前営業日トピックス
前日の海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は小動きの展開で始まった。日経平均株価が下落して始まり、下げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米中での新型コロナウイルスの感染第2波への懸念が高まったことに加え、朝鮮半島情勢の緊迫化への懸念も加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。欧州時間に入り、欧州主要株価指数が上昇して始まったこともあり、ユーロはドルや円に対して堅調な動きとなった。
米国市場では、中国・北京で新型コロナウイルスの感染者が再び拡大していることに加え、米テキサス州などでも感染が拡大しているとの報道を受けて、感染拡大の第2波への警戒感が高まり、投資家のリスク回避の動きが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米国債利回りの低下も加わり、ドル/円は終盤に106.95まで下落した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤に一時前日比110ドル高まで上昇したものの、その後は上値の重い動きが続き、170ドル安(-0.65%)で終了、4営業日ぶりの下落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは14ポイント高(+0.15%)で終了し、4営業日続伸となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は小動きの展開で始まった。ドル/円は序盤に107.44まで上昇したものの、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比264円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、仲値で実需の円買いが観測されたことも圧迫要因となり、ドル/円は107.17まで下落した。
(2)米国で一部の州で新規感染者数が増加しており、感染者数が過去最高を記録した州もあることから、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きが続いた。一方、中国でも新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることや、朝鮮半島情勢の緊張も懸念されており、クロス円も上値の重い動きとなった。欧州時間には、ユーロ圏の景気回復に対する期待感の高まりを背景に欧州勢のユーロ買いが先行し、ユーロはドルや円などの主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドルは対円で底固い動きとなり、107.44まで上昇した。
(3)米国市場では、序盤に発表された5月の米住宅着工件数は、前月から改善したものの、予想を下回る小幅な改善だったことから、ドルは上値の重い動きとなった。さらに、パウエルFRB議長の下院での議会証言で政府は景気支援に一段の措置を実施する必要があると発言したこともドルの圧迫要因となった。
(4)テキサス州やネバダ州など6州で新規感染者の増加が過去最高を記録との報道に加え、中国・北京でも感染者数が拡大しており、感染拡大の第2波への警戒感が高まったことから、投資家のリスク回避の動きが優勢となり、安全資産とされるドルや円が買われた。さらに、米10年債利回りが0.757%から0.723%まで低下したことから、ドルは対ユーロやポンドなどに対して軟調な動きとなり、対円では106.95まで下落した。
本日のトピックス
米国では、テキサス州やネバダ州などで新型コロナウイルスの新規感染者の増加が過去最高となり、中国でも北京で感染拡大が続いており、感染拡大の第2波が現実のものとなっている。さらに感染の拡大が続くようなら、再び経済活動の停止懸念が高まる可能性もあり、その場合には投資家のリスク回避の動きが強まる可能性も考えられる。
株式市場でも、2月から3月にかけての大幅な下落から値を戻していたが、ここにきて上値の重い動きとなっている。不安の拡大がマーケットにも影響していることから、ここからの感染状況に関連する報道には敏感に反応する可能性も考えられる。
一部では、経済指標の改善や経済対策を背景に楽観的な見方もある中で、米国の失業状況を見極める上で正確な数字と見なされている失業保険関連の経済指標の発表が予定されている。5月の雇用統計では雇用者数の増加が見られたが、一方で失業率が上昇していることもあり、失業保険関連の統計結果で失業者数の状況を見極めたい。
6/18の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(6/13までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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129.0万件 | 154.2万件 |
前回は市場予想を下回る結果となり、ここまで10週連続の減少となったものの、依然として多くの州が申請件数の増加を報告しており、100万件を超える新規申請が続いており、改善までは時間を要するとの見方となっている。今回は、前週からの減少が予想されているものの、依然として100万件を超える件数が予想されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
失業保険継続受給者数(6/6までの週) |
1965.0万人 | 2092.9万人 |
前回は市場予想を上回ったものの、前週から若干減少した。一部の州での未処理分が反映して減少幅が抑えられたとの見方もあるが、失業保険や給付金が手厚くなっており、再雇用を急がないことが影響しているとの見方もあり、新規申請以上に改善にはかなりの時間がかかるとの見方が優勢となっている。今回は、前週からの減少が予想されているが、減少は小幅に留まると見られている。 | ||||
21:30 | 米国 |
6月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-25.0 | -43.1 |
前回は市場予想を下回ったものの、1980年7月以来の低水準となった4月の結果からは改善した。5月には最悪を脱したことが示されたが、依然として大きなマイナスが続いている。今回は、経済活動の再開が進んでいることが影響して改善が進むと予想されている。特に、先に発表されたNY連銀指数が予想を大幅に上回る改善となったことから、一部では予想以上の改善も期待されている。 | ||||
23:00 | 米国 |
5月景気先行指標総合指数(前月比)
米景気先行指数は、米国の民間調査機関のコンファレンスボードが発表する指標で、株価や金利、企業業績、マネー・サプライなど景気に先行して動く10種類の経済指標を指数化した経済指標。景気の方向性や転換点を判断する上で参考にされる。
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2.4% | -4.4% |
前回は、市場予想を上回り、過去最大のマイナスとなった3月の結果から改善した。住宅着工・許可件数やISM新規受注の寄与度が悪化したものの、株価指数や消費財の寄与度が改善したことが影響した。今回は、大幅な改善が予想されており、予想通りの結果なら、過去最大の上昇幅となることから結果が注目される。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の雲の上限ライン近辺で上値の重い動きが続いており、ここからの動きが注目されています。現状では、戻り切れずに再び雲の中に入り込む動きとなったことから、雲下限ラインの下抜けには注意が必要です。
雲下限ラインは106.463(6/23まで横ばい)、ここが下値の重要なポイントとなり、ここを下抜ける場合には一段の下げとなる可能性も考えられます。
なお、25日は日柄的にこれまでの流れが転換または加速する可能性が高まる日柄であることから、相場の方向性にも注目です。