前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が下落して始まったことも圧迫要因となった。ドル/円は一時104.96まで下落し、海外市場で付けた安値まで下落したものの、105円台割れ近辺では底固い動きとなった。その後は実需のドル買い・円売り観測もあり、ドル円・クロス円は反発したが、FOMCの結果発表を控えて、ドルは小動きとなったものの、2022年末までゼロ金利政策が維持されることが改めて表明されるとの見方から、ドル/円は104.80まで下落した。その後、104円台では買い戻しも強まり、ドル/円は105円台まで値を戻した。さらに、下落して始まった欧州主要株価指数が上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードも強まっており、ドル/円は序盤から小動きの展開となった。FOMCでは、事実上のゼロ金利政策を継続することを改めて表明したことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、さらに米国債利回りが低下したことも加わり、ドル/円は一時104.77まで下落した。しかし、安値圏では値頃感の買い戻しに加え、米主要株価指数が上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は105.15まで値を戻した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比223ドル高まで上昇した。引けにかけては上げ幅を縮小し、160ドル高(+0.61%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、140ポイント高(+1.35%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が下落して始まったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなり、ドル/円は一時104.96まで下落した。ただ、海外市場で付けた安値と面合わせで下げ止まり、105円台割れ近辺では値頃感の買い戻しなどもあり、底固い動きとなった。さらに、スポ末(スポット取引の応当日が月末)で実需のドル買い・円売りが観測されたことや、格付け会社フィッチが日本の格付けを「A」で維持したものの、見通しを「ネガティブ」に変更したことも円の圧迫要因となった。
(2)仲値通過後は上昇が一服し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。米FOMCの結果発表を控えて、結果やパウエルFRB議長の会見での発言を見極めたいとの様子見ムードも強まり、限定的な動きとなった。ただ、事実上のゼロ金利政策を長期にわたって継続することを再表明する公算が大きいとみられていることもあり、ドル/円は104.94まで下落した。一方、豪州の消費者物価指数がマイナスに落ち込んだことを受けて、豪ドルはドルや円などに対して下落する場面もあった。
(3)下落した欧州主要株価指数が上昇に転じてプラス圏まで改善したことや、米株価先物も上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(4)米国市場では、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強まっており、ドル/円は序盤から小動きの展開となった。一方、米主要株価指数が序盤から上昇したこともあり、クロス円は底固い動きとなった。さらに、ロンドンフィキシングに向けたユーロ買いが優勢となり、ユーロは一段の上昇となった。FOMCでは事実上のゼロ金利政策を継続することが改めて表明されたことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが0.592%から0.562%まで低下したことも加わり、ドル/円は一時104.77まで下落し、3/13以来の安値を更新した。一方、ユーロは対ドルで上昇が続き、一時2018年9/24以来の1.18ドル台乗せとなった。
(5)安値圏では値頃感のドル買い戻しに加え、米主要株価指数が上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は105.15まで値を戻した。
本日のトピックス
昨晩の米FOMCでは、FOMCでは事実上のゼロ金利政策を継続することが改めて表明されるなど、ほぼ予想通りの結果となった。新型コロナウイルスの感染が全米で急増しており、景気回復が鈍化している可能性も指摘されており、感染者が再び拡大し始めた7月の経済データが注目される。予想以上の悪化となる場合には、2022年までとされるゼロ金利政策がさらに延長されるなど、回復ペースが遅れる可能性も考えられる。
米国市場では、第2四半期の米GDP、個人消費に加え、米失業保険関連の経済指標の発表が予定されている。GDPと個人消費は歴史的な大幅マイナスが予想されており、失業保険新鮮件数は前週に16週間ぶりに増加に転じており、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響で増加が続くと予想されている。ともに予想通りの結果なら、米経済の先行き不安が高まる可能性も考えられる。
7/30の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
2Q GDP(前期比年率)
GDPは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの付加価値の額を合計したもので、国内の経済規模を測るための指標の一つ。GDPの伸び率は、経済成長率を表す指標として重要視されている。そして、個人消費はGDPのおよそ7割を占めることから、構成指数の中では特に重要視されている。
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-35.0% | -5.0% |
前回の第1四半期の確定値は、市場予想と一致し2008年12月以来の大きなマイナスとなった。新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停止などが影響した。今回発表の第2四半期の速報値は、感染拡大の影響で雇用や消費など米経済に大きな影響が出ていることもあり、歴史的な大幅マイナスが予想されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(7/25までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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145.0万件 | 141.6万件 |
前回は市場予想を上回り、17週間ぶりの増加となった。新型コロナウイルスの感染者数が急増したことで、経済活動が再び停止に追い込まれたことなどが影響した。今回のデータ集計期間でも感染者数の増加が続いていたことから、新規申請件数のさらに増加が予想されている。 |