前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったこともあり、序盤のドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後、仲値公示にかけて実需のドル売り・円買いが観測されたことからドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価がマイナス圏まで下落したことや、ダウ先物が200ドル超下落となったことも加わり、上値の重い動きとなった。また、米国債利回りが低下したこともドルの圧迫要因となり、ドル/円は一時105.15まで下落した。その後、105.41まで値を戻したものの、上値は限定的だった。
米国市場では、序盤に発表された10月の米消費者物価指数が冴えない結果になったことを受けて米長期金利が低下となり、ドル/円は上値の重い動きとなった。ただ、同時に発表された新規失業保険申請件数が改善となったこともあり、ドルの下値は限定的だった。一方、コロナ感染拡大を背景に、景気回復の遅れが懸念されて米主要株価指数が下落したことから、クロス円も軟調な動きとなった。終盤まで主要株価指数が軟調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円も上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、コロナ感染者数が連日過去最高を更新していることを背景に、経済活動が停滞するとの懸念が高まり、主要株価指数は軟調な動きとなった。さらに、トランプ米大統領が中国人民軍との関係を理由に一部企業への投資を禁止する大統領令に署名したとの報道を受けて、ダウ平均株価は一時前日比495ドル安まで下落するなど、主要株価指数は終盤に下げ幅を拡大する場面もあった。ダウ平均株価は、引けにかけて下げ幅を縮小して317.46ドル安(-1.08%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは76.84ポイント安(-0.65%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比238円高まで上昇したことが好感され、ドル円・クロス円は堅底固い動きとなった。特に、前日のニュージーランド中銀総裁発言を受けて、マイナス金利の可能性が後退したとの見方が強まったことで上昇が続いているNZドルは引き続き堅調な動きとなり、対円で72.79まで上昇し、1/21以来の高値を付け、今年の高値の73.34に迫る動きとなった。その後、日経平均株価が上げ幅を縮小しと、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価がマイナス圏まで下落したことや、米株価先物市場でダウ先物が200ドル超下落したことから、投資家のリスク回避の動きが優勢となった。さらに、米10年債利回りが0.962%から0.929%まで低下したことも加わり、ドル/円は序盤の105.48から105.15まで下落し、クロス円も軒並み下落した。その後、ユーロがドルや円に対して上昇となり、対円で上げ幅を拡大したことから、ドルやその他のクロス円も連れ高となった。
(3)米国市場では、序盤に発表された10月の米消費者物価指数が前月から低下したことを受けて、米長期金利が低下したことからドル/円は上値の重い動きとなった。ただ、同時に発表された新規失業保険申請件数が4週連続の改善となったこともあり、ドルの下値は限定的だった。一方、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、景気回復の遅れが懸念されて米主要株価指数が下落したことから、クロス円も軟調な動きとなった。一方、英国とEUの通商交渉に関して、EU外交筋が交渉に悲観的な見方を示したとの報道を受けて、合意なき離脱の可能性が懸念され、ポンドは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
(4)終盤には、トランプ米大統領が中国の一部企業に関して、中国人民軍との関係を理由に投資を禁止にする大統領令に署名したとの報道を受けて、米中関係を巡る懸念が高まり、主要株価指数が下げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。なお、注目されたパウエルFRB議長の講演では、米景気は予想より早く力強いとしたものの、向こう数ヵ月は厳しい時期になるとした。一方、ラガルドECB総裁は、ワクチンについて熱狂的になるのは望まないと発言したものの、マーケットの反応は限定的だった。
本日のトピックス
世界的に新型コロナウイルスの感染が再び急拡大しており、景気回復に影響するとの懸念から欧米の主要株価指数が下落したことから、投資家のリスク回避の動きが強まっている。そのため、感染拡大に関する報道や、ワクチン開発の進展に関する報道などには敏感に反応する可能性も考えられる。
米国市場では、10月の米生産者物価指数、11月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、コロナ感染拡大の影響で大幅な悪化から改善が進んでいるものの、感染拡大前の水準を大きく下回っており、改善は依然として緩やかなペースとなっている。マーケットでは、緩やかな改善がすでに織り込まれており、結果を受けた反応は限定的とみられており、追加経済対策が何時実施されるのかが待たれており、それ次第との見方もある。
ドル円・クロス円は上昇が一服しており、上値の重い動きとなっている。チャート形状では、この近辺で踏みとどまれるのか、一段の下落となるのか重要なポイントとなっていることから、本日の動きが注目される。
11/13の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
10月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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0.2% | 0.4% |
前回は市場予想を上回り、改善が続いていることが示された。エネルギーは2ヵ月連続のマイナスとなったが、食品が4ヵ月ぶりのプラス、サービスが3ヵ月連続のプラスとなったことが影響した。今回は、伸び幅の低下が予想されているが、6ヵ月連続でプラスが維持されると見られている。 | ||||
0:00 | 米国 |
11月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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82.0 | 81.8 |
前回の10月の確報値は、速報値を上回る結果となり、3ヵ月連続の上昇となった。現在の景況感は速報値から上昇したものの前月から低下、先行の景況感は速報値から上昇、3ヵ月連続の上昇となった。今回の11月の速報値は、10月からさらに上昇が見込まれているが、依然としてコロナ感染拡大前の水準(2月101.0)を大きく下回っている。 |