことを受けて、NZドルは主要通貨に対して上昇した。その後、パウエルFRB議長の議会証言を控え、ドルは対主要通貨で狭いレンジ内の動きが続いた。
米国市場では、パウエルFRB議長の議会証言の証言原稿がハト派的な内容と受け止められたことから、米長期金利が低下となり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、議会証言でも大規模緩和策は引き続き適切としたことで、量的緩和策の早期縮小期待が後退したことを受けて、ドルは主要通貨に対して下げ幅を拡大した。対円では、一時110円台を割り込み、109.95まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したものの、対円では序盤に堅調な動きが見られたものの、その後は上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、パウエルFRB議長の議会証言の原稿がハト派的と受け止められ、金融緩和の早期縮小観測が後退との見方が広がり、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ただ、米長期金利の低下に伴い金融株が下落したことや、原油安でエネルギー株が下落したことが影響して一時マイナス圏まで下落する場面もあった。ダウ平均株価は、序盤に前日比180ドル高まで上昇したものの、下落に転じて一時61ドル安まで下落した。その後は再びプラス圏まで持ち直し、44.44ドル高(+0.13%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、終盤に再びプラス圏まで値を戻したものの、プラス圏を維持できずに123.41ポイント安(-0.61%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、オープン直後に前日比235円安まで下落した日経平均株価が下げ幅を縮小する動きとなったことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ドル/円は一時前日の海外市場の高値の110.64を上抜けて110.70まで上昇した。しかし、その後は時間外取引で米10年債利回りが1週間ぶりの高水準となる1.421%から1.393%まで低下したことから、ドル売り・円買いが優勢となり、ドル/円は110.47まで下落した。一方、クロス円はドル/円の下落に連れて軟調な動きとなった。
(2)その後、米長期金利が緩やかながら低下したことから、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きが続いた。一方、ニュージーランド中銀が大規模な資産買い入れプログラムを停止すると発表したことを好感して、NZドルは主要通貨に対して上昇した。また、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで上昇したことから、対円でも底固い動きとなった。
(3)米国市場では、パウエルFRB議長の議会証言を前に公表された証言原稿が金融緩和策の早期縮小期待が高まる内容でないと受け止められたことから、米長期金利が低下となり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、議会証言では「物価上昇で予想が大きく崩れた場合にはFRBは行動する」としたことや、「大規模緩和策は引き続き適切」としたことも影響し、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.393%から1.345%まで低下したことから、ドルは主要通貨に対して下げ幅を拡大した。対円では、一時110円台を割り込み、109.95まで下落した。その後、米地区連銀報告で「米経済活動は5月下旬から7月上旬にかけて強まり、緩やかながら力強い回復が見られた」と報告されたことから、底固い動きも見られた。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したものの、対円では序盤に堅調な動きが見られたものの、その後は上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
昨晩のパウエルFRB議長の議会証言がハト派的と受け止められたことから、金融緩和策の早期縮小への期待感が後退し、米長期金利が低下となり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。その流れを受けて、東京市場でも序盤から軟調な動きとなり、ドル/円は一時109.82まで下落した。一方、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比200円超下落したこともあり、クロス円も軟調な動きとなった。ここから引き続きドル円・クロス円は上値の重い動きが続くのか、再び110円台まで値を戻し底固い動きとなるいのか注目したい。
米国市場では、新規失業保険申請件数、ニューヨーク連銀製造業景気指数、鉱工業生産など複数の主要な経済指標の発表が予定されており、結果が注目される。また、パウエルFRB議長は、本日上院銀行委員会での議会証言が予定されているが、昨日と同じ内容であることから反応は限定的と見られているが、こちらも注目しておきたい。
7/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(7/10までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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35.0万件 | 37.3万件 |
前回は市場予想を上回る結果となり、前週から小幅増加となった。改善が進んでいるものの、やや足踏みとなったが、感染拡大以降の低水準近辺を維持している。今回は、減少が予想されており、感染拡大以降で最低となる水準まで改善できるのか注目される。 | ||||
21:30 | 米国 |
7月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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18.0 | 17.4 |
前回は市場予想を下回り、3ヵ月ぶりの低水準となった。2017年3月以来の高水準となった4月の結果からは2ヵ月連続の低下となった。ただ、依然として高水準を維持しており、懸念要因とはならなかった。今回は、前月から上昇が予想されているが、前月に新規受注、雇用者数が3ヵ月ぶりの低水準に落ち込んだことから、両指数の改善が見られるのか注目したい。 | ||||
21:30 | 米国 |
7月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。ISM製造業景気指数の先行指標としても注目されている。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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28.0 | 30.7 |
前回は市場予想を下回り、1973年4月以来の高水準となった4月の結果から2ヵ月連続の低下となった。新規受注が2020年12月以来の低水準となったことが影響した。ただ、依然として高水準を維持していることから、懸念要因とはならなかった。今回は、前回からさらに低下が予想されており、新規受注の改善が見られるのか注目したい。 | ||||
22:15 | 米国 |
6月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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0.6% | 0.8% |
前回は市場予想を上回り、原材料価格の上昇が続く中でも改善が続いていることが示された。製造業、鉱業が改善し、特に自動車の強い改善が全体を押し上げた。今回は、前月から伸び幅の低下が予想されているが、依然として高い伸びを維持すると見られている。 |