前営業日トピックス
東京市場では、前週末の4月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回ったこと受けたドル売りの流れを引き継ぎ、ドルは序盤から軟調な動きとなった。しかし、雇用の悪化は一時的であり、米経済の回復期待は変わらないとの見方もあり、下値は限定的だった。その後、米長期金利や日経平均株価が上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。欧州時間には、米長期金利が低下したことや、欧州主要株価が軟調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、新規材料に乏しく、ドル/円は序盤から上値の重い動きとなった。その後、低下が続いていた米国債利回りが上昇したことを受けて、ドルは主要通貨に対して底固い動きとなった。一方、週末に投票された英地方選では、スコットランド民族党が過半数に届かなかったことから、独立を問う住民投票の実施が後退したとの見方から、ポンドはアジア時間から堅調な動きが続き、米国時間に対ドルで2/25以来、対円で2018年2/8以来の高値を付けた。また、ユーロも対ドルで2/26以来、対円で2018年9/27以来の高値を更新した。しかし、終盤には米主要株価の下落を受けてクロス円は軟調な動きとなった。
米株式市場では、先週末の米雇用統計の結果を受けて、金融緩和策の長期化観測が広がったことが引き続き材料視され、ダウ平均株価は序盤から堅調な動きとなり、一時前週末比313ドル高まで上昇し、初めて35000ドル台乗せとなり、3営業日連続で史上最高値を更新した。しかし、連日の最高値更新を受けて、終盤には利益確定の動きが優勢となり、マイナス圏まで下落し、34.94ドル安(-0.10%)で終了した。一方、米長期金利の上昇を背景にハイテクが売られたことから、ナスダックは序盤から軟調な動きが続き、350.38ポイント安(-2.55%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前週末の米雇用統計が冴えない結果となったことを受けてドルが主要通貨に対して下落した流れを引き継ぎ、週明けの東京市場では序盤からドルは軟調な動きとなった。特に対ユーロ、豪ドルに対して2/26以来、対ポンドで2/25以来の安値を更新した。下げ一服後は、米雇用統計発表直後に1.464%まで低下した米10年債利回りが5/6以来の1.600%まで持ち直したこともあり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、ドル/円は108.91まで上昇した。一方、日経平均株価が一時前週末比327円高まで上昇したことから、クロス円も堅調な動きとなった。
(2)上昇一服後は、日経平均株価が上げ幅を縮小したことや、米10年債利回りの上昇が一服となったこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。日経平均株価が160円高で終了したことや、米株価先物が堅調な動きとなったことから、欧州時間序盤には円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は一時109.06まで上昇した。
(3)米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がなく新規材料に乏しい中、ドル/円は序盤から上値の重い動きとなった。その後は、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.557%から1.607%まで上昇したことから、ドルは主要通貨に対して底固い動きとなった。一方、先週末に投票が実施された英地方選で、スコットランド民族党が過半数に届かなかったことで、独立を問う住民投票の実施が後退したとの見方から、ポンドはアジア時間から堅調な動きが続き、米国時間に対ドルで2/25以来、対円で2018年2/8以来の高値を付けた。しかし、終盤には米ダウ平均株価がマイナス圏まで下落するなど、株価の下落を受けてクロス円は終盤にかけて軟調な動きとなった。
本日のトピックス
先週末の米雇用統計が市場予想を大幅に下回ったことを受けてドル売りとなったものの、雇用統計の冴えない結果は一時的との見方もあり、依然として経済の先行きに対する楽観的な見方も根強く、ドルはその後底固い動きが続いている。ただ、金融緩和策の長期化懸念もあり、上値を圧迫している。一部では、失業保険給付の上乗せ延長や直接給付が仕事への復帰を妨げているとの見方も出ており、今後の雇用関連の経済指標結果が注目される。
本日の米国市場では、3月の米JOLT求人件数の発表が予定されており、ワクチン接種の拡大や規制緩和を背景に、求人件数の増加が予想されている。ただ、2ヵ月前の結果発表であることもあり、重要度の高い指標でないことから、反応は限定的と予想されている。
5/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
23:00 | 米国 |
3月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
|
750.0万件 | 736.7万件 |
前回は市場予想を上回る結果となり、2019年1月以来の高水準となった。新型コロナウイルスワクチン接種の拡大を背景に、規制が緩和されていることで、企業側が雇用を増やそうとしていることが示された。特に、ヘルスケアが過去最高となり、宿泊、食品が4ヵ月ぶりの高水準となった。今回も求人数の拡大が予想されているが、3月の結果であり反応は限定的だろう。 |