前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは主要通関に対して軟調な動きとなった。ドルは対ユーロで9/21以来、対オフショア人民元で2018年7月以来の安値となり、ドル/円も105.26まで下落した。一方、日経平均株価が上昇し、米株価先物が堅調な動きとなったこともあり、クロス円は底固い動きとなった。その後、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、105円台割れまで下落した。これに連れてクロス円も軟調な動きとなった。ただ、ポンドは英国とEUの通商交渉に対する楽観的な見方もあり、底固い動きとなった。
米国市場では、米国の経済指標の発表がない中で上昇して始まった米主要株価指数がマイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米国の追加経済対策を巡る与野党協議の不透明感に加え、米国債利回りの低下を受けて、ドルは主要通貨に対して下落、対円で一時104.34まで下落し、9/21以来の安値を付けた。一方、英国とEUの通商協議が再開される見通しとの報道を受けて、通商協議の合意期待も高まり、ポンドは一段の上昇となった。ポンドは対円で10/13以来、対ドルで9/7以来の高値を付けた。
米株式市場では、米国の追加経済対策を巡る与野党協議が進展しているとの期待感を背景に、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。しかし、依然として与野党協議が難航しており、合意は難しいとの見方も根強く、その後は上値が重い動きとなった。ダウ平均株価は、序盤に前日比141ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じ、97.97ドル安(-0.35%)、ナスダックは31.80ポイント安(-0.28%)で終了した。
米ドル/円
![](https://sbisec.akamaized.net/sbisec/images/base/g_fx_report_20201022_01.gif)
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が上昇して始まり、一時前日比130円超まで上げ幅を拡大したことから、ドルと円は上値が重く、クロス円は堅調な動きとなった。さらに、仲値公示にかけては実需のドル売りも観測され、ドルは上値が重い動きとなった。
(2)米国の追加経済対策が合意に近づいているとの期待感が投資家のリスク選好を高めている。米株価先物市場でダウ先物が180ポイント超上昇していることも影響した。ドルは主要通貨に対して軟調な動きが続き、対円で105円台を割り込み、104.82まで下落した。一方、ユーロは対ドルで1.1870まで上昇、オフショア人民元は一時1ドル=6.6278元まで上昇し、2018年7月以来の高値を付けた。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は上値が重い動きとなった。米国の経済指標の発表がなく、上昇して始まった米主要株価指数がマイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りがアジア時間につけた6月以来の高水準となる0.834%から0.795%まで低下したことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落が続き、対円で一時104.34まで下落し、9/21以来の安値を付けた。また、ドル指数(複数の主要通貨に対してドルを指数化したもの)は一時92.474まで低下し9/2以来の低水準となった。
(4)下げ一服後は、米国の追加経済対策や大統領選の討論会を控えて、終盤にかけて小動きの展開が続いた。一方、バルニエEU主席交渉官が、英国とEUがともに妥協を示せば合意は間近と発言したことを受けて、ポンドは欧州時間から堅調な動きとなった。さらに、英国とEUの通商協議が再開される見通しとの報道も好感されてポンドは一段の上昇となり、対円で10/13以来、対ドルで9/7以来の高値を付けた。
本日のトピックス
米政府による追加経済対策を巡って民主党のペロシ下院議長とムニューシン財務長官の間で追加経済対策法案が妥結されたが、下院を通過して上院での審議に移行するのか注目されている。また、大統領選の討論会も控えており、様子見ムードから限定的な動きも予想されている。
ただ、ドル指数やドル/円では9月以来の安値を付けるなど、ドルは主要通貨に対して軟調な動きが続いており、この動きが続くのか注目されている。特に、ドル/円は前日の海外市場で104円台前半まで下落したが、東京時間には104円台後半まで値を戻している。ここから105円台まで回復できるのかどうか注目されている。また、英国とEUの通商協議再開との報道を受けて、楽観的な見方が広がったことからポンドは堅調な動きとなっており、こちらの動きも注目される。
米国経済指標では、新規失業保険申請件数、中古住宅販売件数の発表が予定されており、ともに前回から改善が予想されているが、すでに織り込み済みとの見方も多いことから、予想以上の結果とならなければ反応は限定的だろう。
10/22の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(10/17までの週) ![]()
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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86.5万件 | 89.8万件 |
前回は市場予想を上回り、3週ぶりの増加で8月以来の高水準となった。通常の給付期間が終了した人が、延長給付プログラムに移行していることを反映している可能性も指摘された。一方、継続受給者数は、予想以上に減少し、3週連続の減少となった。今回は、前週からの減少が予想されているが、特に継続受給者数が1000万人を下回るのか注目されている。 | ||||
23:00 | 米国 |
9月中古住宅販売件数 ![]()
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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630万件 | 600万件 |
前回は市場予想と一致し、3ヵ月連続の増加となり、2006年12月以来の高水準となった。低い住宅ローン金利や経済の回復期待が影響し、好調を維持している。今回は、一段の増加が予想されており、好調が維持されるとみられる。 | ||||
23:00 | 米国 |
9月景気先行指数(前月比) ![]()
米景気先行指数は、米国の民間調査機関のコンファレンスボードが発表する指標で、株価や金利、企業業績、マネー・サプライなど景気に先行して動く10種類の経済指標を指数化した経済指標。景気の方向性や転換点を判断する上で参考にされる。
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0.7% | 1.2% |
前回は市場予想を下回り、2ヵ月連続で伸び幅の低下となった。消費財受注や住宅着工許可件数の寄与度がマイナスとなったことが影響した。今回は、伸び幅の縮小が予想されているものの、5ヵ月連続の伸びが予想されている。 |