前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場終盤の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。日経平均株価が序盤に前日比200円超上昇したものの、その後はマイナス圏に下落するなど、上値の重い動きとなったこともあり、クロス円もやや上値の重い動きとなった。一方、米国債利回りが上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。しかし、欧州時間に入るとドルは欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きとなったことから、対円でも上値の重い動きとなった。
米国市場では、日銀は国債金利がより柔軟に動く方法を政策点検で検討しているとの関係者話が報道されたことを受けて円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米2月の消費者物価指数でコア指数が予想外に低下したことも加わり、ドルは一段の下げとなった。その後、米国債利回りの低下が続いたこともあり、ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも上値の重い動きとなった。一方、米ダウ平均株価が史上最高値を更新するなど、大幅上昇となったことから、クロス円は終盤まで堅調な動きとなった。
米株式市場では、米追加経済対策が成立する見通しとなったことを背景に、米景気回復期待が高まったことから、米主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。さらに、2月の米消費者物価指数が緩やかな上昇にとどまったことも好感された。ダウ平均株価は、終盤に一時前日比556ドル高まで上昇し、取引時間中の最高値を更新した。引けにかけて上げ幅を縮小したものの、464.28ドル高(+1.46%)で終了して4営業日続伸、終値ベースの最高値も更新した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、4.99ポイント安(-0.04%)で終了し、小幅反落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場終盤の流れを受けて、ドル円・クロス円は堅調な展開で始まった。一方、ロウ豪中銀総裁がスピーチで、キャッシュレートは少なくとも2024年まで0.10%にとどまる公算との見方を示したことから、豪ドルはギャップダウンして始まった。ただ、下値は限定的となり、底固い動きとなった。日経平均株価が上昇して始まり、前日比200円超上昇したものの、その後上げ幅を縮小する動きとなり、マイナス圏まで下落したことから、クロス円は上値の重い動きとなった。ドルは、米長期金利が上昇したことから、主要通貨に対して堅調な動きとなった。
(2)午後に入り、米長期金利の上昇が一服したものの、日経平均株価がマイナス圏とプラス圏を往来する展開が終盤まで続いたことから、クロス円は上値の重い動きとなった。一方、ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。その後、ドルが欧州通貨や資源国通貨に対して下落に転じたことから、ドルは対円でも上値の重い動きとなり、一方のクロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に日銀は国債金利がより柔軟に動く方法を政策点検で検討しているとの関係者話が報道されたことを受けて円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、序盤に発表された米2月の消費者物価指数では、FRBがインフレ指標として注目しているコア指数が予想外に低下したことを受けて、米国債利回りが低下したことも加わり、ドルは対円で一段の下げとなり、前日の安値108.42を下抜けて一時108.34まで下落した。
(4)米ダウ平均株価が史上最高値を更新するなど、堅調な動きが続いたこともあり、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は終盤まで底固い動きが続いた。一方、米10年債入札が低調な結果となり、米国債利回りの低下が続いたことも加わり、ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
欧州時間では、ECB理事会とラガルドECB総裁の定例会見が予定されている。政策などの現状維持がコンセンサスとなっているが、最近の金利上昇とユーロ高に対する牽制発言などがあれば、マーケットは敏感に反応する可能性もあり、声明や総裁の発言内容に注目したい。
米国市場では、新規失業保険申請件数、1月JOLT労働調査の発表が予定されており、ともに堅調さが示されると予想されている。一方、昨晩米下院で、バイデン大統領が推進している1兆9000億規模の追加経済対策法案が可決したが、今後は米大統領の署名を受けて法案の成立となる。ほぼ決定的であることから、引き続き株式市場では好感される可能性もあるだろう。また、現状のマーケットでは、米国の金利動向にドル相場が左右されるケースも多いことから、引き続き米国の金利動向にも注目したい。
3/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(3/6までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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72.5万件 | 74.5万件 |
前回は市場予想より改善したものの、前週からは増加となり、改善ペースは依然として緩やかであることが示された。前週に続き天候の影響を受けた可能性もあり、テキサス州では天候悪化の反動で急増となった。今回は、減少が予想されているが、天候の影響で増加する地域があるとの見方も、全体で見れば再雇用が進んでいることが示唆されると見られている。 | ||||
0:00 | 米国 |
1月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
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665.0万件 | 664.6万件 |
前回は市場予想を上回り、昨年7月以来の高水準となった。新型コロナウイルスのワクチン接種が始められたことから、企業が人員を増加させる傾向になっていることが示された。今回は、増加が予想されており、ワクチンの接種が進んでいることが影響している可能性もあるが、ワクチンの接種の急増が1月中旬以降であることから、大幅増加は次月以降か。 |