前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価がやや軟調な展開で始まったことや、米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。午後には、日経平均株価が持ち直してプラス圏で推移したことや、米長期金利も底固い動きとなったことから、ドル円・クロス円も底固い動きとなった。しかし、その後の欧州市場では、米国債利回りが再び低下したことに反応し、ドル/円は108.87まで下落する動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が強弱まちまちの結果となったことから、マーケットの反応は限定的だった。しかし、米長期金利が低下したことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では一時108.75まで下落するなど終盤まで上値の重い動きとなった。一方、米主要株価指数が上昇したことから、対ドルで上昇したことも加わり、欧州通貨や資源国通貨は対円でも堅調な動きが続いた。
米株式市場では、新規失業保険申請件数が約1年2ヵ月ぶりの低水準となり、雇用の改善が示されたことで、米景気回復の加速期待が材料視され、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。さらに、米長期金利の低下も加わり、ダウ平均株価は一時前日比337ドル高まで上昇した。その後は、終盤にかけて上げ幅を縮小したものの、188.11ドル高(+0.56%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、米長期金利の低下に敏感に反応し、前日比236.00ポイント高(+1.77%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が下落して始まったものの、プラス圏まで回復するなど、底固い動きとなったことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。しかし、米長期金利の指標となる米10年債利回りが低下すると、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなり、ドル/円は109.30を高値に一時109.09まで下落した。
(2)その後は新規材料に乏しい中、日経平均株価が小幅高で終了したことや、米長期金利も狭いレンジ内の動きが続いたこともあり、ドル円・クロス円も狭いレンジ内の動きが続いた。ただ、欧州時間に入り米国債利回りが低下したことから、ドルは上値の重い動きとが続いた。
(3)米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が昨年3/14までの週以来、約1年2ヵ月ぶりの低水準に改善したものの、同時に発表された5月のフィラデルフィア連銀景況指数が前月に付けた1973年4月以来の高水準から大幅に低下するなど、まちまちの結果となったことから、マーケットの反応は限定的だった。その後、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.672%から1.625%まで低下したことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では一時108.75まで下落した。一方、米長期金利の低下を受けて、米主要株価指数が軒並み上昇したことや、対ドルで上昇したことも加わり、欧州通貨や資源国通貨は対円でも堅調な動きが続いた。
(4)米長期金利の低下が終盤まで続いたことから、ドルは上値の重い動きが続いた。一方、欧州通貨や資源国通貨は、米主要株価指数が終盤まで上昇基調を継続したことや、対ドルで堅調な動きとなったことも加わり、対円で底固い動きが続いた。
本日のトピックス
先日のFOMCの議事要旨で、一部メンバーが量的緩和の縮小開始が議論されると予想していたことが明らかとなり、量的緩和縮小の議論が開始されるとの見方が広がる一方、量的緩和の縮小の議論開始はまだ早いとの見方も混在しており、思惑が交錯する展開となっている。そのため、今後は経済指標の結果や、当局者の発言が注目され、その結果を受けて思惑が交錯する可能性も考えられる。
本日は、欧州時間にドイツやユーロ圏の製造業PMI・製造業PMIの発表が予定されている。今回は速報値であり、結果に対して比較的敏感に反応するケースが多いことから、結果とそれを受けたマーケットの動きに注目したい。一方、米国時間では、4月の米中古住宅販売件数の発表が予定されており、ここ2ヵ月は在庫不足や価格上昇を背景に、これまで堅調だった住宅市場にやや陰りが見られている。今回は、前月からの増加が予想されており、改善の兆しが見られるのか注目したい。
5/21の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
4月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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608万件 | 601万件 |
前回は、市場予想を下回る結果となり、2ヵ月連続の減少で昨年8月以来の低水準となった。在庫減少と住宅価格の高騰が影響した。今回は、前回から若干の増加が予定されており、今後の推移を見極める上で、住宅価格の上昇や在庫不足が解消されるのか注目されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、110.958からの下げ途中の小休止の持ち合いパターンと見ることができ、その持ち合いパターンを5波動目で下抜けており、小休止の終了となり一段の下げとなるのか注目されている。
現状では、一目均衡表の基準線(108.630)近辺でサポートされていることから、目先のポイントは基準線を下抜けるのかどうかである。ここを下抜けた場合には、(1)108.338 (2)107.684 (3)107.476がその後のポイントと考えられる。特に、(2)は一目均衡表の雲下限ラインであることから、下抜けには注目したい。また、(3)を下抜けた場合の下値目標の計算値は106.301と計算できる。
一方、上値のポイントは直近の高値の109.334であり、さらに雲上限ラインを上抜ければ、一段の上昇も考えられる。なお、一目均衡表の雲上限は、本日109.632に位置しているが、週明けには109.234に低下、さらに週末28日にかけて108.916まで低下する。
なお、オシレーターのMACDでは、有効なシグナルが見られないが、両線の乖離幅が拡大し始めた場合には注目したい。