前営業日トピックス
東京市場では、朝方にパウエル米FRB議長がTV番組で景気回復に対して慎重な見方を示したことで、ドルは上値の重い動きとなった。その後、上昇して始まった日経平均株価が一時マイナス圏まで下落したことも、ドル円・クロス円を圧迫した。しかし、その後、日経平均株価が再び堅調な動きとなるなど、アジア株全般が底堅い動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。欧州各国でロックダウンが緩和されたことや、ドイツとフランスが5000億ユーロ規模のコロナ復興基金の創設を提案したことが好感され、ユーロは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。欧米の主要株価の上昇や原油価格の大幅上昇を背景に、投資家のリスク回避の動きが和らいだことが影響し、ドル/円は107.50まで上昇し、1週間ぶりの高値を付けた。その後、リスク志向の高まりから逃避先通貨とされるドルが主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドルは対円でも上値の重い動きとなり、一時107.21まで下げる場面もあった。一方、ユーロは米国市場でも主要通貨に対して堅調な動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から大幅上昇となり、一時前週末比1023ドル高まで上昇した。終盤にやや上げ幅を縮小したものの、911ドル高(+3.85%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは220ポイント高(+2.44%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)パウエルFRB議長がTV番組に出演し、米経済の回復は来年の終わりまで長引く可能性があるとの見方を示したことや、米中対立の懸念もドルの圧迫要因となった。その後、日経平均株価が上昇して始まったものの、上値の重い動きとなり、一時2万円台を割りもむなどマイナス圏まで下落したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドル/円は、序盤に107.29から107.07まで下落したが、値動きは限定的だった。
(2)日経平均株価は2万円台割れ近辺では底固い動きとなり、160円高まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。欧州各国でロックダウン(都市封鎖)が緩和されたことや、ドイツとフランスが新型コロナウイルスによる打撃を受けた加盟国支援のため、5000億ユーロ規模の復興基金の創設を提案したことが好感され、ユーロは主要通貨に対して堅調な動きとなった。この動きを受けて、ドル円やユーロ以外のクロス円も堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。欧米で経済活動が再開される中、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待感が高まったことや、OPECプラス(OPECと非加盟国)が5月前半に原油輸出を半減させたとの調査報告を受けて原油価格が大幅上昇となったことを好感して、欧米の主要株価指数が大幅上昇となるなど、投資家のリスク回避の動きが和らいだことが影響した。ドル/円は、序盤に107.50まで上昇し、1週間ぶりの高値を付けた。
(4)米主要株価指数が上げ幅を拡大する中、投資家のリスク志向の高まりから逃避先通貨とされるドルが欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも一時107.21まで下げる場面もあった。一方、ユーロは終盤まで主要通貨に対して堅調な動きとなり、ドルと円に対して5/4以来の高値を付けた。
本日のトピックス
欧米でロックダウン(都市封鎖)が緩和されたことや、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待感が高まったことから、投資家のリスク回避の動きが和らぎ、昨日の海外市場ではドルや円が売られた。その中で、ドイツとフランスが加盟国支援のための復興基金の創設を提案したことが好感されて、ユーロが主要通貨に対して堅調な動きとなっており、この流れが続くのか注目される。一方、株式市場では欧米市場の株価上昇を受けて、本日の日経平均株価は400円超の上昇となっており、海外市場で引き続き株高となるのかにも注目したい。
米国時間では、住宅着工件数・建設許可件数の発表が予定されているものの、4月の統計データの発表であることから、大幅減少はすでに織り込み済みであり、マーケットの反応は限定的だろう。その中で、パウエル米FRB議長とムニューシン米財務長官が米で新型コロナウイスの感染拡大を背景とした経済対策に関して証言する予定(23時頃から)である。パウエル米FRB議長は、前日のTV番組で景気回復は想定より時間がかかる可能性があるとの見方を示しており、マイナス金利導入は否定するものの、財政出動の必要性には言及する可能性も考えられる。一方、ムニューシン財務長官は以前に追加の財政出動に慎重な見方を示していたことから、今回の発言内容が注目される。
5/19の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
4月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
|
92.3万件 | 121.6万件 |
前回は市場予想を下回る結果となり、2019年7月以来の低水準となった。下落率では、1984年以来の大きな落ち込みとなった。新型コロナウイルスの感染拡大が住宅市場に深刻な打撃を与えていることが示された。今回は、一段の減少が予想されており、予想通りの結果なら、2015年2月以来の低水準となる。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ユーロ/円は、一目均衡表の基準線と目先の下降トレンドラインを上抜けて一段の上昇となっています。ここから一段の上昇となるのか注目されます。
相場の方向性を示すとされる一目均衡表の基準線は、4月後半から低下(横ばい含む)が続いていますが、本日は116.170で明日には116.090に低下します。ただ、それ以降は横ばいが続きますが、ユーロ/円が117.776を上抜ける場合には1ヵ月ぶりに上向きに転換することから、基準線の動きにも注目です。
オシレーターのMACDでは、両線上向きに加え乖離幅が拡大していることから、上昇継続を示唆する形状となっています。ただ、乖離幅が縮小に転じる場合や、先行するラインがゼロポイント近辺で失速する場合には、堅調な流れからの失速となる可能性も考えられます。