前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、序盤にドルは対円で111.16まで上昇し、前日高値の111.12を上回った。その後も111円03銭を下値に111円台での底堅い値動きを継続した。一方、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じたことや、欧州で変異株の感染拡大を背景にリスク回避の動きも意識されたものの、欧州時間に円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、企業の人員削減数が21年ぶりの低水準に低下したことや、米新規失業保険申請件数が予想以上の改善となったことから、週末の米雇用統計に対する期待感が高まり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米長期金利の上昇も加わり、ドルは対円で一時111.64まで上昇し、2020年3/25以来の高値を付けた。ただ、週末の米雇用統計の発表を控えて様子見ムードも強まっており、値動きは限定的だった。
米株式市場では、新規失業保険申請件数が約1年3ヵ月ぶりの低水準に改善したことが好感され、米主要株価指数は堅調な動きとなった。ただ、週末に発表予定の米雇用統計の結果を見極めたいとの思惑も根強く、やや上値は限定的だった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きが続き、131.02ドル高(+0.38%)で終了、3営業日続伸となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、序盤底固い動きとなったものの、その後下げ幅を拡大する場面もあった。ただ、終盤には持ち直して18.43ポイント高(+0.13%)で終了した。また、S&P500は6営業日続伸となり、過去最高値を6日連続で更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が上昇して始まったものの、その後に下落に転じて下げ幅を拡大する動きとなったことや、欧州で新型コロナウイルスの変異株の感染が拡大していることから、リスク回避の動きも意識され、欧州通貨や資源国通貨はドルや円に対して軟調な動きとなった。一方、ドルは前日の海外市場の流れを引き継ぎ、序盤から堅調な動きとなり、対円で一時111.16まで上昇し、その後も111円台での堅調な値動きを継続した。
(2)日経平均株価が下げ幅を拡大し、前日比166円安まで下落したことから、クロス円は上値の重い動きとなった。一方、ドルは前日の6月ADP雇用統計が良好な結果となったことで、週末の米雇用統計に対する期待感もり、底固い動きが続いた。欧州時間には、円売りが強まり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は一時111.63まで上昇し、3/25以来の高値を更新した。一方、英中銀総裁が、一時的なインフレ高進に過剰反応すべきでないとの見方を示したことを受けて、量的緩和縮小観測が後退し、ポンドは主要通貨に対して下落した。
(3)ドル/円は、111.35までの反落に留まるなど堅調地合いを継続する中、米企業の人員削減数が21年ぶりの低水準に低下したことや、米新規失業保険申請件数が予想以上の減少となり、約1年3ヵ月ぶりの低水準まで改善するなど、前日のADP雇用統計の結果に続き良好な結果となったことから、週末に発表される米雇用統計に対する期待感が高まり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
(4)米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.452%から1.483%まで上昇したことも加わり、ドルは対円で欧州時間に付けた111.63を上抜けて111.64まで上昇し、2020年3/25以来の高値を更新した。ただ、週末の米雇用統計の発表を控えて様子見ムードも高まり、値動きは限定的だった。一方、欧州で新型コロナウイルスの変異株の感染が拡大していることや、シドニーが2週間のロックダウンに入ったことが影響し、ユーロや豪ドルは対ドルで軟調な動きとなり、ユーロは対ドル4/6以来、豪ドルは対ドルで2020年12/16以来の安値を付けた。
本日のトピックス
本日は、米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが高まっていることから、統計発表までは限定的な動きが続く可能性が考えられる。
事前に発表されたADP雇用統計や、昨晩の新規失業保険申請件数が良好な結果となったことから、本日発表される米雇用統計への期待感が高まっている。ここまで失業保険の上乗せ給付金(9月末まで)の影響で、雇用改善の遅れが指摘されていたが、徐々に前倒しで上乗せ給付金を撤廃する州も出ていることから、雇用者数の増加ペースは徐々に加速すると見られている。ただ、本格的に統計に反映するのは来月以降との見方もある。
米雇用統計では、市場予想を上回る結果となれば、量的緩和策の早期縮小の思惑も加わり、ドルは一段の上昇となる可能性も考えられる。ただ、ここまでの雇用関連の指標結果の改善を受けて、期待感が高まっていることから、市場予想を下回る伸びとなる場合には、ドルの下振れ(予想との乖離幅が大きければ、下振れ幅も大きくなる)となる可能性も考えられる。
7/2の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
6月雇用統計
雇用統計は、米国の失業率と就業者数を中心に雇用に関する10数項目が発表され、米国の雇用情勢、経済状況を示す重要な経済指標である。特に、非農業部門の雇用者数が重視されていることから注目されている。なお、雇用統計は、個人所得や個人消費の動向にも影響を与え、米国の経済・金融政策を決定する上で、FRBが金融政策の判断材料としても参考にしている。
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72.0万人 | 55.9万人 |
前回は、失業率が市場予想より改善したものの、非農業部門雇用者数が市場予想を下回る結果となった。前月からは改善したものの、事前の期待感が高かったことから、ドルは下振れとなった。今回は、事前に発表された雇用関連の経済指標が良好な結果が続いていることから、再び期待感が高まっており、期待以上の結果となる場合には、ドルの上昇も期待できるが、予想下回る結果となる場合には、下振れとなる可能性もあるだろう。 |