前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったことや、時間外取引の米国債利回りが上昇したことから、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、五・十日で期末・年度末を控えた実需のドル買い・円売りが観測されたことも押し上げに寄与した。午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大し、前日比416円高まで上昇したものの、クロス円は上値の重い動きとなった。その後、米長期金利が上昇したことからドルは対円で堅調な動きとなり、クロス円も連れ高となった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が良好な結果となったことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米国債利回りが上昇したことも加わり、対円で109.24まで上昇した。一方、欧州諸国でのロックダウンが延長されたことが材料視され、ユーロは主要通貨に対して軟調な動きとなったが、英国でワクチン接種が進んでいることで、英国の消費者信頼感が押し上げられていると評価されたことが好感され、ポンドは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
米株式市場では、パウエルFRB議長が資産購入に関して購入額を徐々に縮小するとの意向を示したことを受けて、量的緩和縮小との連想からダウ平均株価が序盤に前日比348ドル安まで下落するなど、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。ただ、米経済指標が良好な結果となったことや、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいることを背景に、米経済活動の正常化が進むとの期待感も根強く、主要株価指数軒並みプラス圏まで回復し、ダウ平均株価は199.42ドル高(+0.62%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは15.79ポイント高(+0.12%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場終盤の軟調な流れが一服し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後、日経平均株価が上昇して始まり、300円超上昇したことや、時間外取引の米10年債利回りが上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、商業決済が集中しやすい五・十日に当たり、年度末や期末を控えた実需のドル買い・円売りが観測されたことも影響した。
(2)午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大し、一時前日比416円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。ドル/円は、米長期金利の上昇もあり、前日の海外市場で付けた高値の108.96を上抜けて109.17まで上昇した。
(3)米国市場では、序盤に発表された第4四半期の米GDP確報値が上方修正されたことや、米新規失業保険申請件数が予想以上の減少となり、約1年ぶりの低水準に改善したことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、パウエルFRB議長がインタビューで目標に向けた進展が見られた場合には、資産購入額を徐々に縮小すると発言したとの報道を受けて、量的緩和縮小が連想されて長期債を中心に売りが優勢となり、利回りが上昇したことから、ドルは対円で109.24まで上昇した。そして、米格付け会社が英国のワクチン接種が進んでいることで消費者信頼感が上昇していると評価したことが好感され、ポンドは主要通貨に対して堅調な動きとなった。一方、欧州各国でのロックダウンの延長に加え、欧州中銀副総裁がユーロ圏経済は第1四半期に縮小するとの見方を示したこともあり、ドルや円などに対して軟調な動きとなった。
本日のトピックス
ユーロ圏の主要国がロックダウンを延長したことで、ユーロ圏経済の回復鈍化が懸念されていることに加え、昨晩ECB副総裁がユーロ圏経済の第1四半期は縮小するとの見方を示したこともあり、ユーロは主要通貨に対して下落した。本日は、ドイツのIFO企業景況感指数の発表が予定されており、冴えない結果となるようなら、ユーロの圧迫要因となる可能性も考えられることから、結果に注目したい。
米国市場では、2月の米国の個人所得・支出と、3月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されている。前者は、追加の経済対策に伴う給付金により1月に大きな伸びとなった反動から、今回は大幅なマイナスが予想されている。一方、後者は改善が予想されているものの、依然として消費者の慎重姿勢が示されると見られており、ドルの圧迫要因となるのか注目される。
3/26の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
2月個人所得(前月比)
社会保険料を控除し、実際に米国の個人が受け取った所得について集計した経済指標。賃金給与、可処分所得、貯蓄率等も発表される。
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-7.2% | 10.0% |
前回は市場予想を上回る伸びとなり、昨年4月以来の高水準となった。12月に成立した追加経済対策で直接給付を受けとったことが影響し、大幅な伸び率となった。税金を除いた可処分所得も4月以来の大幅な伸びとなった。今回は、1月の反動で大幅なマイナスが予想されており、予想通りの結果なら、過去最大のマイナスとなる。 | ||||
21:30 | 米国 |
2月個人支出(前月比)
1ヶ月間に、耐久財(自動車や家電製品など)や、非耐久財(食品や衣料など)、サービス支出(外食・旅行など)において、実際に個人が消費支出した金額について集計した経済指標。
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-0.8% | 2.4% |
前回は市場予想を下回ったものの、前月から伸び幅が拡大し、昨年6月以来の大幅な伸びとなった。米国の追加経済対策の給付金支給に伴う消費の拡大が影響した。一方、貯蓄率は12月の13.4%から20.5%(コロナ感染拡大前の2019年までの過去5年間の平均7.4%)に上昇しており、消費者は先行きに不安感を持っていることが示された。今回は、2ヵ月ぶりのマイナスが予想されており、所得の大幅低下が影響している可能性が考えられる。 | ||||
23:00 | 米国 |
3月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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83.6 | 83.0 |
前回は市場予想を下回ったものの、前月から上昇して昨年3月以来の高水準となった。ただ、コロナ前の2019年までの過去3年間の平均である97を依然として下回っており、消費者のマインドは1年ぶりの水準に改善しているものの、依然として慎重な見方をしていることが示されている。今回は、前月から上昇が予想されており、楽観的な見方が戻りつつあることが示されるのか注目したい。 |