前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が上昇して始まったものの、その後マイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。さらに、仲値公示近辺にかけて週末のポジション調整に加えて、実需のドル売りも観測されたこともドルの圧迫要因となった。午後には、東京都の新型コロナウイルスの感染者数が過去最多を更新したとの報道を受けて、日経平均株価が下げ幅を拡大し、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。ただ、欧州市場では、下げが一服し、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された6月の米住宅着工件数が市場予想を上回る増加となったことか好感され、ドル/円は107.28まで上昇した。その後、上昇して始まった米主要株価指数がマイナス圏まで下落したことや、7月ミシガン大学消費者信頼感指数が予想外の悪化となったことで、ドルは上値の重い動きとなった。さらに、ドルはユーロやポンドなど主要通貨に対して下落したことから、対円でも軟調な動きが続いた。一方、ユーロはEU首脳会議による新型コロナウイルス復興基金案の合意できるとの期待感を背景に、ユーロは主要通貨に対して上昇となった。しかし、意見の対立もあることから、その後は上値の重い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が上昇して始まったものの、その後は下げに転じて一時前日比114ドル安まで下落した。終盤まで上値の重い動きが続き、62ドル安(-0.23%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは29ポイント高(+0.28%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な動きが一服し、ドル/円は序盤から上値の重い動きとなった。一方、海外市場終盤に軟調な動きとなったユーロ/円やポンド/円などのクロス円は、底固い展開で始まった。日経平均株価が小幅上昇で始まったものの、その後マイナス圏に下落したことからドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。
(2)午後には、東京都の新型コロナウイルスの感染者数が293人となり、過去最多を更新したと発表されたことから、日経平均株価は下げ幅を拡大し、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。一方、ユーロは、EU首脳会議で総額は7500億ユーロ新型コロナの復興基金について議論する予定であることから様子見ムードも高まり、値動きは限定的となった。
(3)米国市場では、序盤に発表された6月の米住宅着工件数が市場予想を上回る増加となったことが好感され、ドルは主要通貨に対して上昇となり、ドル/円は一時107.28まで上昇した。その後、上昇して始まった米主要株価指数がマイナス圏まで下落したことや、7月のミシガン大学消費者信頼感指数が予想外の悪化となったことで、米国の個人消費の先行き警戒感が高まったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(4)米国の1日当たりの新規感染者数が過去最多となったと発表され、特に深刻となっている南部や西部では再び経済活動が停止されるとの懸念もドルの圧迫要因となった。さらに、ドルはユーロやポンドなど欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、対円でも軟調な動きが続き、終盤には106.94まで下落した。一方、ユーロはEU首脳会議による新型コロナウイルス復興基金案に合意は可能との期待感を背景に、ユーロは主要通貨に対して上昇した。ユーロ/円は一時122.58まで上昇し、6/9以来の高値を付けたものの、融資と補助金の割合で域内の意見に隔たりがあることから、その後は上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
ユーロの復興基金については、先週末からEU首脳会議で協議しているが、協議は難航している。欧州委員会の提案では、3分の2に当たる5000億ユーロを返済義務のない補助金、残りを融資としている。ドイツやフランス、イタリア、東欧勢は賛成しているものの、オランダ、オーストリア、スウェーデン、デンマークが反対しており、合意できるかは不透明な状況である。4ヵ国が妥協するならユーロの一段の上昇も考えられるが、交渉が決裂する場合にはユーロは下落する可能性も考えられることから、関連する報道などに注目したい。
米国では主要な経済指標の発表がなく、新規材料に乏しく限定的な動きが予想される。ただ、米国では新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多を更新しており、一部では再び経済活動が停止される可能性も指摘されている。このことから、引き続き感染者数の増加が続く場合には懸念が高まり、株価やドル相場に影響する可能性も考えられる。