前営業日トピックス
週明けの東京市場では、先週堅調な動きが続いたドル円・クロス円が上昇一服となり、上値の重い動きとなった。日経平均株価が上昇して始まり、2月以来の23000円台まで上昇したものの、反応は限定的だった。豪ドル/円は、7日に発表された中国の貿易収支の結果を好感して、序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円では約1年1ヵ月ぶりの高値を付けたものの、その後は失速して上値の重い動きとなった。しかし、日経平均株価が終盤に一段の上昇となり、前週末比300円超の上昇となったことや、米国債利回りの上昇も加わり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米国市場では、先週末まで円売りが続いた反動から、ポジション調整の円買い戻しが優勢となり、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。その中で、景気先行きに楽観的な見方が広がっていることを背景に、米主要株価指数が大きく上昇したものの、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。さらに、米国債利回りが低下したことも加わり、ドル/円は108.23まで下落した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きが続き、終盤に一時前週末比469ドル高まで上昇した。高値圏を維持したまま461ドル高(+1.70%)で終了し、6営業日続伸となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは110ポイント高(+1.13%)で終了し、過去最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)先週末の米雇用統計の結果を受けて、米経済の回復期待が高まったことを背景に、堅調な動きとなった海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円底固い展開で始まった。特に、豪ドルは、7日に発表された中国の貿易収支が予想に反して改善したことを好感し、主要通貨に対して上昇となり対円では一時76.80まで上昇し、2019年5月以来の高値を付けた。その後、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、2/21以来の23000円台まで回復したものの、反応は限定的となり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(2)先週まで堅調な動きが続いたこともあり、週替わりで上昇一服感からドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。しかし、米国経済の回復期待も根強く、ドルは底固い動きとなった。ユーロは対ドルで軟調な動きとなったことから、対円でも軟調な動きとなり、序盤の124.12から123.47まで下落した。また、昨年5月以来の高値を更新した豪ドル/円は76.20まで下落した。その後、日経平均株価が前週末比314円高で終了したことや、米10年債利回りが0.890%から0.930%まで上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
(3)米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がなく新規材料に乏しい中、先週末まで円売りが続いた反動から、ポジション調整の円買い戻しが優勢となり、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。その中で、景気先行きの楽観的な見方が広がったことを背景に、米主要株価指数が大きく上昇したものの、株価動向との連動はなく、ドル円・クロス円は引き続き軟調な動きが続いた。さらに、米10年債利回りが0.913%から0.860%まで低下したことも加わり、ドル/円は108.23まで下落した。一方、ニュージーランドで新型コロナウイルスの感染者がゼロとなり、規制が解除されたことを好感して、NZドルは米ドルやユーロなどに対して堅調な動きとなった。
本日のトピックス
昨日の海外市場では、ドル円・クロス円が軒並み軟調な動きとなっており、米株式市場が大きく上昇したにもかかわらず、ドル円・クロス円は反応がなかったことから、現状としては上昇が続いたことによる調整との見方が優勢となっている。ドル/円は、5月の安値から3.86円幅の上昇、ユーロ/円は約10円幅上昇していることから相応の調整が見込まれており、本日の東京市場でもドル円・クロス円は上値の重い動きが続いている。現状では、調整終了で再び堅調な動きとなる可能性が見込まれており、38.2%押しか、半値押しか、下押しがどの程度なのか注目されている。ただ、下振れが大きくなるようなら、懸念が大きくなる可能性もあることから、今後の動きを見極めたい。
米国市場では、本日からFOMCが開催(結果発表は10日)されることから、結果発表やパウエルFRB議長の会見での発言を控えて、積極的な売買が手控えられる可能性も考えられる。そのため、小動きの展開となるのか、株価や金利動向に左右される動きとなるのか、見極めたい。
6/9の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
4月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
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575.0万件 | 619.1万件 |
前回は市場予想を上回ったものの、2017年5月以来の低水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大が米国経済に影響を及ぼしていることが明らかとなった。雇用者数は2月の590万人から520万人に減少した。今回は、さらに減少が予想されており、予想通りの結果なら、2017年1月以来の低水準となる。ただ、4月の統計結果ですでに織り込み済みであることから、反応は限定的だろう。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、高値から下落に転じており、どこまで下落するのか注目されています。現状では、38.2%押しのポイントである108.38を下抜けていることから、次は半値押しと一目均衡表の基準線の107.92、雲上限の107.534(10日には107.280まで低下)近辺までと考えられます。この近辺で下げ止まれば、再び上向き転換の可能性も考えられますが、下抜けるようだとさらに一段の下げとなる可能性も考えられます。
気まぐれ投資コラム
ユーロ買い越しは1ヵ月ぶり高水準、ドルの売り越しは小幅減少
米CFTC(商品先物取引委員会)の6/2日までの週のIMM通貨先物の投機部門の取組では、ドルの主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対する売り越し額は81.7億ドル(前週86.0億ドル)となった。一方、ニュージーランドドル、メキシコペソ、ブラジルレアル、ロシアルーブルを含めたドルの売り越し額は77.2億ドル(78.2億ドル)だった。
円の買い越しは32579枚(前週から-2028枚)、ユーロの買い越しは増加しは81240枚(+6018枚)と1ヵ月ぶり高水準となった。一方、ポンドの売り越しは36044枚(+13787枚)と2019年12月以来の高水準、豪ドルの売り越しは40791枚(+253枚)、NZドルの売り越しは12923枚(-2120枚)となった。
※出所:データを基にSBILMが作成
※出所:データを基にSBILMが作成