前営業日トピックス
前日の海外市場で米経済指標が好調だったことや、米長期金利が上昇したことも加わり、ドルは序盤から底固い動きとなった。その後、日経平均株価が序盤から260円超下落したこともあり、ドル円・クロス円はやや軟調な動きとなったが、午後には日経平均株価が下げ幅を縮小したこともあり、底固い動きとなった。ただ、米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが強まっていたこともあり、限定的な動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を下回る伸びとなったことが嫌気され、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、米金融緩和策の早期縮小観測が後退したことで、米長期金利が低下したこともドルの圧迫要因となり、ドル/円は109.37まで下落する動きとなった。また、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで上昇したものの、対円ではドル/円の下落に連れて軟調な動きとなった。しかし、米主要株価指数が上昇したこともあり、下値は限定的だった。
米株式市場では、5月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを受けて、金融緩和策の早期縮小観測が後退したことから、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。さらに、米長期金利が大幅な低下となったことも株価の押し上げ要因となった。ダウ平均株価は序盤から堅調な動きが続き、終盤に一時前日比195ドル高まで上昇した。引けにかけて高値圏を維持し、179.35ドル高(+0.52%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場で米雇用関連の経済指標が良好な結果となったことを受けてドル買いとなった流れが一服し、序盤からやや上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から下落となり、一時前日比293円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(2)午後にかけて、下落した日経平均株価が下げ幅を縮小したことや、時間外取引で米長期金利が高値圏で推移したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、注目される米雇用統計の発表を控えて様子見ムードも強まっており、限定的な動きが続いた。
(3)米国市場では、序盤に発表された5月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想を下回る伸びとなったことが嫌気され、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、雇用統計の結果を受けて、FRBの金融緩和策の早期縮小観測が後退したことで、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.631%から1.553%まで低下したこともドルの圧迫要因となり、ドル/円は雇用統計発表前の110.16から109.37まで下落する動きとなった。また、ユーロやポンドなど欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで上昇したものの、ドル円の下落に連れて軟調な動きとなった。
(4)下げ一服後、ドルは底固い動きとなった。一方、米主要株価指数が上昇したこともあり、クロス円の下値も限定的だった。その中で、資源価格の上昇やドル主要通貨に対して下落したことが好感され、南ア・ランドは対ドル、対円でともに2019年2/6以来の高値を付けた。
本日のトピックス
先週末の5月の米雇用統計で、雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことや、米長期金利が低下したことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。発表前までに良好な結果に対する期待感が高まっていたことがドルの下げ幅を拡大させた要因とも考えられる。特に、市場予想を下回ったが、前回からは伸び幅が拡大したことや、前回結果が上方修正されたことから、やや過剰に反応したとも考えられる。そのため、目先はドルの底固い動きが予想される。
本日は、米国の主要な経済指標の発表がないことから、限定的な動きも予想されている。その中で、先週末に大幅に低下し、6日ぶりの低水準となった米10年債利回りが持ち直すのか注目したい。金利上昇となれば、ドルや米主要株価への影響も考えられることから注目したい。