前営業日トピックス
米国南部のジョージア州で行われる連邦議会上院の決選投票を控えて様子見ムードも広がり、東京市場では序盤からドルは小動きの展開となった。一方、海外市場の軟調な動きが一服し、クロス円は序盤から堅調な動きとなった。午後に入ると、日経平均株価が下げ幅を拡大する動きとなったことから、投資家のリスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米ISM製造業景況指数が2018年8月以来2年4ヵ月ぶりの高水準となったことを好感して、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。その後、下落した米主要株価指数がプラスに転じて上げ幅を拡大する動きとなったことから、ドルや円が売られた。さらに、クリーブランド連銀総裁のハト派的な発言も加わり、ドルは主要通貨に対して下げ幅を拡大し、対円で一時102.61まで下落し、昨年3/10以来の安値を更新した。
米株式市場では、序盤に発表された米経済指標が良好な結果となったことから、主要株価指数は序盤に堅調な動きとなった。しかし、米ジョージア州での上院の決選投票の結果発表を控えて思惑が交錯し、ダウ平均株価が一時前日比82ドル安まで下落した。その後、ダウ平均株価が281ドル高まで上昇する場面もあったが、終盤に上げ幅を縮小して167.71ドル高(+0.55%)で終了、一方ナスダックは120.51ポイント高(+0.95%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の軟調な流れが一服し、クロス円は序盤から底固い動きとなった。一方、ドル/円は海外市場の流れを引き継ぎ、小動きの展開で始まった。そして、下落して始まった日経平均株価がプラス圏まで上昇する動きとなったこともあり、クロス円は堅調な動きとなった。また、五・十日に当るたり、仲値公示にかけて休み明けの実需の売買が観測されたものの、反応は限定的だった。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大し、前日比184円安まで下落したことが嫌気され、円買いが優勢となった。さらに、東京都で過去2番目の新型コロナ感染者数の見通しとのメディアの報道もドル円・クロス円の圧迫要因となった。一方、ジョンソン英首相が新型コロナウイルス感染の急激な拡大に対処するため、新たに全面的なロックダウン(都市封鎖)措置を導入すると発表したこともあり、ポンドは主要通貨に対して上値の重い動きが続いた。
(3)米国市場では、欧州市場の軟調な流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。その後に発表された米ISM製造業景況指数が市場予想を上回り、2018年8月以来2年4ヵ月ぶりの高水準となったことを好感して、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したこともドルの押し上げに寄与した。その後、マイナス圏まで下落した米主要株価指数がプラスに転じ、上げ幅を拡大する動きとなったことからドルや円が売られる動きとなった。さらに、クリーブランド連銀総裁が金融政策はより緩和的である必要との見方を示したこともあり、ドルは主要通貨に対して下げ幅を拡大し、対円で一時102.61まで下落し、昨年3/10以来の安値を更新した。
(4)終盤に米主要株価指数が上げ幅を縮小したことからクロス円は上値の重い動きとなり、ドル/円は底固い動きとなった。
本日のトピックス
1.23ドル台からの上値の重さが意識される一方、ドル安の受け皿としてユーロの堅調地合いが続いており、昨年末から見られるECB関係筋からにユーロ高牽制発言を追随する動きがあるか注意が必要だろう。ラガルドECB総裁などECB当局者らのユーロ高牽制発言などが意識され、ユーロの高に対する警戒感が根強いものの、ドルが軟調な動きとなっていることもあり、対ドルでユーロは底固い動きが続いており、対円でも下値は限定的となっている。今週末に米雇用統計の発表が予定されており、ドルやユーロの動きが注目される。
一方、米ジョージア州の上院選決選投票の結果判明が遅れるとの報道もあり、引き続き結果が注目されている。現状では、民主党候補者がややリードしていると伝えられており、ねじれが解消される場合には、大規模な景気刺激策が承認される可能性もあり、期待感から株式市場が反応する可能性が考えられる。
米国時間には、12月のADP雇用統計の発表が予定されており、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響で雇用改善ペースの鈍化傾向が続くと予想されている。特に、予想以上の悪化や、再びマイナスとなる場合には、反応も大きくなる可能性も考えられる。
1/6の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:15 | 米国 |
12月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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7.5万人 | 30.7万人 |
前回は市場予想を下回る結果となり、2ヵ月連続の減少となった。新型コロナウイルスの感染が再拡大したことで、一部で制限措置が講じられたことが影響した。今回は、さらに大幅な減少が予想されており、雇用拡大のペースが大きく減速したことが示されると見られている。 |