前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の軟調な動きが一服し、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開が続いた。日銀の金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が決定され、資金繰り特別プログラムの期限が従来の9月末から来年3月末までの延長が発表されたが、マーケットの反応は限定的で、狭いレンジ内の動きが続いた。その後、日経平均株価がマイナス圏まで下落したことや、米長期金利の低下などからドル円・クロス円は上値の重い動きとなり、ドル/円は一時109.94まで下落した。
米国市場では、セントルイス連銀総裁が、「最初の利上げは2022年後半になる見通し」との見解を示したことで、量的緩和策の早期縮小観測が強まり、ドルは主要通貨に対して上昇した。ドルは対円で一時110.48まで上昇したものの、米主要株価指数が軒並み大幅下落となったことで、投資家のリスク回避の動きが強まり、安全資産とされ米債券市場への資金流入を受けて米長期金利が低下したことからクロス円は軟調な動きとなったほか、ドル/円は110.04まで下落した。終盤にかけて、ドル/円は狭いレンジ内の動きが続いた。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したことや、米主要株価指数の下落を背景に、対円でも終盤まで上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、セントルイス連銀総裁が、最初の利上げが2022年後半との見通しとの見解を示したことを受けて、金融緩和策の早期縮小観測が強まったことを受けて、主要株価指数は序盤から大きく下落した。さらに、米長短金利差が縮小したことも加わり、ダウ平均株価は終盤に一時551ドル安まで下落する場面もあり、533.37ドル安(-1.58%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは130.97ポイント安(-0.92%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の軟調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から前日比118円高まで上昇したことや、米長期金利が時間外取引で上昇したことも下支え要因となり、ドル/円は一時110.33まで上昇した。
(2)午後に入り、日銀は金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定、資金繰り特別プログラムの期限を来年3月末まで延長(従来は9月末)したものの、反応はほとんど見られなかった。さらに、上昇していた日経平均株価がマイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後、欧州主要株価指数が軟調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが低下したことから、ドルは対円で109.94まで下落する場面もあった。
(3)米国市場では、ブラード・セントルイス連銀総裁が、「必要ならFRBは政策調整の準備をすべき」、「最初の利上げは2022年後半になる見通し」との見解を示したことで、量的緩和策の早期縮小観測が強まり、ドルは主要通貨に対して上昇した。さらに、政策金利動向に敏感な米2年債利回りが昨年4月以来約1年2ヵ月ぶりの高水準となったことも加わり、ドルは対円で一時110.48まで上昇した。
(4)米主要株価指数が軒並み大幅下落となったことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、米長期債買いが優勢となった。それに伴い、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.519%から1.436%まで低下し、米長短金利差縮小となったことでドルが売られ、ドル/円は110.04まで下落した。その後、ドル/円は一旦110.34まで値を戻したものの、終盤まで上値の重い動きが続いた。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したことや、米主要株価指数の下落を背景に、対円でも終盤まで上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
先週末に、米当局者の発言を受けて、量的緩和悪の早期縮小観測が強まり、ドルは堅調な動きとなったものの、米長期金利が低下したことで、長短金利差縮小からドルは一転して軟調な動きとなった。マーケットでは、量的緩和策縮小時期、利上げ開始時期が注目されており、思惑の交錯が相場動向に影響する可能性が考えられる。そのため、今後の米当局者の発言や米経済指標の結果が注目される。本日は、主要な米経済指標の発表がないものの、複数の米当局者の発言が予定されていることから、発言の内容が注目される。