前営業日トピックス
月末や四半期末、海外の半期末による駆け込み的なドル買い・円売りも観測され、ドル円・クロス円は仲値公示にかけて底固い動きが続いた。しかし、仲値通過後は米主要株価指数の大幅下落を受けて、日経平均株価をはじめアジア株が全面安となったこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、ドルが欧州通貨など主要通貨に対して軟調な動きとなったことから、対円でも軟調な動きとなった。一方、ユーロやポンドは対ドルで堅調な動きとなったことから、対円でも底固い動きとなった。
米国市場では、欧州市場の堅調な流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。さらに、米経済指標が市場予想を大きく上回る結果となったことや、米主要株価指数が序盤から堅調な動きとなったことも加わり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は一時107.88まで上昇し、6/9以来の高値を付けた。一方、ユーロ/円やポンド/円もドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなった。ただ、テキサス州やフロリダ州などで新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、米経済に対する懸念が高まっているものの、ダウ平均株価が終盤に前日比580ドル超の上昇となるなど、主要株価指数が軒並み大幅上昇となったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きが続き、終盤には一時585ドル高まで上昇した。高値圏を維持したまま580ドル高(+2.32%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、序盤にマイナス圏まで下落する場面もあったが、その後は堅調な動きが続き116ポイント高(+1.20%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)テキサス、フロリダ州当局が感染者数の急増を受けて、バーの営業停止やレストランの入店制限の強化を発表したことや、米中対立懸念を背景にリスク回避の動きとなった前週末の海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。日経平均株価が序盤から大きく下落となり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、月末・半期末の実需の駆け込み的なフローも観測され、ドル円・クロス円は仲値公示にかけて堅調な動きとなった。さらに、下落していた米株価先物がプラスに改善したことも下支え要因となった。
(2)午後に入り、日経平均株価は終盤に前日比542円安まで下げ幅を拡大するなど、アジア株が全面安となったことから、ドル円・クロス円は再び上値の重い動きとなった。特に、ドルはユーロやポンドなどの欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも序盤の高値107.35から107.04まで下落した。
(3)欧州主要株価指数は、序盤はマイナス圏で推移したものの、その後は堅調な動きとなったことや、米株価先物が上げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(4)米国市場では、四半期末に向けたポジション調整に加え、ドル円・クロス円が堅調な動きとなった欧州市場の流れを引き継ぎ、序盤から堅調な動きとなった。その後、5月の米中古住宅販売仮契約が統計開始以来最大の上昇幅となったことに加え、米主要株価指数が序盤から堅調な動きとなったことも加わり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は一時107.88まで上昇し、6/9以来の高値を付けた。一方、ユーロやポンドは対ドルで下落したものの、ドル/円の上昇に連れて対円では堅調な動きとなった。
(5)上昇一服後は、テキサス州やフロリダ州などで新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、米経済に対する懸念が高まっていることから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ一方で米政府の刺激策で景気が回復するとの楽観的な見方もあり、ドルは底固い動きとなった。さらに、墜落事故で運航停止中のボーイングの新型旅客機737MAXに関して、運航再開の承認に向けた飛行試験が始まるとの報道を好感し、ボーイング株が14%超上昇したことで、ダウ平均株価が終盤に前日比580ドル超の上昇となるなど、主要株価指数が軒並み上昇幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
本日のトピックス
米国では、テキサス州やフロリダ州などで新型コロナウイルスの新規感染者数の拡大が続いていることから、米経済に対する懸念が再び高まっているものの、政府の支援政策で回復の効果が期待されるとの見方も根強く、ドルは比較的底固い動きが続いている。ドル/円は、昨日107.88まで上昇して6/7以来の高値を付けた。
一部ではソフトバンクグループが発表したTモバイルUSの売却資金200億ドル強の円転に伴うドル売り・円買いに対する思惑で上値は重い(下振れの可能性も)とも見方もあり、ドル/円は一段の上昇となるのか、上値の重い動きとなるのか注目される。
本日から7/2の米雇用統計(週末7/3の米国市場は、4日の独立記念日の振替休日となり雇用統計の発表は前倒しされる)の発表まで米国の主要な経済指標の発表が続くことから、米経済の改善が進んでいることが示されるのか注目されている。本日は、6月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の消費者信頼感指数の発表が予定されており、前者は景気の判断基準となる50を上回り、回復の強さが示されるか、後者は小幅ながら2ヵ月連続の上昇となるのかが注目されている。
6/30の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:45 | 米国 |
6月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。
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44.0 | 32.3 |
前回は3ヵ月連続の低下となり、1982年3月以来の低水準となった。ここまで発表された他の地区の製造業指数が軒並み改善しており、同地区の遅れが示される結果となった。今回は改善が予想されているが、景気判断の基準となる50には届かないと予想されている。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月消費者信頼感指数
消費者信頼感指数は、米国のCB(Conference-Board=コンファレンスボード「全米産業審議委員会」)という民間の調査機関が発表する消費者マインドを指数化したもの。5,000人の消費者にアンケート調査を行い、現在と半年後の景況感、雇用、所得の項目で回答した結果を指数化している。
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90.5 | 86.6 |
前回は市場予想を下回ったものの、2014年5月以来の低水準となった4月結果から若干の上昇となった。経済活動の再開が進んでいることから、先行き予想が改善するなど、経済への影響は短期的なものになるとの楽観的な見方が広がっていることが示された。今回は、さらに上昇すると予想されているが、昨年までの3年間の平均が126であることから、依然として回復には時間がかかるとの見方もある。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の雲下限ラインを上抜けて雲の中に入り込む展開となっています。ここから雲上限に向けて堅調な動きが続くのか、再び雲下限を下抜けて軟調な動きとなるのか注目されています。
目先の上値のポイントは、一目均衡表の基準線(107.963、来週末まで横ばい)となり、ここを上抜ければ一段の上昇も考えられます。一方、下値のポイントは雲下限ライン(本日107.234、7/1が107.254、7/2が107.307)となります。
なお、オシレーターのMACDは両線がクロスしており、堅調な動きを示唆する形状となっています。ここから両線の乖離幅の拡大が続くのか注目です。
気まぐれ投資コラム
ドルの売り越し額が約2年ぶり高水準
米CFTC(商品先物取引委員会)が発表したIMM通貨先物の投機部門の取組(6/23日までの週)では、主要6通貨に対するドルの売り越し額は168.3億ドル(156.9億ドル)となり、2018年4月以来の高水準となっています。
円の買い越しは27458枚(22110枚)、ユーロの買い越しは118448枚(前週は117132枚)と2018年5月以来の高水準となりました。一方、ポンドの売り越しは18516枚(15998枚)、豪ドルの売り越しは4810枚(6532枚)、NZドルの売り越しは15枚(1932枚)となっています。
※出所:データを基にSBILMが作成
※出所:データを基にSBILMが作成