前営業日トピックス
先週末19日にトルコのエルドアン大統領が、昨年11月に任命したアーバル・トルコ中銀総裁を解任したことが明らかとなったことが影響し、トルコ・リラは大きく下落して始まり、投資家のリスク回避の動きが強まったことから、安全資産とされる円が買われる動きとなった。さらに、日経平均株価が600円超下落したことも影響した。ドルは対円で下落後に値を戻す動きとなったものの、時間外取引の米10年債利回りの低下が続いたことから、再び軟調な動きとなった。下げ一服後、米10年債利回りが持ち直したこともあり、ドルは値を戻す動きとなり、ドル/円の上昇にクロス円も堅調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は堅調な展開で始まった。ドル/円は、一時108.86まで上昇したものの、米経済指標が冴えない結果となったことを受けて米長期金利が低下したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では108.66まで下落した。その後、米主要株価指数が軒並み上昇したことから、クロス円は堅調な動きとなった。一方、ドルは終盤にかけて米長期金利が持ち直したこともあり、対円で108.85まで値を戻した。
米株式市場では、米長期金利の上昇が一服したことを受けて、ハイテク株を中心に買いが先行し、主要株価指数は堅調な動きとなった。ただ、銀行の資本規制の緩和が延長されなかったことが引き続き影響して、大手金融株が下落したこともあり、ダウ平均株価はオープン直後に前週末比115ドル安まで下落した。ただ、その後は早々にプラス圏に回復し、一時182ドル高まで上昇した。終盤に上げ幅を縮小したものの、103.23ドル高(+0.32%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは序盤から堅調な動きが続き、162.31ポイント高(+1.23%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)先週末19日にトルコのエルドアン大統領が昨年11月に任命・就任したアーバル・トルコ中銀総裁を解任したことが伝わり、トルコ・リラは大幅ギャップダウンとなった。さらに、投資家のリスク回避の動きが意識されたことから、安全資産とされる円が買われる動きとなり、ドル円・クロス円はいずれもギャップダウンとなった。その後、下げ幅を縮小する動きとなり、特にドルは欧州通貨や資源国通貨に対して堅調な動きとなったことから、前週末の海外市場の終値近辺まで値を戻す動きとなった。一方、日経平均株価が大きく下落して始まり、一時前週末比684円安まで下落したことから、クロス円の戻りは限定的だった。
(2)上昇一服後は上値の重い動きとなり、クロス円は日経平均株価が安値圏で推移し、600円超下落で終了したこともあり、上値の重い動きが続いた。さらに、米10年債利回りが1.705%から1.668%まで低下したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では再び軟調な動きとなった。また、欧州主要株価指数が下落して始まったこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
(3)米10年債利回りの低下が一服し、1.661%から1.700%まで上昇したことから、ドルは堅調な動きとなり、欧州主要株価指数がプラス圏まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、序盤のドル/円は一時108.86まで上昇した。
(4)米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.700%から1.673%まで低下したことや、シカゴ連銀全米活動指数が昨年4月以来のマイナス、2月の米中古住宅販売件数が半年ぶりの低水準に減少したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円で108.66まで下落した。その後、米主要株価指数が軒並み上昇したことや、ユーロやポンドなどが対ドルで上昇したことから、クロス円は終盤まで堅調な動きとなった。一方、ドルは終盤にかけて10年債利回りが持ち直したことや、クロス円の上昇を受けて対円で108.85まで値を戻す動きとなった。また、ドイツのロックダウンの延長が報道されたものの、マーケットの反応は限定的だった。
本日のトピックス
本日の米国市場では、2月のリッチモンド連銀製造業指数と3月の米新築住宅販売件数の発表が予定されている。米国の製造業は引き続き良好な結果が続いており、今回も前回を上回る結果が予想されている。一方、ここまで低水準の住宅ローン金利を背景に、住宅関連の経済指標は良好な結果が続いていたが、最近の米長期金利の上昇を受けて、住宅ローン金利も上昇していることが影響して住宅市場の勢いが後退している。昨日発表された中古住宅販売件数も、6ヵ月ぶりの低水準まで減少しており、新築住宅販売件数も前月から減少が予想されている。
一方、パウエルFRB議長の議会証言など、複数の米金融当局者発言が予定されている。先週の発言が繰り返されると見られていることから、ドルへの影響は限定的とみられる一方で、上値を圧迫する可能性との見方もあり、発言とマーケットの反応に注目したい。
3/23の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
23:00 | 米国 |
2月新築住宅販売件数
新築住宅販売件数は、米国内で販売された新築住宅件数(売買契約締結時点)を集計した経済指標であり、地域別の販売件数や販売価格、一戸建やコンドミニアム、集合住宅を含めた数字も発表されている。そして、景気動向の先行を見る上で注目されている指標の一つである。
|
87.5万件 | 92.3万件 |
前回は市場予想を上回り、2ヵ月連続の増加となった。北東部が前月から減少となったものの、それ以外の地区で増加となり、住宅市場の堅調さが示された。今回は、前月から減少が予想されており、米長期金利が急速に上昇したことで、住宅ローン金利も上昇していることが影響すると見られている。 | ||||
23:00 | 米国 |
3月リッチモンド連銀製造業指数
リッチモンド連銀製造業指数は、米国の12連邦準備銀行の1つであるリッチモンド地区連銀が発表している製造業指数。1993年から算出が開始されており、NY連銀、フィラデルフィア連銀が発表する指数と合わせて製造業の景況を確認できる。管轄はウェストバージニア州、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州、バージニア州、メリーランド州、ワシントンDCなど。管轄地域は米国内生産の9.1%を占める。
|
15 | 14 |
前回は、1月の結果から横ばいとなったが、引き続き製造業の底固さが示される結果となった。今回は、9ヵ月連続のプラスが予想されており、製造業の堅調さが続いていることが示されると見られている。 |