前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを受けて、ドルは堅調な動きとなった。ドル/円は109.21まで上昇したものの、月末を控えた実需のドル売りが観測されたこともあり、上値は限定的だった。その後は米長期金利が低下したことから、ドルは上値の重い動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨が対ドルで上昇したこともあり、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は底固い動きとなった。
米国市場では、バイデン米大統領が6兆ドル規模のインフラ拡充を提案するとの報道を受けて、ドルは堅調な動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したことも加わり、ドルは対円で一時109.92まで上昇し、4/9以来の高値を更新した。一方、クロス円はドル/円の上昇に連れ高となった。特に、英当局者が2022年前半の利上げの可能性を示唆したことを受けて、ポンドは主要通貨に対して上昇した。
米株式市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が4週連続の減少となったことが好感され、ダウ平均株価は序盤に前日比285ドル高まで上昇した。さらに、バイデン米大統領が6兆ドル規模のインフラ拡充を提案との報道も株価の押し上げに寄与した。しかし、その一方で米長期金利が3日ぶりの高水準まで上昇したことが圧迫要因となり、ダウ平均株価は一時66ドル高まで上げ幅を縮小した。終盤にかけて金利上昇が落ち着いたこともあり、ダウ平均は141.59ドル高(0.41%)まで値を戻して終了した。一方、金利動向に敏感なナスダックは終盤にマイナス圏まで下落し、1.72ポイント安(-0.01%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の堅調な流れを引き継ぎ、ドルは序盤から主要通貨に対して底固い動きとなった。ドル/円は序盤に一時109.21まで上昇した。
(2)仲値通過後は、米長期金利が低下したこともあり、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなり、対円では狭いレンジ内の動きが続いた。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで堅調な動きとなったこともあり、対円でも底固い動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米経済指標が強弱まちまちの結果となったことから、反応はやや限定的だった。しかし、バイデン米大統領が6兆ドル規模のインフラ拡充を提案するとの報道を受けて、ドルは堅調な動きとなった。さらに、報道を受けて米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.579%から上昇し、3日ぶりの高水準となる1.623%まで上昇したことから、ドルは対円で一時109.92まで上昇し、4/9以来の高値を更新した。一方、クロス円はドル/円の上昇に連れ高となった。特に、英MPC(金融政策委員会)メンバーが、雇用改善の加速を条件に、2022年前半の利上げの可能性を示唆したことを受けて、ポンドは主要通貨に対して上昇し、対円では一時156.08まで上昇し、2018年2/2以来の高値を付けた。
(4)終盤にかけて、ナスダックがマイナス圏まで下落するなど、主要株価指数が上値の重い動きとなったことや、米長期金利の上昇が一服したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
マーケットでは、日本政府が東京、大阪など9都道府県に発令している緊急事態宣言を6/20まで延長する方向で調整していることが材料視され、やや円が売られる動きとなっている。延長が発表されれば、景気回復の遅れに対する懸念が高まり、改めて円売りが強まる可能性も考えられる。
さらに、米国時間にバイデン米大統領が予算教書を発表するが、ここで6兆ドル規模のインフラ、セーフティネットの拡充を提案すると昨日報道されており、発表が注目される。昨日の報道で、ドル/円は110円台手前まで上昇しているが、来週の米雇用統計を控えて、米国の雇用改善期待もたかまっていることもあり、ドル買い・円売りが強まる可能性を指摘する向きも多くなってきていることから、目先のドルの動きに注目したい。
また、G7財務相・中央銀行総裁会議も予定されており、主要国の金融政策に関する要人発言や報道にも注目したい。さらに、米経済指標では、4月個人所得・支出、5月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、こちらの結果も注目したい。
5/28の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月個人支出(前月比)
1ヶ月間に、耐久財(自動車や家電製品など)や、非耐久財(食品や衣料など)、サービス支出(外食・旅行など)において、実際に個人が消費支出した金額について集計した経済指標。
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0.5% | 4.2% |
前回は市場予想を下回ったものの、昨年4月以来も大幅なマイナスとなった前月から改善した。一方、個人所得は過去最高の伸びとなり、米政府の経済対策に伴う給付金が影響した。今回は、前月の反動もあり、個人支出で小幅の伸びが、個人所得では大幅なマイナスが予想されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
5月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。
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68.0 | 72.1 |
前回は市場予想を大幅に上回り、過去最高を記録し、10ヵ月連続で判断基準となる50を上回り、製造業の堅調さが示された。今回は、前回からの低下が予想されているが、依然として高水準を維持することから、懸念要因とはならないと見られている。 | ||||
23:00 | 米国 |
5月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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83.0 | 82.8 |
前回の速報値は市場予想を下回り、昨年3月以来の高水準となった前回の結果から低下した。消費者は、物価上昇への懸念を強まっていることが指数の圧迫要因となった。今回の確報では、小幅上方修正が予想されている。特に、速報値で10年ぶりの高水準となった1年先のインフレ期待の修正があるのか注目したい。 |