前営業日トピックス
東京市場では、新規材料に乏しい中、序盤からドル円・クロス円は小動きの展開となった。下落して始まった日経平均株価がプラス圏に反発したことから、ドル円・クロス円は底固い動きが見られたものの、午後には再び日経平均株価が下落に転じたことで、上値の重い動きが続いた。その後、ドイツの経済指標が予想以上の改善となったことから、ユーロは主要通貨に対して上昇したが、上昇は一時的だった。一方、英中銀の金融政策発表では、政策金利の据え置きが発表され、中銀総裁がマイナス金利導入を否定したことから、ポンドは主要通貨に対して上昇した。
米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数、失業保険継続受給者数がともに前週から減少となったことが好感され、ドルは主要通貨に対して底固い動きとなった。その後、米主要株価指数が上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ドル/円は、米国債利回りの上昇も加わり、底固い動きが続いたものの、週末の米雇用統計の発表を控えて、様子見ムードもあり、限定的な動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤マイナス圏で推移する場面もあったが、その後は堅調な動きが続き、終盤には一時前日比192ドル高まで上昇した。高値圏を維持したまま185ドル高(+0.68%)で終了し、5営業日続伸となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、109ポイント高(+1.00%)で終了し、7営業日続伸となり、4日連続で過去最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な流れが一服し、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。一方、ユーロやポンドは対ドルで底固い動きとなったこともあり、対円でも序盤から堅調な動きとなった。さらに、下落して始まった日経平均株価がプラス圏まで反発したことも、ドル円・クロス円の下支え要因となった。
(2)仲値通過後近辺から再び日経平均株価がマイナス圏まで下落、さらに中国株も下げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後、新規材料に乏しく小動きの展開が続く中で、ドイツの製造業受注が予想以上の大幅改善となったことが好感され、ユーロは主要通貨に対して上昇した。対円では2019/4/24以来、対ドルでは2018/5/15以来の高値を更新した。しかし、高値更新後は反落となった。一方、ドルは対ユーロで下落したことから、対円でも軟調な動きとなった。
(3)欧州主要株価指数が序盤から上昇となり、ドル円・クロス円も堅調な動きとなったものの、その後株価が下落に転じたこともあり上値の重い動きとなった。英中銀は、政策金利の据え置きを発表したことや、英中銀総裁が今のところマイナス金利を導入する必要はないとの見解を示したこともあり、ポンドは主要通貨に対して上昇した。ポンドは、対ドルで3/9以来、対円で6/8以来の高値を付けた。しかし、上昇一服後は対ドルで下落に転じたこともあり、対円でも反落となった。
(4)米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数、失業保険継続受給者数がともに前週から減少となったことが好感され、ドルは主要通貨に対して底固い動きとなった。その後、追加の米経済対策を巡る与野党協議の進展期待もあり、米主要株価指数が上昇するなど、投資家の楽観姿勢からドルは上値の重い動きとなった。一方、ユーロやポンドは対ドルで上昇したこともあり、対円でも底固い動きとなった。その後、ドル/円は米国債利回りの上昇もあり、序盤に付けた安値105.30から105.65まで上昇した。しかし、週末の米雇用統計の発表を控えて様子見ムードもあり、全般的にやや限定的な動きとなった。ただ、ユーロは対ドルで上昇したことから、対円でも序盤の124.66から125.43まで上昇した。一方、スワップ市場でトルコ金利が上昇していることを受けて、流動性逼迫懸念からリラ売りが続いており、トルコ・リラは主要通貨に対して軟調な動きとなった。トルコ・リラはドルや円に対して一時最安値を更新した。
本日のトピックス
米国時間に米雇用統計の発表が予定されていることから、様子見ムードが強まっており、発表までは限定的な動きが続く可能性も考えられる。先日発表されたADP雇用統計やISM非製造業景況指数が悪化したことから、一部で週末の米雇用統計に対する懸念も出ていたが、昨日発表された新規失業保険申請件数や継続受給者数が減少したことから、懸念がやや和らいでいるとの見方もある。ただ、今回の失業保険関連の統計データは、来月分の雇用統計のデータ収集期間に含まれることから、過度な楽観にはならないだろう。今回の米雇用統計では、新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、経済活動の再開が後退したことが影響し、雇用者数の伸びが縮小すると予想されており、結果が注目されている。
今後の景気回復ペースを見極める上で、米国の雇用の回復は重要なポイントとなることから、今後も雇用関連の経済指標の結果に注目が集まるだろう。
8/7の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
7月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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150.0万人 | 480.0万人 |
前回は市場予想を上回る結果となり、過去最大の増加幅となった。経済活動の再開が広がったことが影響した。今回は、新型コロナウイルスの感染が再び拡大したこともが影響し、雇用者数の増加幅の縮小が予想されている。ここまで発表された雇用関連の指標の悪化が続いたこともあり、一部では予想以上の減少の可能性も指摘されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、104円台の安値から上昇に転じたものの、上値のポイントとなるレジスタンスや一目均衡表の基準線近辺で上値の重い動きとなり、上値が抑えられています。ここから軟調な動きとなるのか、再び上抜けを試す展開となるのか注目されています。
上値のポイントは、基準線の105.989、次いでレジスタンスの106.075となり、ここを完全に上抜ければ、一段の上昇も考えられます。
下値は、このところ一目均衡表の転換線でサポートされていることから、転換線の105.330がポイントと考えられ、下抜けの場合には一段の下げとなる可能性も考えられます。
気まぐれ投資コラム
非農業部門雇用者数、消失分の改善は順調に続くのか?
本日は、米国の雇用統計の発表が予定されています。グラフは、過去15年間の非農業部門雇用者数の年間ベースの推移を表しています。リーマンショックの影響で2008年から2009年の2年間で860.4万人の雇用が消失しましたが、その消失分を回復するのに緑色の点線で囲まれた2010年から2014年5月までの約4年半の時間を要しています。
新型コロナウイルスの感染拡大抑制のため、経済活動が停止となった影響で、米国の非農業部門雇用者数は4月に-2068.7万人と過去最大の減少幅を記録しました。1月から4月までの累計は-2159.5万人となり、一時2010年5月から2019年までの増加分が消失したことになりました。
しかし、その後は5月分が+269.9万人、6月分が+480.0万人と雇用が増加したことから、消失分は-1419.6万人まで改善しています。今回は、感染が再拡大した影響もあり、前回と比べて小幅な増加が予想(+150.0万人)されています。予想通りの結果なら、1月から7月までの累計で消失分は1269.6万人まで改善します。さらに、ここから年末までの間にどの程度改善するのかも注目されており、今回予想通りの結果となったと仮定し、残り5ヵ月間で平均+254万人なら、消失分がすべて改善されることになります。
※出所:データを基にSBILMが作成