前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。南シナ海の領有権を巡る米中対立が懸念されたことや、日経平均株価が下落して始まったこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は一時105.80まで下落した。その後は、月末の実需のドル買い円売りも観測され、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、パウエルFRB議長の講演が予定されており、発言内容を見極めたいとの様子見ムードもあり、ドル円・クロス円は限定的な動きとなった。
米国市場では、パウエルFRB議長がジャクソンホールでの講演で、インフレ率が一時的に2%を超えることを容認する新たな金融政策方針を示したことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が低下したことも加わり、ドル/円は一時105.61まで下落した。しかし、最大雇用の確保を図る戦略が示されたこともあり、長期金利が急反発となり、ドルは主要通貨に対して買い戻しが優勢となり、ドル/円は106.70まで上昇した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比302ドル高まで上昇した。ただ、終盤には上げ幅を縮小し、160ドル高(+0.57%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、序盤から堅調な動きとなり、一時取引時間中の最高値を更新した。しかし、その後は売りに押されて39ポイント安(-0.34%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が下落して始まったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなり、ドル/円は一時105.80まで下落した。ただ、仲値公示にかけては月末の実需のドル買い・円売りが観測されたこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(2)海外時間にジャクソンホール経済シンポジウムでのパウエルFRB議長の講演が予定されていたことから、様子見ムードが広がおり、全般的に限定的な動きが続いた。
(3)米国市場では、序盤にGDP改定値、新規失業保険申請件数など主要な米経済指標が発表されたものの、パウエルFRB議長の講演を控えて様子見ムードが強まったことから、反応は限定的だった。その後、パウエルFRB議長がジャクソンホールでの講演で、インフレ率が一時的に2%を超えることを容認する新たな金融政策方針を示したことを受けて、金融緩和策の長期化懸念からドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が低下したことも加わり、ドル/円は一時105.61まで下落し、8/21以来約1週間ぶりの安値となった。
(4)パウエルFRB議長の講演では、物価の上昇よりも、米国の完全雇用の回復を重視している姿勢が示されたこともあり、0.647%まで低下した長期金利の指標となる米10年債利回りが0.753%まで急反発となったことから、ドルは主要通貨に対して買い戻しが優勢となり、ドル/円は一時106.70まで上昇し、8/14以来の高値を更新した。
本日のトピックス
昨晩のパウエルFRB議長の講演では、雇用と物価の押し上げの新たな戦略が発表され、ドルは一時下落したものの、その後は堅調な動きが続いている。本日は、週末であり、重要なイベントが終了したことから、限定的な動きとなるのかどうか値動きが注目される。
ただ、17時頃に安倍首相が記者会見を開くと発表されており、週末の東京時間の引け後ということから、一部ではマーケットへの影響を考慮する内容(週刊誌で潰瘍性大腸炎が再発したとの報道もあり、進退問題に関する内容もあるのか)では、との思惑も交錯している。マーケットでは、健康診断の結果に関する報告会見であるとの見方も強く、どのような説明があるのか関心が集まっている。
米国市場では、8月シカゴ購買部協会景気指数、8月ミシガン大学消費者信頼感指数など主要な経済指標の発表が予定されており、米経済の回復が示されるのか注目だが、昨日FRBの新たな戦略が示されたこともあり、仮に冴えない結果となった場合でも反応は限定的だろう。
8/28の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:45 | 米国 |
8月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。
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52.5 | 51.9 |
前回は市場予想に反して上昇となり、2019年5月以来の高水準となった。NY連銀指数やフィラデルフィア連銀指数が予想以上に悪化したものの、その他の地区の製造業は改善が見られたことから、予想を難しくしている。ただ、NY州では雇用関連の指標が再び悪化するなど、感染再拡大が影響したとの見方もある。シカゴでは再拡大の影響は少ないことから、若干の上昇が予想されている。 | ||||
22:45 | 米国 |
8月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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72.8 | 72.8 |
前回の速報値では、市場予想と一致したものの、低水準に留まった。期待指数は上昇したものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、現況指数が低下するなど、消費者マインドの改善が進んでいないことが示された。今回の確報値では、横ばいが予想されており、7月に感染が再び拡大したことが影響していたことが伺える。 |