前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなったことからり、ドル円・クロス円も上値の重い動きなった。ドル/円は、序盤に前週末の海外市場の高値を上回ったものの、米長期金利が大きく低下したことが圧迫要因となった。午後に入って日経平均株価の下げ幅が拡大し、米株先物も大幅下落したことを受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。終盤には、日経平均株価が770円超の下げとなり、ダウ先物の970ポイント超の下げとなったことから、リスク回避の動きが意識されクロス円は一段の下げとなった。ドル/円は一時107.00まで下落したものの、値頃感の買い戻しや、米長期金利の上昇も加わり、ドル/円は107.44まで上昇した。
欧州市場では、アジア株の下落を受けて、欧州主要株価指数が軒並み下落して始まったものの、その後値を戻したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。米国市場では、序盤に発表された米経済指標が予想以上の改善となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して底固い動きとなり、対円では一時107.49まで上昇した。その後、米主要株価指数が大きく下落して始まったものの、徐々に下げ幅を縮小したことから、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は底固い動きとなり、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。さらに、FRBが企業の資金繰り支援策を開始すると発表したことを好感して、米主要株価指数が一段の上昇となり、ドル円・クロス円も一段の上昇となった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、前週末比762ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小し、一時286ドル高まで上昇する場面もあったが、157ドル高(+0.62%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは137ポイント高(+1.43%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)新型コロナウイルスの感染拡大の第2波の懸念を背景に、下落した海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、序盤のドル/円は107.57まで上昇し、前週末の海外市場で付けた107.55を上回ったものの、その後は軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から軟調な展開で始まったことも圧迫要因となった。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大したことに加え、米株価先物市場でダウ先物が下落したことから、ドル円・クロス円は一段の下げとなった。さらに、米10年債利回りが先週末の0.703%台から大きく低下して、0.66%台まで低下したことも加わり、ドル/円は一時107.00まで下落した。その後、日経平均株価が終盤に一時775円安まで下落し、ダウ先物が970ポイント超の下げと下げ幅を拡大したことから、投資家のリスク回避が意識され、クロス円は軟調な動きとなった。一方、ドルはユーロやポンドなど主要通貨に対して上昇したことから、対円でも堅調な動きとなり、107.44まで値を戻した。
(3)欧州市場では、主要株価指数が軒並み下落して始まったものの、その後下げ幅を縮小したこともあり、ユーロやポンドなどは底固い動きとなった。米国市場では、序盤に発表された6月のニューヨーク連銀製造業景気指数が予想以上の大幅な改善となったことから、ドルは主要通貨に対して底固い動きとなり、対円では一時107.49まで上昇した。
(4)米ダウ平均株価が序盤から前週末比760ドル超の下落となるなど、米主要株価指数が大きく下落して始まったものの、その後は下げ幅を縮小する動きが続いたことから、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は底固い動きとなった。一方、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大による企業への悪影響の対応策として、FRBが社債の買い入れを16日から開始すると発表したことを好感して、米主要株価指数が一段の上昇となり、ダウ平均株価が一時286ドル高まで上昇し、安値から1000ドル超の上昇となったことが好感され、ドル円・クロス円も一段の上昇となった。
本日のトピックス
本日は、日銀の金融政策決定会合の結果発表が予定されており、金融政策の現状維持を決めるとの見方が優勢となっている。ここまで打ち出した政策の効果を見極めるとのスタンスだろう。ただ、一部ではマイナス金利の深掘りを回避しつつ、今後の量的緩和やイールドカーブ・コントロールを実施して企業金融支援を示唆するとの見方もある。結果発表に加え、その後の黒田日銀総裁の記者会見での発言にも注目したい。
米国市場では、半期に1度実施される上院銀行委員会でのパウエルFRB議長の議会証言が予定されている。直近で米主要株価が大幅下落となり、投資家のリスク回避の動きが強まるなど、マーケットは値動きの荒い展開となっている。そのため、投資家の不安心理を和らげる発言も予想されるが、経済の先行きに関してネガティブ発言と受け取られるようならば、投資家の不安心理が高まる可能性も考えられ、発言の内容が注目される。
経済指標では、欧州時間に6月のドイツ、欧州のZEW景況感調査、米国時間には5月の小売売上高、5月の鉱工業生産の発表が予定されており、いずれも大幅な改善が予想されており、マーケットの反応に注目したい。
6/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
5月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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8.4% | -16.4% |
前回は予想以上の低下となり、統計開始後の1992年以来最大の減少率となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で軒並み大幅低下となったことが影響した。今回は、前月から大幅な上昇が予想されており、個人消費が4月で最悪期を脱したことが示されるのか注目したい。 | ||||
22:15 | 米国 |
5月鉱工業生産(前月比)
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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3.0% | -11.2% |
前月は市場予想を上回ったものの、過去最大のマイナスとなった。経済活動の停止が米経済に影響を及ぼしたことが示された。今回は、前回から大幅な上昇が予想されており、最悪期を脱したことが示されると予想されている。予想通りの結果なら、1964年11月以来の高い伸びとなる。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月NAHB住宅市場指数
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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45 | 37 |
前回は市場予想を上回り、2012年6月以来の低水準となり、4月の結果から持ち直した。販売や販売見通し、見込み客足指数のいずれも改善し、住宅市場が落ち着きを取り戻したことが示された。今回はさらに改善が予想されているが、判断基準となる50を上回るまでは、楽観的な見方にはならないだろう。 |