前営業日トピックス
連休明けの東京市場では、日経平均株価が大幅上昇となったことや、実需のドル買いも観測され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、一時109.43まで上昇したものの、上昇一服後は上値の重い動きとなった。さらに、午後に入り米長期金利が低下したこともあり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が軒並み良好な結果となったことを好感して、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米国債利回りの上昇も加わり、ドル/円は一時109.40まで上昇した。その後、上昇していた米国債利回りが低下したことから、ドルは対円で109.00まで下落した。さらに、指標結果や主要株価指数の上昇を背景に投資家のリスク選好の動きとなったこともドルの圧迫要因となった。英中銀の金融政策発表では、週間ベースの債券購入ペースの減速が発表されたことを受けて、ポンド買いが優勢となった。しかし、英中銀総裁が量的緩和策の縮小の決定ではないとしたことから、ポンドは下落に転じ、終盤まで上値の重い動きとなった。
米株式市場では、米長期金利の上昇を背景に、主要株価指数はやや上値の重い展開で始まった。ただ、序盤に発表された米経済指標が良好な結果となったことを好感して堅調な動きとなった。その後、米長期金利が下落に転じたこともあり、ダウ平均株価は終盤に一時前日比330ドル高まで上昇し、取引時間中の最高値を更新した。引けにかけて高値圏を維持したまま、318.19ドル高(+0.93%)で終了し、終値ベースの最高値も更新した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、50.42ポイント高(+0.37%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、大型連休明けであることから実需のドル買い・円売りが観測されたこともあり、仲値公示にかけてドル/円は堅調な動きとなった。仲値通過後はやや上値の重い動きが見られたものの、米長期金利の指標となる米10年債利回りが時間外取引で上昇したこともあり、ドルは堅調な動きとなり、ドル/円は一時109.43まで上昇した。一方、ドル/円の上昇に加え、日経平均株価が一時617円高まで上昇したこともあり、クロス円も堅調な動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価がやや上げ幅を縮小したことや、米10年債利回りの低下が続いたこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数、1-3月期の非農業部門の労働生産性がともに良好な結果となったことを好感して、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが上昇したことも加わり、ドル/円は一時109.40まで上昇した。しかし、その後1.587%まで上昇していた米10年債利回りが1.555%まで低下したことから、ドルは対円で109.00まで下落した。一方、MPC(英中銀金融政策委員会)では、予想通り政策が据え置かれたものの、週間ベースの債券購入ペースの減速が発表されたことを受けて、量的緩和縮小開始との思惑からポンド買いが優勢となった。しかし、英中銀総裁が、量的緩和策の縮小の決定ではないとし、債券購入プログラムの目標は据え置かれているとし指摘したことを受けて、ポンドは下落に転じ、終盤まで上値の重い動きとなった。
(4)終盤に、ダウ平均株価が史上最高値を更新するなど、投資家のリスク選好の動きが意識されたこともあり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きが続いた。一方、ブラジル・レアルは、6日の日本時間の朝方にブラジル中銀の金融政策発表で利上げを発表し、次回の利上げも示唆したことが引き続き材料視され、主要通貨に対して堅調な動きとなった。対円では一時2020年12/10以来、対ドルでは今年1/21以来の高値を付けた。
本日のトピックス
本日の欧州時間では、ドイツやフランスの主要な経済指標の発表が予定されているものの、米国の雇用統計の発表を控えていることから、様子見ムードが強まっていることも予想され、結果を受けた反応は限定的と見られている。
4月の米雇用統計では、ここまで発表された米雇用関連の経済指標が比較的良好な結果が続いたこともあり、特に景気動向に敏感に反応する非農業部門雇用者数の大幅な伸びが予想されており、良好な結果に対する期待感も高まっている。その中で、予想以上の伸びとなる場合にはドルの下支え要因となる可能性もあるが、期待が高まっているだけに伸び幅が市場予想を下回る場合には、ドルの圧迫要因となる可能性も考えられる。
5/7の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
4月非農業部門雇用者数
100.0万人
|
100.0万人 | 91.6万人 |
前回は市場予想を上回る伸び幅となり、昨年8月以来の高い伸びとなった。ワクチン接種が進んでいることで、経済活動の規制が緩和されたことが影響しており、労働市場の急速な改善が示された。今回は、雇用関連の経済指標が良好な結果となったこともあり、期待感が高まっており、市場予想を上回る結果を期待する向きもある。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の雲上限近辺でサポートされ、堅調な動きが続いていたが、再び雲上限ライン近辺で上値の重い動きとなっている。ここから再び雲上限近辺で底固い動きが続くのか、雲の中に入り軟調な動きとなるのか注目されている。
オシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が小さく、ゼロ近辺での動きが続いている。ここから両線がクロスするようなら、目先の軟調を示唆する形状となることから、両線の動きにも注目したい。
目先の上値のポイントは、レジスタンスの109.696となり、ここを上抜ける場合には一段の上昇となる可能性もあり、その場合は110.958を目指す展開も考えられる。一方、下値のポイントは一目均衡表の基準線となり、ここを下抜ける場合には一段の下げも考えられる。基準線は、週明け10日までは109.112で横ばいだが、11日には109.014、12日には108.718まで低下することから、注目したい。
気まぐれ投資コラム
雇用者数は予想通りの大幅な伸びとなるのか?
非農業部門雇用者数は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年は941.6万人の雇用消失となり、リーマンショックなどの影響で2008年から2009年までの消失分の860.4万人(2008年が355.3万人、2009年が505.1万人のそれぞれ消失)を上回る結果となった。今年に入り、非農業部門雇用者数はここまで3ヵ月連続で伸び幅の増加となっており、労働市場の改善が進んでいることが示されている。また、昨年の雇用消失分も3ヵ月で160万人超回復している。
今回は、ここまで発表された雇用関連の経済指標が比較的良好な結果が続いたことから、前回を上回る伸びが予想されており、やや楽観的な見方も広がっている。その中で、期待通りの結果となる場合には、ドルの下支え要因となるが、市場予想を大幅に下回る結果となる場合には、期待感が高まっているだけに、失望となる可能性も考えられることから、ドルの値動きには注目したい。