前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤にマイナス圏で推移する中、月末・期末を控えた実需のドル買いが観測されたことや、時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円では一時110.31まで上昇し、2020年3/26以来の110円台回復となった。一方、ドル/円の上昇にクロス円も連れ高となった。
米国市場では、米国債利回りの上昇や、大幅損失を出した米投資会社を巡る問題が金融市場に影響を及ぼすとの懸念もあり、リスク回避の動きが意識され、ドルと円が買われる動きとなった。ドル/円は、一時110.42まで上昇し、昨年3/26以来の高値を更新した。その後は、米長期金利が下落に転じたこともあり、ドル/円は一時110.18まで下落したものの、欧州通貨や資源国通貨に対して堅調な動きが続いたこともあり、対円でも底固い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が連日最高値を更新する動きとなったことから、利益確定売りが先行した。さらに、米長期金利の上昇加速に対する警戒感から、ハイテク株中心のナスダックも序盤から軟調な動きとなった。その後、3月の消費者信頼感指数が昨年3月以来の高水準まで改善したことや、大規模な景気対策などから、米景気回復への期待感が下支え要因となった。ダウ平均株価は、104.41ドル安(-0.31%)で終了、一方、ナスダックは終盤にプラス圏まで値を戻す場面もあったが、14.25ポイント安(-0.11%)と小幅安で終了した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル/円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、時間外取引で米10年債利回りが上昇したことや、月末・期末を控えた五・十日に当たり、実需のドル買い・円売りが観測されたことも影響し、ドル/円は109.99まで上昇したものの、110円台乗せとはならなかった。一方、ドル/円の上昇に連れ高となり、クロス円も堅調な動きとなった。
(2)上昇一服後は、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなったが、米10年債利回りが序盤の1.704%から1.761%まで上昇したことを受けて、ドル/円は110円台乗せとなり、110.31まで上昇した。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが約1年ぶりの高水準まで上昇していることや、大幅損失を出した米投資会社を巡る問題が金融市場に影響するとの懸念もあり、リスク回避の動きが優勢となった。ドル/円は一時110.42まで上昇し、昨年3/26以来の高値を更新した。
(4)3月の米消費者信頼感指数が前月の改定値から19.3ポイント上昇となり、昨年3月以来1年ぶりの高水準となったものの、上昇していた米10年債利回りが下落に転じたことが影響し、ドル/円は一時110.18まで下落した。ただ、欧州通貨や資源国通貨に対して堅調な動きが続いたこともあり、対円でも底固い動きとなった。一方、米主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったことから、クロス円も軟調な動きが続いたが、終盤に米主要株価指数が下げ幅を縮小する動きとなったことから、やや値を戻す動きとなった。
本日のトピックス
ドルが欧州通貨や資源国通貨に対して上昇しており、さらに、米長期金利の上昇、良好な経済指標の結果が続いたことも加わり、対円でも堅調な動きが続いている。マーケットでは、一段の上昇を予想する見方がある一方、高値警戒感から上昇一服となるとの見方もあり、ここからの動きが注目されている。
米国では、1.9兆ドルの追加の経済対策に続き、3兆ドル規模のインフラ投資が計画されており、バイデン大統領が本日詳細を明らかにする予定となっている。ただ、財源に関しては、大幅増税が提案されるとの見方もあり、注目が集まっている。
米国市場では、3月Aの米DP雇用統計、3月シカゴ購買部協会景気指数の発表が予定されており、ともに前月と比べて良好な結果が予想されている。特に、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいることや、追加の経済対策の効果が期待されることから、主要な経済指標が良好な結果となるようなら、米経済に対する楽観的な見方が広がる可能性も考えられる。
3/31の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:15 | 米国 |
3月ADP雇用統計 ![]()
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
|
55.0万人 | 11.7万人 |
前回は市場予想を下回る伸びとなり、労働市場の回復鈍化傾向が続いていることが示された。今回は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでおり、経済活動の改善が指摘されていることもあり、大幅な伸びが予想されている。 | ||||
22:45 | 米国 |
3月シカゴ購買部協会景気指数 ![]()
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。
|
60.0 | 59.5 |
前回は市場予想を下回る結果となり、2018年7月以来の高水準となった1月の結果から低下した。ただ、8ヵ月連続で景気の拡大・縮小の判断基準となる50を上回った。今回は、前月からの上昇が予想されており、堅調さが維持されると見られている。 | ||||
23:00 | 米国 |
2月中古住宅販売仮契約(前月比) ![]()
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
|
-2.9% | -2.8% |
前回は4ヵ月ぶりのマイナスとなり、昨年4月以来の低水準となった。住宅在庫の不足や、それに伴う住宅価格の上昇が背影響していると見られている。今回は、マイナス幅の拡大が予想されており、住宅在庫不足が解消していないことが影響している可能性が指摘されている。 |
本日のトレードポイント

※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、上値のポイントであった109.235を完全に上抜けて一段の上昇となっている。ここから一段の上昇も期待されており、値動きが注目されており、レジスタンスの109.235を上抜けたことによる上値目標の計算値は112.651となる。されに、ここから上昇基調が強まる場合、日柄的な観点から見る場合の目安は3営業日以内と見られる。
ドル/円は失速となる場合の目安(条件)としては、前日の高値を超えられないことや、前日の安値を下抜ける場合には、基調転換となる可能性があるので注意したい。