前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比350円超下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドルは、米議会が新型コロナウイルス対応の追加経済対策を可決したとの報道を受けて、上昇する場面もあったが、反応は限定的だった。全般的に目立った材料に乏しく、限定的な動きとなった。その後、欧州時間では欧州主要株価指数が堅調な動きとなったことが好感され、欧州通貨がドルや円に対して堅調な動きとなった。
米国市場では、英国で広がっている新型コロナウイルスの異変種に対する警戒感を背景に、投資家のリスク回避の動きも意識され、欧州通貨や資源国通貨はドルや円に対して序盤から軟調な動きとなった。ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して上昇したことに加え、第3四半期の米GDP確定値が上方修正されたことが影響し、対円で103.73まで上昇した。一方、英国とEUの通商交渉が依然として難航していることが材料視され、ポンドは軟調な動きが続いた。
米株式市場では、英国で新型コロナウイルスの変異種の感染が拡大したことへの警戒感を背景に、主要株価指数は上値の重い動きとなった。さらに、12月の米消費者信頼感指数が市場予想を下回ったことも圧迫要因となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きが続き、200.94ドル安(-0.67%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは底固い動きが続き、65.40ポイント高(+0.51%)で終了し、取引時間中、終値ベースの最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の軟調な動きが一服し、ドル/円は序盤から底固い動きとなった。一方、堅調な動きが続いていたクロス円は上値の重い動きとなった。その後、下落して始まった日経平均株価が下げ幅を拡大する動きとなったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、米国の追加経済対策法案が下院で可決したとの報道を受けて、ドル/円は一時103.46まで上昇したが、反応は限定的だった。
(2)午後に入っても日経平均株価は上値の重い動きとなり、引けにかけて下げ幅を拡大して一時前日比352円安まで下落したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いたが、薄商いで狭いレンジ内の動きとなった。欧州時間では、欧州通貨や資源国通貨に対してドルが下落したことから、ドルは対円でも上値の重い動きとなった。一方、ユーロなど対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の流れが一服し、ユーロやポンドなどの欧州通貨や資源国通貨はドルや円に対して序盤から軟調な動きとなった。改めて英国で新型コロナウイルスの異変種の感染が広がっていることに対する警戒感を背景に、投資家のリスク回避の動きが意識された。さらに、序盤に発表された第3四半期の米GDP確定値が上方修正となり、1947年以降最大の伸びとなったことが好感され、ドル/円は一時103.73まで上昇した。一方、英国とEUの通商交渉では、懸案となっている漁業権に関する交渉が依然として難航しており、合意できないまま離脱するとの懸念もあり、ポンドは軟調な動きが続いた。
本日のトピックス
英国とEUの通商協議では、懸案となっている漁業権に関する交渉で、英国側の譲歩があったものの、EU側が拒否したこともあり、依然として合意には至らなかった。ただ、一部ではクリスマス前の合意の可能性を指摘する向きもあり、関連する報道などには注目したい。一方、前日に米議会で合意した追加経済対策法案がトランプ米大統領に送付されていたが、トランプ米大統領は直接給付の増額と、不要項目の削除などの修正を議会に求めたことから、これに関する米議会の動きにも注目したい。
米国市場では、米新規失業保険申請件数、11月の新築住宅販売件数、12月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響で、ここまでの米経済指標も冴えない結果となっていることから、結果が注目される。マーケットでは、指標の悪化はある程度織り込まれているが、予想と乖離する結果となるようなら、反応も大きくなる可能性も。ただ、クリスマス休暇を控えて市場参加者も少なくなっていることや、積極的な売買も手控えられ始めていることから、限定的な動きも予想されている。
12/23の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(12/19)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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88.0万件 | 88.5万件 |
前回は予想以上の増加となり、3ヵ月ぶりの高水準となった。新型コロナ感染再拡大による企業への制限措置が労働市場に影響していることが示された。今回は前週から若干減少が予想されているが、一部では3週連続の増加を指摘する向きも多く、結果が注目される。 | ||||
0:00 | 米国 |
11月新築住宅販売件数
新築住宅販売件数は、米国内で販売された新築住宅件数(売買契約締結時点)を集計した経済指標であり、地域別の販売件数や販売価格、一戸建やコンドミニアム、集合住宅を含めた数字も発表されている。そして、景気動向の先行を見る上で注目されている指標の一つである。
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99.0万件 | 99.9万件 |
前回は市場予想を上回る結果となったが、2006年11月以来の高水準となった9月の結果からは小幅減少となった。しかし、高水準が続いており、住宅市場の好調さが示された。今回も小幅低下が予想されているが、依然として高水準が維持されると見られている。 | ||||
0:00 | 米国 |
12月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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81.0 | 81.4 |
前回の速報値は市場予想を上回り、2ヵ月ぶりの上昇となった。現在の景況感、先行の景況感がともに上昇となったが、コロナ前の水準からは依然として大きく下回っている。今回の確報値は、速報値から下方修正が予想されており、新型コロナ感染再拡大の影響が依然として消費者の懸念要因となっていることが示されると見られている。 |