前営業日トピックス
海外市場の株安を背景に、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時500円超下落したことから投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は前日の安値107.97を下抜けて、107.88まで下落した。ただ、107円台では値頃感の買い戻しも観測され、底固い動きとなった。しかし、午後には日経平均株価が下げ幅を拡大する動きとなったことや、時間外取引で米国債利回りが低下したことも加わり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、欧州時間に入り、米長期金利の上昇に転じたこともあり、ドル/円は108.28まで上昇し、クロス円もドル/円に連れ高となった。
米国市場では、新規材料に乏しい中、欧州時間から米長期金利の低下が続いたことから、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。その後、米長期金利が上昇に転じたこともあり、ドル/円は108.20まで上昇した。一方、カナダ中銀の金融政策が発表され、カナダ中銀のタカ派的姿勢が示されたこと受けて、カナダ・ドルは主要通貨に対して上昇となった。また、カナダ・ドル/円の上昇に加え、米主要株価指数が軒並み堅調な動きとなったことから、クロス円も堅調な動きとなった。上昇一服後は、終盤までドル円・クロス円は小動きの展開が続いた。
米株式市場では、米国の新型コロナワクチンの接種回数が2億回を超えるなど、米国内でのワクチンの接種が進んでいることが明らかとなり、米経済の回復が加速するとの期待を背景に、主要株価指数は堅調な動きとなった。さらに、良好な米企業の四半期決算も押し上げ要因となり、ダウ平均株価は一時前日比339ドル高まで上昇した。その後は、引けにかけて高値水準を維持し、316.01ドル高(+0.93%)で終了し、3営業日ぶりの反発となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、163.95ポイント高(+1.19%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、海外市場の株安を背景に、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比500円超下落したことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドルは、対円で一時107.88まで下落し、3/5以来の安値を更新した。ワクチンの普及が進む一方、変異種の感染が拡大していることから、経済の回復が遅れるとの懸念に加え、回復期待を背景とした株価の上昇は行き過ぎとの見方も影響している。ただ、107円台では、値頃感の買い戻しも観測され、仲値公示近辺にかけてドル円・クロス円は値を戻す動きとなったが、仲値通過後は再び107円台まで下落した。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大し、一時前日比680円安となったことや、アジア株も大半が軟調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、107円台では、値頃感の買い戻しも根強く、ドル円・クロス円は値を戻す動きとなった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.557%から1.582%まで上昇したこと受けて、ドル/円は108.28まで上昇した。
(3)上昇一服後、米10年債利回りが下落に転じたことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がなく、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は軟調な展開で始まった。米10年債利回りが1.552%まで低下したことを受けて、ドル/円は再び108円台割れとなった。
(4)その後、米10年債利回りが1.552%から1.582%まで反発したことを材料に、ドル/円は108.20まで上昇した。一方、カナダ中銀の金融政策が発表され、政策金利は予想通りの据え置きとなったが、資産購入額の削減や利上げ時期の前倒しを示唆するなど、タカ派的姿勢が示されたこと受けて、カナダ・ドルは主要通貨に対して上昇となり、対ドルでは3/18以来の高値、対円では85.53から86.79まで急上昇となった。また、カナダ・ドル/円の上昇に加え、米主要株価指数が軒並み堅調な動きとなったことから、クロス円も堅調な動きとなった。上昇一服後は、終盤までドル円・クロス円は小動きの展開が続いた。
本日のトピックス
米国の新型コロナワクチンの接種回数が2億回に達したとの発表を受けて、バイデン政権の掲げた目標に達していることから、米国の景気回復が加速するとの見方が広がり、米主要株価の上昇につながっており、日経平均株価も一時500円超の上昇となっている。ただ、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いており、ドル/円は107円台では底固い動きが見られるものの、108円台割れの頻度も多くなっており、ここからの動きが注目される。
今週、ここまで米国の主要な経済指標の発表がなかったが、本日は米新規失業保険申請件数(4/17までの週)と3月の中古住宅販売件数の発表が予定されている。ともに前月から悪化が予想されているが、結果とマーケットの反応が注目される。
4/22の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(4/17までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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62.5万件 | 57.6万件 |
前回は市場予想を大幅に下回り、昨年3/13の週以来の低水準となり、新型コロナウイルス感染拡大以降で最少となった。制限措置の緩和が進む中で、労働市場の改善が進んでいることが示された。今回は、前週からやや増加が予想されているが、改善に水を差すほどの増加とならなければ、懸念要因にはならないだろう。 | ||||
23:00 | 米国 |
3月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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615万件 | 622万件 |
前回は市場予想を下回り、昨年8月以来の低水準となった。在庫の低下を背景に、住宅価格が前年比+15%となったことで、住宅購入を手控える動きとなったことが影響した。今回は、前月から更に減少が予想されており、低水準の在庫が改善しなければ、価格上昇に歯止めがかからず、ここまでけん引役となっていた住宅市場の失速が示されるのか注目。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、上値の重い動きが続いており、一目均衡表の雲上限ライン近辺まで到達している。ここから雲上限ラインに沿って底固い動きとなるのか、雲の中に入り引き続き軟調な動きが続くのか注目されている。
MACDでは、先行するラインがゼロラインを下抜けているものの、両線の乖離幅は小幅ながら縮小しており、目先のドル/円の動きを予測する上で乖離幅の動きが注目される。乖離幅の縮小が進む場合には、ドル/円は底固い動きとなる可能性が考えられるが、再び乖離幅が拡大する場合には、軟調な動きとなる可能性が考えられる。