前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の株高を受けて日経平均株価が上昇して始まったことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ドル/円は107.31まで上昇したものの、上値は限定的だった。一方のユーロ/円は122.50まで上昇し、6/9以来の高値まで上昇した。その後、日銀の金融政策決定会合の結果発表があったものの、反応は限定的だった。しかし、香港を巡る米中対立の激化懸念を受けて中国株が下げ幅を拡大したことや、黒田日銀総裁の会見を受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ドル/円では106.67まで下落したものの、ロンドン・フィキシングに向けて、ポジション調整のドル買い戻しも観測され、ドルは主要通貨に対して値を戻した。一方、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は、米主要株価指数が上昇したこともあり、底固い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価は序盤から堅調な動きとなり、前日比427ドル高まで上昇した。その後は上げ幅を縮小し、一時49ドル高まで上げ幅を縮小したものの、終盤にかけて持ち直して227ドル高(+0.85%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、61ポイント高(+0.59%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の株高を受けて、日経平均株価が230円超上昇して始まったことを受けて、円やドルが売られ、ユーロやポンドなどのクロス円は堅調な動きとなった。ドルは米国債利回りの上昇もあり、一時107.31まで上昇したものの、上昇一服後は上値の重い動きとなった。さらに、米国債利回りが低下したことも圧迫要因となった。一方、ユーロ円は122.50まで上昇し、6/9以来の高値を付けた。
(2)日銀が金融政策の据え置きを発表したものの、マーケットの反応は限定的だった。ただ、香港を巡る米国の措置に対して中国が報復措置を講じる方針との報道を受けて、米中対立の再燃との思惑も広がり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後、黒田日銀総裁の会見に合わせてドル円・クロス円が下落したが、緩和期待の後退観測が要因と見られている。ドル/円は、米10年債利回りの下落も加わり、106.87まで下落した。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ドルはユーロやポンドなどの欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、対円でも106.67まで下落した。序盤に発表された7月のニューヨーク連銀製造業景気指数、6月の輸入物価指数が市場予想を上回ったものの、反応は限定的だった。
(4)ロンドンフィキシングに向けて、ポジション調整のドル買い戻しも観測され、ドルは主要通貨に対して値を戻した。ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は、米主要株価指数が上昇したこともあり、底固い動きとなった。一方、米石油統計で原油在庫が予想以上に減少したことが好感され、原油先物価格が約4ヵ月ぶりの高値となったことを受けて、カナダ・ドルなどの産油国通貨は主要通貨に対して上昇した。カナダ/円は、78.55から79.20まで上昇した。
本日のトピックス
本日、欧州時間にECB理事会の結果発表が予定されており、政策の現状維持がコンセンサスとなっている。ただ、ラガルドECB総裁の会見も予定されており、会見の内容に反応する可能性も考えられる。特に、ユーロ圏のコロナ復興債や、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によるユーロ圏経済の先行き見通しに関する発言が注目されている。
米国市場では、7月小売売上高、新規失業保険申請件数など主要な経済指標の発表が予定されており、米国経済の回復度合いを見極める上で注目されている。さらに、昨日も企業の決算発表を受けて、米主要株価指数が上昇したこともあり、本日予定されているバンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレーなどの大手金融や、マイクロソフト、ネットフリックスの決算発表にも注目したい。
7/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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5.0% | 17.7% |
前回は市場予想を上回る大幅な伸びとなり、過去最大の伸びとなった。経済活動の再開が進んだことで、各項目の売上高が大幅に伸びたことが影響した。今回は、前回と比べて伸び幅は縮小するものの、4月の大幅な落ち込みから改善が続いていることが示されると見られている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(7/11までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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125.0万件 | 131.4万件 |
前回は予想以上の減少となり、14週連続で減少した。減少幅の縮小傾向が続いたことから、労働市場が再び低迷するとの懸念も出ていたものの、懸念を和らげる結果となった。今回は、前回からさらに減少が予想されており、労働市場の改善が進んでいることが示される結果が期待されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
7月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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19.1 | 27.5 |
前回は予想以上の上昇となり、プラス圏まで上昇して2月以来の高水準となった。各項目で大幅な改善となったが、雇用者数は5月からマイナス幅が縮小したものの、3ヵ月連続でマイナスとなった。今回は、前回から低下が予想されているが、3ヵ月連続のマイナスとなった雇用者数の結果が注目されている。 | ||||
23:00 | 米国 |
7月NAHB住宅市場指数
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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60 | 58 |
前回は予想以上の改善となり、住宅市場の改善が進んでいることが示された。現在、見通し、見込み客、いずれの指数も大きく改善した。今回はさらに改善が予想されているが、昨年1年間の平均が66であることから、元の水準までの回復には時間を要すると見られている。 |